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箱庭の異世界でスローライフ万歳!  作者: Jade
村づくりを本格化させよう
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16日目. 温泉に行こう

 葉月はごくごく簡単な構造の小屋を、羊と豚のためにそれぞれ二つ作った。

 もちろん豆腐建築士の称号を再び得てしまうような愚は犯さない。

 小屋を作り終えた葉月たちは、ようやく朝食の準備に取り掛かる。

 今朝のメニューはパン、バターたっぷりのオムレツの自家製ケチャップ添えと、コーンスープにするつもりだ。

 パンは昨日時間のあるうちに焼いておいたものだ。

 今朝はニンニクが手に入ったので、トマトケチャップを作ることにした。

 トマトは皮を湯むきして、細かく刻む。

 たまねぎ、ニンニクもみじん切りにしてトマトに混ぜる。少しだけトウガラシも刻んで一緒に鍋に入れる。

 砂糖、塩、コショウ、レモン汁で味を調えつつ鍋で煮込めば完成だ。

 本当なら煮込んだ方がおいしいのだが、今朝は即席なので許してほしい。

 ケチャップを煮込む役目はコハクに任せておいて、葉月はトウモロコシの皮をむき、鍋で十分ほどゆでる。

 ゆであがったトウモロコシは、葉月がクラフトしておいたピーラーで芯から実を外した。

 ケチャップを作るときに取り分けておいたたまねぎのみじん切りを、フライパンにバターを落として炒める。

 玉ねぎが透き通ってきたところでトウモロコシを追加してさっと炒めたら、水、牛乳、塩、コショウを加えて沸騰させる。

 沸騰したら弱火で十五分ほど煮込めばコーンスープができあがる。


「アンネリーゼさん、あとは焦げ付かないように時々混ぜてもらえる?」

「はいっ!」


 コーンスープの仕上げはアンネリーゼにお願いして、葉月はオムレツに取り掛った。

 葉月はココたちが今朝生んだばかりのタマゴをボウルにこんこんっとリズムよく割り入れる。

 タマゴをといたら、牛乳を少しと、塩、コショウ、それから一センチ角ほどに刻んだバターを追加して軽く混ぜ合わせる。

 フライパンの隣にはフライ返しを準備しておく。

 卵料理には素早さが要求されるのだ。

 葉月はフライパンを熱して、アボカドオイルを投入し、さっと広げたら卵液を落とす。

 すぐにフライ返しを大きく動かして、フライパンの底に焦げ付かぬよう卵をかき混ぜる。

 すこし固まってきたらかき混ぜるのをやめ、半熟になったところで半分に折り曲げて葉っぱの形に整える。

 あとはくるりとオムレツをひっくり返して、隙間からタマゴの液が漏れてこないようになったらできあがりだ。

 葉月は人数分のオムレツを作って、皿に盛り付けた。


「お待たせ~」

「やっとか!」


 子供の様に待ちきれなくなっていたフリードリヒが顔を輝かせた。

 ソラがオレンジを絞ってフレッシュジュースを作ってくれた。

 これほどの大人数で食事をすることになるとは想定しておらず、葉月は慌ててテーブルをクラフトした。

 ついでに食事用の椅子も人数分クラフトする。


「では、いただきます!」

「いただきます」

「森の恵みに感謝を」

「森の恵みに感謝じゃ」

「くまっ!」


 オムレツは久しぶりに作ったにしては上手にできた気がする。

 バターの濃厚さをケチャップの酸味がうまく調和させている。

 卵の味も濃厚で、バターやケチャップの味に決して負けていない。

 やはり卵料理は簡単で料理初心者にも作れるけれど、本当に美味しい卵料理を作るのは難しい。

 葉月は次こそもっと美味しいオムレツを作ろうと意気込んだ。


「やはりここの料理はおいしいな」

「ありがとう」


 フリードリヒの顔が緩んでいる。

 どうやらかなり気に入ってもらえたようだ。

 ぺろりと食事を平らげ、オレンジジュースを飲みながらフリードリヒが切り出した。


「そういえば、そなたの希望していた場所を探してきたぞ」

「もしかして温泉?」

「そうだ。行きたいと言っていたであろう?」

「うん。行きたい。行こう、すぐに行こう」


 こうしてはいられない。

 葉月は椅子から立ち上がった。


「葉月さん、落ち着いて」


 アンネリーゼが唐突に立ち上がった葉月をなだめる。


「温泉は逃げぬぞ、ハジュキ」


 そう言うフリードリヒもかなり乗り気らしく、立ち上がる。


「ちなみに温泉まではどれくらい?」

「剣ヶ峰の中腹にある。我の翼ならば一刻ほどだ」

「人の足だと?」

「剣ヶ峰のふもとまで半日、そこから中腹まで半日ほどだろうな」

「そんな……」


 葉月はがっくりと崩れ落ちた。

 朝は早く出発したとしても、たどり着くまでに一日、帰ってくるのに一日で、二日以上かかってしまう。

 はなこや太郎たち、それに畑もそれほど放置はできない。

 せっかく温泉に入れると思っただけに、葉月の落胆は大きかった。


「そんなにかかるのなら、無理だよ……」

「我が運んでやる。なにも心配はいらぬ」


 むしろ心配要素しかない。

 フリードリヒが羊や豚を運んできた方法を考えてみれば、お察しである。


「網で吊り下げられて運ばれるのはちょっと……」

「葉月さんなら駕籠(かご)を作れるのではないですか?」


 アンネリーゼの意外な提案に葉月は目をむいた。


「この世界にも駕籠ってあるの? それってどんな形?」

「あるぞ。ワイバーンに運ばせることが多いな。形は……そうだな、鳥かごに近いのではないか?」

「なるほど、大きなケージだったら、軽いし、運びやすいかも」


 葉月の温泉旅行にも光明が見えてきた。


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