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箱庭の異世界でスローライフ万歳!  作者: Jade
村づくりを本格化させよう
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11日目. 装備を修理します

 葉月たちが拠点に帰りつくと、新たに従魔となったクラウドは、採掘場へと続くはしごを見つけると突進した。


「ちょっとー? クラウドー?」


 葉月は慌ててクラウドの後を追ってはしごを降りた。

 ソラとコハクもついてくる。

 採掘場の拠点にたどり着くと、クラウドはブランチマイニングで作った坑道を出たり入ったりを繰り返していた。


「クラウドはここがいいの?」

「ギシャア」


 どうやらクラウドはこの場所が気に入ったらしい。やはり暗い場所のほうが好みなのだろう。

 とりあえずクラウドは家の中ではなく採掘場に住むことになった。

 葉月はあとでクラウド用のつるはしとスコップを作って渡すことにする。


「じゃあ、夕食のときにつるはしとスコップを渡すから、そのときには上に来てよ?」

「シャー」


 葉月はソラ、コハクと共に一旦地上へと戻る。

 コハクはチャッピーの巣箱が気になるらしく、そわそわとそちらばかりうかがっている。


「コハクはチャッピーのところへいくんならいってもいいよ?」

「くまっ!」


 コハクはあっという間に走り去った。

 葉月の従魔はマイペースな者が多いようだ。

 葉月はインベントリの荷物を整理してから、夕食作りに取り掛かる。


「今日はパンにするよ!」


 クラウドという新たな住人が増えたこともあるので、葉月は新たな料理にチャレンジすることにする。

 メープルシロップが作れるようになってきたので、ようやく解禁になったメニューだ。

 以前にりんごで作っておいた酵母の瓶を開けてみると、しゅわしゅわと盛んに泡立っている。

 酵母が増えたかどうかはにおいと味で判断するしかないので、かなり不安だったが、こうして泡立っているところを見ると成功しているのだろう。

 葉月は作業台の上にボウルを置き、小麦粉と酵母にメープルシロップ、それから少しの水と塩を一つまみ加えた。それからアボカドオイルも少し追加する。

 あとはこれを混ぜて発酵させ、膨らんだら焼けばいい。


「ソラ、手伝って!」


 ソラはぷよりと揺れて葉月の肩から作業台の上に移動する。

 ソラの体に水をかけてきれいに洗ってやると、ソラはボウルの中に飛び込んだ。

 最初はばらばらだったパンの生地がどんどんとまとまっていく。

 ソラがパンを作っている間に、葉月はジャガイモをきれいに洗った。

 これを蒸し器に入れて蒸かし芋にするつもりだ。

 かまどの上に水の入った鍋と蒸篭(せいろ)をセットし、皮がついたままのジャガイモを蒸篭の中に並べ、少しだけ塩を振る。

 あとは火をつけて放置でかまわない。

 ソラがパン生地をこね終わったので、かまどの近くの暖かい場所で発酵するまで待つ。


「ソラ、これもお願い」


 葉月はソラに牛乳を渡し、朝と同じくバターを作ってもらった。

 これはあとで蒸かし芋につけて食べる分だ。


「あとは少し汁気がほしいかな?」


 たまねぎ、にんじん、トマトを煮込んでスープを作る。

 ここに鶏がらスープなどの出汁があれば最高なのだが、ニワトリは卵を産んでくれる貴重な動物だ。とても食べられない。

 それでも野菜の皮とトマトからの野菜のエキスが染み込んだ、やさしい味のスープが完成した。

 発酵させていたパンの生地は十分に膨らんでいた。

 指で生地をつつくとしっかりと指のあとが残る。

 葉月は生地をつぶして八等分にし、ころころと丸めた。

 ここで生地をすこし休ませなければならなかったはずだ。

 葉月は以前の記憶を掘り起こしつつ作業を進める。

 この間にクラウドに渡すためのつるはしとスコップをクラフトしておこう。

 隣の作業台に移動し、ストレージから木の棒と鉄インゴットを取り出す。

 木の棒を並べ、スコップの形にインゴットを配置してクラフト、つるはしの形にインゴットを並べてクラフトすれば完成だ。

 ゲーム内ではクラフト必須のツールだが、万能ツールばかり使っていた葉月にとっては、久しぶりにクラフトした気がした。

 できたツールはインベントリに放り込んだ。

 さて、パン作りの再開だ。

 丸めた生地を三角形に伸ばし、頂点を一つつまんでころころと丸めてロールパンにする。

 このあともう一度膨らむのを待って焼けば出来上がりだ。

 葉月は作った生地を天板の上に並べた。

 パンの二次発酵を待っている間に葉月は装備品の修理をすることにした。

 探索用のアイアン装備はどれも耐久値がかなり減っている。

 今日作ったばかりの木刀も、大して戦っていないのにかなり耐久値が減っていた。

 まずは修理するのに使う金床(かなとこ)を鉄インゴットからクラフトする。

 鉄インゴットを九つあわせて作る鉄ブロックが必要になるため、かなりの素材を消費した。

 けれどこれがなければ装備品の修理はできないので、どうにもならない。

 できた金床を作業台の隣に設置した。

 次に鉄インゴットを使って探索用の装備を修復する。

 装備を修理しないままでいると、破損し、最悪の場合は消失してしまう。

 葉月にとっての生命線であるので、修理に必要な鉄ブロックは惜しまない。

 全ての装備の修理が終わった頃には、鉄インゴットも残り少なくなっていた。

 しかし、葉月にはまだやりたいことが残っていた。

 木刀の修理と強化だ。

 葉月は木刀に鉄インゴット、糸束、卵をあわせてクラフトする。

 もちろんマナグラスで鑑定するのを忘れない。


『名称:竹光(たけみつ)。説明:【居合】スキルが使用可能。木刀よりはまし』


 竹光とは刀のように見せた偽物である。

 木刀の刀身に薄い鉄を張り合わせただけのものだが、初心者である葉月にはこれくらいでいい。

 それにもっと威力の高い刀を作るにはそれなりに素材も必要になってくる。


「明日は採掘かな」


 かなりの鉄を使ってしまって、ストックがほとんどなくなってしまった。

 葉月は明日の予定に採掘を追加した。

 そんなことをしている間に、パンの二次発酵が終わっていた。

 十分に膨らんだパン生地をオーブンに入れて焼く。

 二十分もあれば焼きあがるだろう。


「シャー」


 クラウドが採掘場から上がってきた。


「よし。みんな料理を並べるのを手伝って~!」


 ソラ、コハク、チャッピー、クラウドが葉月の周りに集まってきた。

 

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