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平成の末に令和の君へ

作者: 櫻井 島弥

本当いい時代でした。

平成が終わる。そんなニュースを聞いたのはつい先日ようで、実はもう結構前となる。どんな時代にも終わりが来ると、誰もが知っていながら自覚を持たない。


天皇陛下は生前退位なされるらしい。誰も悲しまないまま新たな時代を迎えるのだから、俺はいい事だと思う。実に単純な考えだが、一般庶民たる俺にそれ以上の感想はない。




ひいおばぁちゃんは大正の世に生まれ、生まれた年にはタイタニックが沈んだそうだ。


おじいちゃんは昭和に入り、大戦中に生まれた。


街は燃え、人は死に、敵機が空を飛び、戦艦の乗組員が皆フカの餌となるような、そんな時代。


まだ小学生だった祖父は、必死に生き、今なお生きているのだ。


そんなおじいちゃんは大人になり、おばぁちゃんと出会う訳である。


父は末っ子だったらしく、70年代に生まれた。日本は戦争の傷から立ち直り、世界トップクラスの大国へと駆け上がって行った、のかな。カラーテレビなんかが家庭に浸透した。沢山のロックバンドや歌手のレコードを大人は勿論学生も、買ったり借りたり貸したりして、オリジナルのカセットテープを作っていた。とまぁ聞く限りだが。


母さんもまぁ一緒だよ。俺からしたら二人とも言ってることにそう違いを感じない。親の世代なんて知らないよ。今に生まれててよかったと思うだけだ、そんなもんだろ?


んで、俺が生まれた時既に平成だった。なんでまだこっちは幼いのに、世界が滅びるなんて話題だったのか。結局、ミレニアムを迎えたところで、人類滅びなかったし、パソコンもテレビも不具合はなかった。


ゴジラは怖かったけど、あの頃からモスラは好きだったな。なんかゴジラとハム太郎の映画が同時上映だった気がする。なんでその2つを同時にした、おかしいんじゃないのか。子供泣かす気か。


二十一世紀の幕開け、世の中はそれなりにキラキラとしていた、と、俺には見えた。そいえばドラえもんはいつから二十二世紀生まれになったのか、俺の記憶の範疇だと最初からなんだが。


ちょうどコナンと同年代だ、小さい時からよく映画も見に行った。


千と千尋はビデオを借りてみた。

中学の時にライトノベルにハマった。アニメもよく見た。ハルヒ、なんて人名、どんだけ世界に影響を与えたことだろう。俺的には未だらき☆すたが頭から離れることがない。


中学の頃、そんなアニメや小説を読んで、カッコイイ主人公や高校生活に憧れるやつは俺だけじゃなかったはずだ。


すごい憧れてたんだが、実は、平成の人間とか言っておきながら、平成らしいことが出来ていない。

俺は高校に入り初めて携帯電話を持ったが、親は新しい物好きで、そのとき既に発売されていたiPhoneを買い与えられた。


周りからは羨ましがられたが、俺からしたら入学式の日に赤外線で連絡先送りあってるあいつらの方が羨ましかったな。


むしろ、スマホだと当初は連絡先交換しにくかったし。でもまぁ、ビックウェーブにのれたからいいか。


今となっては、誰もがスマートフォン、もといスマホを持ち歩き、ゲームも友達作りも、仕事も、写真も、なんでもスマホ1台で済ましてしまう。


いちよ俺でも、ミュージックプレイヤーにCD借りてきて曲入れてたし、子供の頃PSPでもDSでも遊んでたぞ。高校の頃には、女子と一緒にプリクラだって撮ったのだ。前言撤回、俺だって時代に似合った若者らしいことの一つや二つしてたもんね。


今はそんなことすら過去だよ。なんでも便利になった。俺からしたら、ちょつと物寂しいけど、まぁ時代の変化なんてそんなもんだろう。


出来ればまたいつか、恥ずかしがりながら頑張って手に入れた女子のメアドに、何回も書き直したたわいもないメールなんか送ったりして、一喜一憂したいもんだ。俺は1回も赤外線通信してないけど、やってみたいなぁ。


俺からしたら10年前が、俺からしたら一昔前が、俺からしたら親の世代が、お前からしたらどれだけ昔になるのかな。


俺は今、平成を生きている。未来はどうなってるか分からないけど、少なくとも、平成みたいに平和で笑って過ごせてるといいな。


立派になったな(わかんないけど笑)

俺はどんなふうに生きてる?

お前も一生懸命に生きろ。

次の元号何かな?まだ気が早いか。

それでは、成人おめでとう。


我が子へ 令和をまだ見ぬ父より。



「何書いてんだ」


「ちょっと手紙」


「平成も終わるってのになんの冗談だよ。LINEで送りゃいいだろ。平成最後に早く飲み行こうぜ」


「ったく、ずっちーな」

「古いわ」


「平成といえば」

「何だ急に、HEROだろ」


「なるほどそうか、キムタクも入れるべきだったな」


「だから、何の話だよ」

ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 短編ながらも、読み応えがありました! お祖父様ご健在とは羨ましい。ぜひお元気なうちに、孝行なさって下さい。 あと、櫻井さんにとってはハルヒあたりって、もう古くて懐かしい感じなんですかね? …
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