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しづく 愚か者の列に並んだ者  作者: はるあき
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19.梓

 梓は空を見上げていた。

 空はどんより曇っていて、星1つ見えない。

 さっき、しづくさんを家まで送ってきた帰りだ。

 泊まると言ったのにしづくさんは大丈夫と笑っていた。

 今からやりたいことリストを書き出すと言っていた。

 しづくさんが魘されているのは、知っていた。

 時折涙を流しながら謝っているのも。

 翌朝聞いても曖昧な表情で誤魔化されただけ。

 あんな悲しい夢を見ていたなんて。

 あの女性(ひと)の言う通り、しづくさんの夢なのだから幸せな夢にしてほしい。できるはず。なってほしい。


「しづくは、気にしすぎなんだよ。子供が流れたのもしづくのせいじゃないのに」


 しずるさんが大きく息を吐いて、片手で髪の毛をぐちゃぐちゃにしている。

 イライラしている証拠だ。

 しずるさんは事故のことを気にしている。

 二人の両親を奪った事故はしずるさんの試合を見に行く途中で起こった。初めてレギュラー入りをし、家族が見に来るのを楽しみにしていた。

 ()()()、しずるさんは後悔している。家族に試合を見に来て欲しいと言ったことを。

 両親が死んだこともしづくさんに事故の後遺症があることも自分のせいだと気にしている。

 しづくさんがこんなコトになって、一番落ち込んでいるのはしずるさんだ。

 二ヶ月後に迫った結婚を延期しようと言われた。

 自分だけ幸せになれないから、と。

 それに反対したのがしづくさんだった。

 だからこそ、幸せになってほしいと。

 しづくさんも気にしている。

 しずるさんが事故のことを引きずっているのを。

 だから、いつも明るく心配かけないようにしている。

 二人とも優しい、優しすぎる。

 しずるさんの腕に腕を絡ませた。

 ねぇ、しずるさん、幸せになろう。

 幸せになってなってなって、その幸せをしづくさんに沢山渡そう。

 しづくさんも幸せになれるように幸せになろう。

 だから、私に二人を幸せにする力を下さい。

お読みいただき、ありがとうございます。

梓の一人言です。

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