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箱庭の異世界でスローライフ万歳!  作者: Jade
村づくりを本格化させよう
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12日目. 不名誉な称号を返上します

 無事に拠点に戻ってきたら、やりたいこと、すべきことはたくさんある。


「ソラは苗を植えるのを手伝ってくれる?」


 ソラがぷよりと揺れた。

 葉月はソラと共に家の西側にマナの苗木を植えていく。

 ソラが得意な作業なので、作業はかなりスムーズに進んだ。

 クヌギのどんぐりも忘れずに植えておく。


「シイタケ栽培用のほだ木を作るお手伝いは、コハクにお願いしようかな?」

「くまっ!」


 採取したばかりのクヌギの木を一メートルほどの長さに切って、ほだ木を作る。

 原木栽培では、原木にドリルで穴を開け、シイタケの菌を埋め込んで育てるのだが、ここでは種菌を手に入れるのが難しい。

 菌を育てるにしても、おがくずやぬかを混ぜた培地で菌を増やしてから、ほだ木に接種しなければならない。

 種菌を植えたほだ木は直射日光に当たらないような場所で、三角に組み合わせるように立てて栽培するのが一般的な方法らしい。

 けれどここはゲームによく似た世界であり、そのあたりの面倒な手順は省略できる。

 葉月はほだ木に万能ツールのノミで小さな穴を開けて、採取したシイタケを一つだけ植える。

 シイタケ植えたほだ木はコハクが組み合わせて日陰に立てていく。

 力持ちのコハクにうってつけの作業だ。

 マナの木やクヌギの木の木陰に設置したので、おそらくは育ってくれることだろう。

 葉月は万能ツールをクワに持ち替えた。

 次はチャッピーとコハクのために、花壇を作るのだ。

 畑の北側はまだ場所があるが、畑を拡張することになりそうなので、ニセアカシアの木の更に北側に花壇を作ることにする。

 ここならばチャッピーの巣箱からも近く、満足してくれるだろう。


「チャッピー、花壇を作るのはここでいい?」


 ぶんぶんとチャッピーが羽音で返事をした。

 葉月は花壇となる場所をクワで耕していく。

 チャッピーの指示を受けてマナクローバー、マナデイジー、マナアスター、マナローズを植え込んだ。

 少し土を盛り上げて作ったのだが、欲を言うともう少し見栄えをよくしておきたい。

 レンガで囲うのがよさそうなのだが、残念ながらレンガの材料となる粘土が見つかっていない。

 花壇の完成は粘土が見つかってからのことになりそうだ。

 花壇にジョウロで水をやると、マナフラワーの色艶が増している気がする。

 チャッピーはさっそく忙しく蜜を集め始めた。

 葉月はついでに、狭くなってきた鶏小屋を直すことにする。

 まずは鶏小屋の周囲を柵で囲って、自由に歩きまわれる場所を作った。

 それから万能ツールをピッケルに持ち替えて、土でできた鶏小屋を破壊する。

 壁を壊すのはソラが活躍してくれた。

 一旦更地にしてから、柵の中に石材で一メートルほどの腰壁を作り、小屋の上部は木材で組み上げた。もちろん屋根は三角形の切妻(きりづま)型だ。

 床に麦わらを敷いて、ニワトリたちを新居へ案内する。

 ヒヨコが成長していて、他のニワトリと見分けがつかなくなっているので、もう全員ニワトリと呼んでいいだろう。


「コッコッコッコッ」


 喜んでいるのかよくわからないが、これからもたくさん卵を産んで欲しいものだ。

 ついでに牛小屋の屋根も四角形の陸屋根から切妻屋根に作り変える。

 これで葉月の拠点に豆腐建築はなくなった。

 葉月がステータス画面を確認すると、『豆腐建築士』の文字が消えている。


「やった!」


 とうとう葉月は不名誉な称号を返上することに成功した。

 葉月がはしゃいでいる間に日が暮れてきた。

 お留守番をしてくれていたクラウドの様子を確認しておこう。

 葉月は採掘場へと続くはしごを降りた。


「何、これ?」


 葉月がはしごを降りてたどり着いた場所は、見覚えのある場所ではなくなっていた。

 採掘の拠点となる開けた空間から五つほど通路が延び、その先に小部屋ができている。


「キシャァアア」


 どうやらクラウドの巣のようだ。

 クラウドが足で拠点においてあったストレージをつついている。


「ん? 中を見ればいいのかな?」


 葉月はストレージの中身を確認する。

 ストレージにはかなりの数の鉄鉱石、金鉱石、石炭が入っている。


「これ、全部クラウドが集めてくれたの?」

「キシャァ」

「ありがとう。助かるよ」


 これだけの数を確保できるのなら、採掘作業はクラウドにお任せしてもいいかもしれない。

 葉月は採掘作業が割と好きなので、止めるつもりはないが、素材の確保が楽になったのは確かだ。


「じゃあ、素材は上に移動させておくね」

「キシャァ」


 葉月はストレージからインベントリに素材を移動させていると、見慣れないものがあった。


「これ、マナクリスタルじゃない?」


 マナグラスで鑑定してみたので間違いない。


『名称:マナクリスタル。説明:マナの結晶。土の根源を多く含んでいる』


 これはマナツールを作るのに使えそうだ。

 葉月はありがたくストレージからインベントリにマナクリスタルを移動させる。


「そろそろ夕ご飯にするから、クラウドも上においでよ」

「キシャァ」


 葉月はクラウドと一緒に拠点へと続くはしごを上り始めた。


異世界移住12日目


経験:Lv.19→23

従魔:ソラ(スライム:Lv.19→21)+子分スライム×8(トイレ用)、コハク(ハニーベア:Lv.4→5)、チャッピー(ハニービー:Lv.4→5)、クラウド(ケイブスパイダー:Lv.2→3)

家畜:ニワトリ×3→4、はなこ(乳牛:雌)、太郎(乳牛:雄)、すみれ(乳牛:雌)、アルパカ


称号:開拓者、臆病剣士、ソラの飼い主、二級建築士、節約家、武士みならい

スキル:土木:Lv.5、建築:Lv.7→8、農業:Lv.7→8、伐採:Lv.6→7、木工:Lv.14→15、採掘:Lv.8→9、調教:Lv.7→8、石工:Lv.5、料理:Lv.8、鍛冶:Lv.4、畜産:Lv.5→6、マナ:Lv.2→3、鑑定:Lv.3→5、居合:Lv.2→3

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