エピローグ
今日で一応の完結です。
プロローグ同様少し短いですが、最後までお読み頂きありがとうございました。
「サラっ! 目覚めたんだね! 良かった!」
廊下から近衛騎士達の声や足音など、何やら騒がしい音がしたなぁと思ったと同時に、慌てた様子のリオンが部屋に訪れた。後ろから、ベロニカも慌てて追いかけて来ていた。
ちょっとまだ……今は、許して欲しかった。
だってやっと今、自分の中で色々な決着がついたばかりなのに……
いきなりだなんて……リオンになんて言って良いのか、どんな顔をしていいのか……んもう! 全然わからないの。
しかも好きだと自覚してしまったのだ。
二次元でも、違う世界でもない、目の前のリオンに……いつか、ちゃんと想いを伝えたいと思ってしまったのだもの……。
きっと私の顔も耳も手もみんな真っ赤よね。困ったわ。ドキドキして、とてもリオンの方を向けないわ。うつむいたまま話しかける。
「心配かけてしまって……」
言い終わらない内にリオンが、私の座っているソファーの隣に腰を掛ると、そっと私の頬に手をあてた。クッと喉がなる。
「良かった……心配したんだ。サラの顔色が今朝悪かったと気づいていたのに……無理をさせたね」
心配そうな苦しそうな碧い瞳が私を覗きこんでいる。
リオンが近すぎる。緊張で、もう息が出来ない。苦しいのはきっと息だけではなくて、胸もだ。彼にときめき過ぎて苦しい。
「違うの。ちょっと色々考えなくてはいけない事があって……昨日眠れなかっただけなの。それだけなのよ? 心配かけてごめんなさい」
慌てて説明する。一気に話したせいか、自然と息継ぎが出来ていた。息を吸うのと一緒に、ふわっと……リオンの香りがした。リオンの匂いは安心する。
「でも考え事はもう、すんだのよ。あのね……いつか、聞いてくれる? リオン?」
顔をあげると、リオンが真っ赤になっていて驚いた。
私は話しながら、頬にあてられていたリオンの手に私の手を重ねて、自ら頬を擦りよせていた……
そんな私の無意識の行動に自分でも驚き、ハッと固まってしまった。すると、リオンの空いていた左腕でぐっと胸に抱きよせられた。リオンの心臓も私と同じくらいドキドキしていた。そして、包まれている安心感と多幸感にクラクラする。
顔が見えない分、緊張しない気がして、少しだけ勇気をだして私も腕をリオンの背にまわし、ぎゅっと抱きしめかえした。
リオンの身体が、きゅっとなったのがわかった。
「私も……私もいつかサラに聞いて欲しい事があるんだ。見て貰いたい物もたくさんあるし、紹介したい人もいる。これから、たくさん時間があるから、毎日たくさん話そう。一緒に……」
リオンの声が掠れている。耳元で囁かれるくすぐったさと、声の色気にやられて、もう力が入らない。
すでに声は出せなくて、リオンの胸の中でコクコクと頷くと、また更にぎゅうっと抱きしめられた。
彼の腕の中に 今 居られる事が
この世界で彼と生きていきたいと思う事が
今までの全ての世界の何処よりも
この恋が私を生きていると実感させてくれた。
その後、周囲もすぐに二人が想いあっている事に気づいたが、ヘタレな二人はなかなか、すぐにはくっつかなくて周りがヤキモキしたり……王様は喜び過ぎて先走ったり、焦れたお兄さんや神官長が余計な事をしたり、聖女が暴れたり、二人で旅行したり、モテて嫉妬したり、なんやかんや沢山あって二人はしあわせな結婚をしました。結婚式に女神様が来ちゃったり、波乱万丈な毎日を送ったのは、また別のお話。
皆さま、完結までお読み頂き本当にありがとうございました。
そして、たくさんのブックマーク、評価、応援をありがとうございました。
いつか、聖女や他の政略対象のお話も載せられるといいなと思っております。