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箱庭の異世界でスローライフ万歳!  作者: Jade
村づくりを本格化させよう
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14日目. 新素材がいろいろと

 今日も元気だ。ご飯がおいしい。

 葉月はいつものように日課をこなし、朝食を食べながら今日は何をするのか予定を立てる。

 今日の新野菜はサトイモだった。昨日手に入っていれば、けんちん汁に入れられたのにと思うが、こればかりは神様の思し召しでどうにもならない。

 こんにゃくや長ネギができたら芋煮もいいなと、葉月は夢想する。

 さて、新居の建築を決めた葉月だったが、いろいろと足りない素材があることがわかったので、少し遠出して素材探索に出かけるか、近場でもあまり探索していない南方面へ出かけるかで迷っていた。


「みんなは遠出と近場の探索どっちがいいと思う?」

「くま~?」

「シャー?」


 ソラはぷるんぷるんと震え、チャッピーはぐるぐると飛び回っている。

 従魔たちにとってはどちらでも大して差はないのだろう。


「ん~。じゃあ午前中は南方面の探索にするよ! 午後からは遠出のための装備作りにします」

「くまっ!」

「シャー!」


 今日の探索にはソラ、コハク、クラウドがついてくるようだ。

 拠点の南側は葉月がこの世界に降り立った場所だ。

 水場を探してすぐに移動してしまったので、あまり何があったのか覚えていない。

 しかもマナグラスでの鑑定ができるようになってからも、ほとんど足を運んでいないので何か新しい発見があってもおかしくない。

 クラウドを先頭に葉月、コハクの順で草原を南下する。

 ソラはいつもの定位置だ。、

 葉月は鑑定をしながら進んでいく。

 白っぽいもこもことした花を見つけた葉月は、すかさずマナグラスで鑑定する。


『名称:綿花。説明:綿が採取できる。吸湿性がよい』


「わーい!」

「シャー」


 裁縫担当のクラウドがとても嬉しそうだ。

 クラウドがたくさんある足でさっさと綿花を回収して、葉月に渡してくれた。

 一緒に種も渡される。白くてふわふわの種だ。

 葉月はいそいそとそれらをインベントリに仕舞った。

 淡い黄色の花が咲いているのもあって、アオイの花に似ていた。


「これでタオルが作れるね」

「シャー」

「下着も作れるね」

「シャシャー」


 クラウドが任せておけというように足を振り上げた。

 さっそくの新素材の入手に葉月の気分は急上昇した。


「んっふふ~」


 鼻歌を歌いながら更に南のほうへ足を伸ばす。

 三十分ほど歩いたところで、少しずつ周囲の草の雰囲気が変わってくる。

 地面も少しずつ水っぽくなっているようだ。

 これは期待できそうだ。

 緩やかな丘を登り、頂点に差し掛かったあたりで視線の先に湿地が飛び込んできた。

 七百メートルほどの範囲で湿地が広がっている。


「これは粘土が見つかるかも!」


 葉月の足は期待に早まる。

 ぐっしょりと湿った足元に気をつけて進んでいく。

 あちこちがぬかるんでいて、気をつけないと泥に沈んでしまう。

 クラウドが大丈夫そうな場所を選んで歩いてくれたので、葉月は慎重にクラウドの歩いた道をたどって進んだ。

 湿地の真ん中あたりに差し掛かったところで、葉月はどう見ても蓮に見える葉っぱとピンク色の花を発見した。

 念のために鑑定しておく。


『名称:ハス。説明:地下茎はレンコンとして食べられる』


「これはもって帰りたい。でも栽培できるかなぁ……」


 レンコンを採取するのは決定事項だ。

 だが、レンコンを栽培するには田んぼが必要になる。

 葉月の拠点に池があるとはいえ、どれほど水に余裕があるのかわからない。

 田んぼを作れるほどなのかは、検討が必要だ。

 いずれ米を栽培することを考えると、田んぼは必須なのだが迷うところではある。


「ま、あとで考えよう。まずは採取だね」

「くまー……」


 葉月は靴を脱ぎ、泥の中に足を踏み入れた。

 水深は四十センチほどで、気をつけていれば何とか進めそうだ。

 コハクが作業したそうにしていたが、そのふわふわの毛並みで泥の中に入ると、ひどいことになるのは目に見えている。

 ここは一番被害の少ない葉月が行くべきだった。

 ぬるぬるとした感触が足の裏に伝わる。


「っひやぁ!」


 葉月は水の冷たさに声を上げながらも、どうにか蓮の近くにたどり着く。

 まずは花が咲き終わった蜂の巣のようになった部分、花托(かたく)と呼ぶ部分を採取する。

 この中に種があって、種の中の実は食べられるらしい。

 次に葉月は足先で肝心のレンコンを探った。

 ぬるぬるとしてわかりにくいが、すこし硬い部分があった。

 足を滑らせていくと、横に伸びているものがある。


「これ……かな?」


 葉月は意を決して手を泥の中に突っ込む。

 足先で見つけた塊に手を触れ、まずは周囲の泥を掻き分ける。

 細長い物体を掴んで、ぐいぐいと引っ張ってみる。


「んー、これは手ごわいぞ」


 葉月の肩から頭の上に移動していたソラがちゃぽんと水の中に飛び込んだ。


「ソラ!?」


 ふいに手元でぶちりと千切れるような感触がして、葉月は掴んだものを引き上げる。

 手の中には泥だらけのレンコンがあった。

 レンコンの端にはソラがぶら下がっている。


「お手柄だよ! ソラ!」


『名称:レンコン。説明:ハスの地下茎。食用可能』


 万能ツールを使えない作業なので、ひたすら葉月が探して引っ張るほかに方法はない。

 けれどソラのおかげで、見つけてからのレンコンの掘り出しはどうにか進む。

 五本ほどレンコンを採取したところで、葉月は泥の池からあがった。

 泥だらけになっていた葉月の体にソラがまとわりついて、泥と水分を吸収してくれる。


「ふう……」


 思ったよりも水の中での作業は大変だったようで、葉月は少し疲れていた。


「くま~?」

「シャ~?」

「大丈夫だよ。ありがとう」


 コハクとクラウドも心配そうだ。

 だが湿地帯となれば葉月が欲しいのは粘土だった。見つけないうちは帰れない。

 葉月の肩でソラが元気付けるように跳ねた。


「よし! 粘土を探すよ~!」


 葉月は自分に活を入れた。

 周囲に注意しながら湿地の中心部へ差し掛かる。

 一メートル強の長さの細長く尖った草があちこちに生えている。湿地によくある雑草かと思ったのだが、念のために鑑定しておく。

 

『名称:イ草。説明:畳の材料になる。燈芯草ともいう。ロウソクの芯としても使える』


「ヤバイ。畳が作れそう」


 葉月は万能ツールを取り出し、鎌に変化させた。


「シャキーン」


 自分の口で効果音を発しつつ、葉月は夢中でイ草を刈り取った。

 よく見ると先端に花らしきものがついている。

 葉月が周囲のイ草をほとんど刈りつくしてもインベントリの一枠ほどしか採取できなかった。

 畳を作るには若干足りないが、増やせばいいのだ。

 これで田んぼを作ることが決定してしまった。


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