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箱庭の異世界でスローライフ万歳!  作者: Jade
村づくりを本格化させよう
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11日目. 蜂蜜最高!

「先にこれを渡しておくね」


 葉月はインベントリから取り出したつるはしとスコップをクラウドに渡す。


「シャーッ」


 クラウドは八本の足をのうちの二本で器用につるはしとスコップを持っている。

 どうやら喜んでもらえたようである。

 そうしているうちに、あたりに甘いメープルシロップのにおいが漂い始めた。

 葉月はかまどを少し開けてパンの焼け具合をチェックする。


「よし」


 いい感じの焼き色がついている。

 天板をかまどから取り出して食卓代わりの作業台の上に置く。

 コハクがスープの入った鍋を作業台に移動させていた。

 ソラは蒸かし芋の具合を確認している。どうやらいい感じに蒸しあがったようだ。

 クラウドはチャッピーとなにやら挨拶を交わしている。

 昆虫系の従魔はマイペースな者が多い。


「いただきます!」


 メープルパンはほんのりと甘く、いいにおいがした。

 天然酵母のおかげか、かなりやわらかい。

 たっぷりとバターのかかった蒸かし芋を、はふはふとほおばる。

 ほんのりとした塩味とバターの香りが口いっぱいに広がった。

 蒸したおかげでジャガイモの味が濃厚で、決してバターに負けていない。


「うっま!」

「くまくま~」

「シャー」


 従魔たちも満足してくれたようだ。

 ソラが後片付けを手伝ってくれた。

 クラウドは牛小屋でアルパカを発見して、かなり喜んでいる。

 葉月が慌てて毛刈りバサミをクラフトして渡すと、アルパカの伸びた毛を刈り取って、毛糸を作っている。

 クモの足を器用に動かし、毛糸の玉を作っていく様はただ見惚れるしかない。

 裁縫が得意という鑑定結果にはかなり期待できそうだ。

 ふと隣にいたコハクに視線を向けると、なんだかもじもじしていた。


「どうしたの、コハク?」

「くまくまっ!」


 葉月はコハクに手を引かれて、ニセアカシアの木の中にある巣箱に連れられていく。

 そこではチャッピーが巣箱の周囲をぶんぶんと飛び回っていた。


「ああ、できたんだ!」


 巣箱の中をのぞきこむと、たっぷりと詰まった巣蜜ができている。

 それを見て、コハクの欲しがっているものが葉月にもわかった。


「遠心分離機を作ってほしいってことだよね?」

「くっくまっ!」


 葉月は作業台に取って返した。

 ストレージからなけなしの鉄インゴットを取り出し、寸胴鍋をクラフトする。

 巣の枠をぐるぐると回して蜂蜜だけを分離させることで、巣を壊すことなく蜜だけを採取することができる。

 チャッピーとしても再び巣を作るよりもかなり楽なはずだ。

 葉月は木材から歯車(ギヤ)を追加でクラフトした。さらに巣枠を固定するための枠と、回転させるための芯もクラフトする。

 最後に手で回すためのハンドルをクラフトして全ての部品が出来上がった。

 最後に寸胴鍋、歯車、枠、芯、ハンドルをクラフトして簡易の遠心分離機が完成した。

 さっそく巣箱から巣の枠を取り出してみる。


「あ、蜜蓋(みつぶた)ができてる」


 全体の六割ほどに蜜蝋で蓋がされている。蜜蓋ができている部分が熟成の証だと聞いたことがある。

 葉月は手についた蜜を少し舐めてみた。


「あ~ま~い~!」


 メープルシロップよりも濃厚な甘さと花の香りが口の中に広がる。

 けれど決してしつこくないのはニセアカシアの花だけでできているからだろう。


 万能ツールをナイフに変化させ、蜜蓋を切ろうとしたが、コハクがシャキーンと爪で蜜蓋をカットしてくれたので遠心分離機にセットする。


「くまっ!」


 コハクがハンドルを回して勢いよく巣枠を回す。

 するとどんどんと鍋の底に蜂蜜が溜まっていく。

 枠の中の蜂蜜がなくなったところで、コハクがハンドルを回す手を止めた。


「あ、瓶が足りない!」


 葉月は慌てて作業台に戻り、ガラスから瓶をクラフトしてきた。

 これでガラスも使い果たしてしまったが、砂はたくさん採取してきたのですぐに補充できるだろう。

 コハクが蜂蜜を瓶に移して、二瓶ほどが採取できた。

 再び巣枠を巣箱に戻すと、チャッピーが忙しく飛び回り始める。

 ソラは周囲に飛び散った蜂蜜を吸収して、掃除をしてくれた。

 若干趣味と実益を兼ねている気がしないでもない。

 ソラが蜂蜜を吸収するたびに震えているので、かなり気に入ったのではないだろうか。


「くまっ!」


 コハクが瓶を葉月に差し出す。


「ありがとう、コハク」


 葉月はうっとりと金色の蜂蜜が詰まった瓶を眺めた。

 これでホットケーキを食べるとどんな味がするんだろうか。牛乳からヨーグルトを作って混ぜるのもいいかもしれない。

 葉月の夢は広がった。


「みんな、ありがとうね」


 葉月の様子を見守っていた従魔たちはそれぞれの寝床へ撤収していく。

 今日はいい夢が見られそうだった。


異世界移住11日目


経験:Lv.18→19

従魔:ソラ(スライム:Lv.18→19)+子分スライム×8(トイレ用)、コハク(ハニーベア:Lv.3→4)、チャッピー(ハニービー:Lv.3→4)、クラウド(ケイブスパイダー:Lv.1→2)

家畜:ニワトリ×3、ヒヨコ×1、はなこ(乳牛:雌)、太郎(乳牛:雄)、すみれ(乳牛:雌)、アルパカ


称号:開拓者、豆腐建築士、臆病剣士、ソラの飼い主、二級建築士、節約家、武士みならい

スキル:土木:Lv.5、建築:Lv.7、農業:Lv.7、伐採:Lv.6、木工:Lv.12→14、採掘:Lv.8、調教:Lv.6→7、石工:Lv.5、料理:Lv.7→8、鍛冶:Lv.3→4、畜産:Lv.5、マナ:Lv.2、鑑定:Lv.3、居合:Lv.2

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