負け犬クラブ3
離婚の理由
レイ(圭人)
フォー(覚、圭人の友人、四回目の結婚をしている)
ダグ(強がりを言った男)
エフ(元妻を強突張りと言った男)
メガネ(妻に浮気された男)
ユウ(人妻狙いの男)
「浮気の原因、俺、別れた理由、浮気じゃないからなー。」
ダグが、頬杖つきながら、ボソッと言った。
「なあ、離婚って、どっちが言い出した?」
まず、メガネが涙ぐんで答えた。メガネは、涙脆いようだ。
「彼女からです。僕は、別れたくなかったのに。」
「けどさー、夫婦の布団でシテたわけでしょ。その布団で寝れる?嫁は、無理と泣いてた。」
エフは、頭を抱えながら、逆の立場だったら俺も無理だったなーと呟いている。
つまり、エフは、自宅に浮気相手を連れ込んでいたということだ。
「布団なんて、変えたらいいじゃないですか!彼女と他人になる方が辛かった。」
メガネが、反論している。
レイ(圭人)は、考える。自分は、どうなんだろうと。
家は、しづく以外無理だった。しづくと別れてから、江里や恵美を連れて行っても違うと思った。
簡単に、本当に簡単にしづくと他人になった。何も考えずに。
ただの紙切れ一枚。けれど、それを書くことが、どれだけ重みを持っているか、その時は考えなかった。
「なあなあ、夫婦の布団でするのって、どんな感じ?」
ユウが、面白そうにエフに聞いている。
「うーん、背徳感、満載?悪いことして、楽しんでいるって、感じ?」
まあ、自分に酔っていたというのが正しいかな。
エフの答えに、ユウは、グラスを振って中の氷を回していた。
「ふーん、女たちは、夫と違って良いと喜んでいたよ。わざわざ夫婦の布団でするのは、この場所でも満足出来たと感じたい、もしくは、記憶を書き換えたいって感じかな。」
「なんの?」
「布団の?自分の?夫の?」
「彼女が、僕に満足していなかったということですか!!」
メガネが鼻息を荒くして、ユウを睨んでいる。
「さあ?君の元妻がどうだったか知らない。ただ、俺が相手した奥様方は、そんな感じ。まあ、満足してないのが、夫になのか、現実になのか。」
ユウは、チラリとメガネを見て、また手グラスに視線を戻していた。
「人のモノに手を出すような人間に何が分かるのですか!!」
まあまあとダグが、立ち上りかけたメガネの肩を押さえる。
「ユウ、お前も自分の場所には、女、入れないだろ。」
メガネが訝しげに眉を寄せる。
ダグの言葉の意味が分からないのだろう。
「あなたも、ですね。」
ふっと寂しげな笑みを浮かべて、ユウは、回る氷を見ている。
「俺は、家族に嫁を壊された。俺のために壊れていく彼女を見たくなくて解放した。」
だから、ダグは、″負け犬じゃない″と言った。
離婚したくないけど、相手のために身を引いたんだ、と。
「彼女は、風俗嬢だったんだ。」
ダグは、話し出した。
生活のために身を崩しただけで、とてもいい子だったと。
家族に反対されたが、最後には、折れて同居を条件に認めてくれた。
結局、家族は、彼女を認めておらず、虐めに虐めたおして、気が付けば、彼女は精神を病んでしまっていた。
「俺には、『いい子で良かった』と言うんだ。」
彼女が家族と上手くいっているのが嬉しくて、家族の言葉を彼女に伝えた。
彼女は、俺が喜んでいるのを見て、俺に真実を言えなかった。
少しずつ彼女から、話さなくなった。
だんだん彼女が、笑わなくなった。
彼女が、俯いている時が多くなった。
声をかけないと、彼女が俺に気付かないようになった。
とうとう彼女が、俺を分からなくなった。
ようやく家族が、彼女を虐めていたのを知った。
そして、都合がいいから、家族の言葉を鵜呑みにしていた己の愚かさを知った。
「だから、離婚した。俺のことは忘れているのに、俺を見ると虐めた家族を思いだし、怯えていたから。」
今は、笑えるようになったと聞いている。
そう言ったダグは、嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「あいつが笑った顔が一番好きだった。だから、笑えるようになったと聞いて、嬉しかった。」
次は、ユウです。




