13日目. 森が出現しました
朝起きて、家の外に出たら、拠点の西側に森が広がっていた。
どうやら昨日植えたマナの木が成長したようだ。
確かにマナの森は遠目に見ても巨木だったが、それ以上に大きくなっている気がする。
葉月はいつもの日課をすっ飛ばして、マナの木を植えた場所に急行する。
従魔たちも葉月のあとに続いた。
「ふぁーー!」
見上げるほど大きな木が、何本も空に向かって伸びている。
マナグラスで確認すると、マナ溜まりもいくつか見える。
マナの森まで行かなくてもいいのは助かるけれど、なにか出てきそうでちょっと怖い。
「くまー!」
コハクとチャッピーとソラは嬉しそうだ。
クラウドはよくわからない。
とりあえず危ないということはなさそうなので、放置する。
マナの木を切って増やすことも考えたが、これ以上森が広がるのも危ないのでやはり放置だ。
「ちょっとしたトラブルはあったけど、今日も一日頑張ろう!」
「くまっ!」
葉月たちはそれぞれ作業に取り掛かった。
今日は昨日植えたものが増えそうで、葉月は採取を楽しみにしていたのだ。
一番楽しみにしていたのがシイタケだ。
採取した分は種代わりに植えてしまったので、昨日はシイタケを食べられなかった。
今日こそシイタケを食べたい。
醤油があれば炭火で焼いてシイタケステーキが最高だと思う。
バターをのせてもいいかもしれない。
葉月の頭はシイタケで埋め尽くされた。
「よっしゃー! 増えてる!」
真ん丸で肉厚なシイタケがほだ木にいくつも生えていた。
葉月は種菌の分だけを残してシイタケを根元の方からはさみで切って採取する。
キノコのカサが開ききってしまうとおいしくないので、食べごろのものはすべて採取してしまうことにする。
余った分は天日干しにして干しシイタケにすればうま味が増すし、保存食にもなるので無駄がない。
葉月はせっせとシイタケをインベントリに仕舞った。
クヌギの木もばっちり増えていたので、シイタケの栽培はうまくいきそうだ。
「今日の種は何かな~?」
謎の種はガチャのようで、毎朝の葉月の楽しみになっている。
「あれ?」
野菜の姿を期待して畑にたどり着いた葉月は、黄色に咲き乱れる花が咲いていることに戸惑った。
黄色い花の正体は菜の花だ。
「これは予想外」
けれどこれはこれでとても優良な油の元になる。
葉月は菜の花と種を採取し、茎をクラフトして種をできるだけ多く取り出した。
流石にこの数では油を搾れるほどはない。
油を取るのは増やしてからだ。
葉月は花壇の隣に菜の花専用の畑を耕し、種をまいた。
アボカドオイルも悪くないが、菜の花の方が多く油を採れそうだ。
搾りかすは家畜のエサにもなるので、多くても構わない。
葉月は上機嫌で竹林に移動した。
池の隣にタケノコを植えておいただけなのだが、いつの間にか立派な竹林ができていた。
畳の原料になるイグサが手に入ったら、和風建築を竹林の隣に立てるのもいいかもしれない。
ただ竹はきちんと手を入れないとかなり繁殖してしまうので、葉月は石材ブロックを周囲に配置することで繁殖しすぎるのを防いでいた。
今日はシイタケが手に入ったので、タケノコは蒸して刺身にするつもりだ。
葉月は万能ツールをクワに持ち替え、竹林の中を歩いた。
足の裏にわずかに膨らんだ感触を探り当て、掘り出す。
土から頭がかなり出てしまっているものは大きすぎて、えぐ味が強いのでできるだけ若いタケノコの方がおいしい。
葉月は三本のタケノコを掘り出した。
ついでに増えすぎた竹も伐採しておく。
竹はカゴやザルの材料になるし、節を残して切れば、コップのようにも使える。口をつけても痛くないように切り口を削っておけばいい。
チャッピーはいつものように蜜集め。
コハクは蜂蜜の採取。
ソラは葉月と畑の手伝いと、搾乳。
クラウドは家畜の世話とアルパカの毛の刈り取り。
それぞれが朝の仕事を済ませたら、朝食づくりに取り掛かる。
葉月はタケノコを綺麗に水で洗って、皮がついたままかまどにセットした蒸し器の中にセットした。
次にシイタケをさっと洗って石づきを取り、フライパンに並べて焼いていく。
「ソラ、バターを作っておいてくれる?」
ソラがぷよりと揺れてうなずく。
「コハク、家の中から味噌の桶を持ってきてくれるかな」
「くまっ!」
そろそろ仕込んだ味噌ができていてもおかしくない。
普通なら一年はかかるが、この世界では一晩で果実が生り、野菜が収穫可能になるのだ。
味噌の発酵だって、数日で終わっても不思議ではないのだ。
葉月が焼き上がったシイタケを皿に移した。
コハクが持ってきてくれた桶のふたを開け、重石をどけると茶色の液体が溜まっている。
「よっしゃ!」
葉月の待っていたものができていた。




