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箱庭の異世界でスローライフ万歳!  作者: Jade
村づくりを本格化させよう
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11日目. 物欲センサーってあるよね

「では、試し切りといきますか!」


 葉月は木刀を手に、装備を整える。

 ソラとコハクもお供に連れて行くのを忘れない。

 チャッピーは通常運行だった。蜜集めをよろしくお願いします。

 葉月は気を取り直して、マナグラスをかけたまま拠点の外に足を踏み出した。


「よし、今日は北東にしよう!」


 葉月はあまり足を運んだことのない北東方面を探索することにする。

 ソラは葉月の肩の定位置で、コハクが背後の守りを固めている。

 木刀の試し切りには敵対MOBと戦わなければならない。

 が、基本的に昼間は敵対MOBが現れない。敵対MOBを見つける可能性があるとすれば、洞窟などの暗くて開けた場所ということになる。

 洞窟では変わった素材が採取できるはずなので、見つけられればいろいろとできることも増えそうだ。

 夜まで待って敵対MOB相手に試してもいいのだが、まだお昼前なのでここは積極的に出てみたい。

 葉月は周囲をマナグラスで鑑定しながら進んだ。

 葉月がただの雑草だと思って見過ごしていた草がわずかに光って見える。これがマナなのだろうか。視線を合わせると、名前が表示された。


『名称:マナ草。説明:マナを回復するポーションの材料になる』


「あ!」


 赤っぽいただの雑草だと思っていたものが、実は薬草だと知って、葉月はがっくりとうなだれた。

 これまでかなり損をしていたのではないかという気がしてくる。


「せっかく見付けられるようになったんだもの。ちゃんと採取しとかないとね」


 葉月は万能ツールを鎌に変化させてマナ草を刈り取る。

 採取したマナ草は勝手にインベントリに収納されていく。

 葉月はインベントリに入れる前に手にしたマナ草をソラに与えてみた。

 ソラの様子はりんごほどではないにせよ、喜んでいるように見える。


「くま~」

「え、コハクも欲しいの?」

「くっくま!」


 コハクも欲しがったので、インベントリに仕舞われたマナ草を取り出して与える。

 ハニーベアはかなりの雑食のようだ。

 コハクはもしゃもしゃとマナ草を食べている。


「すごくおいしそうに食べてるけど、本当においしいの?」

「くっくま」


 ソラもぷよりと揺れて肯定する。

 葉月もふたりにつられてマナ草をかじってみたが、青臭いただの草だった。


「まっず!」


 残念ながら従魔とは味覚が合わないようだ。

 それでもポーションが作れるらしいので採取しておく。

 もしかしたら拠点で栽培できるかもしれないと思いついた葉月は、万能ツールをクワに変化させて、マナ草を何株か土ごと採取しておいた。


「よし。この調子で行くよ!」


 周囲をマナグラスで鑑定しながら進んでいるので、いつもより移動速度は速くない。

 けれどかなりいろいろな素材を見落としていたようで、新たな発見がいくつもあった。


『名称:体力草。説明:体力を回復するポーションの材料になる』

 

「うん、知ってた……」


 葉月は黙って体力草を採取する。

 こちらは光って見えないので、注意深く観察していなければ見つけるのは難しい。

 これまで気づかなかっただけで、いろいろな素材が拠点の周囲にあったのだろう。

 これまで行った場所でも、もう一度鑑定をしながら進むべきなのかもしれない。

 こちらも土ごといくつか持ち帰ることにする。

 体力草はソラもコハクも欲しがらなかった。

 つるっぽい植物を見つけたので、こちらも鑑定しておく。


『名称:コショウの苗木。説明:スパイスとして使われることが多い』


「ふおおおおお! コショウ! スパイス!」


 感激のあまり葉月の語彙力が崩壊している。

 葉月がそろそろ欲しいと思っていた素材の一つだ。

 肉や魚が採れるようになったら、必要になるはずだ。

 葉月はいそいそとコショウの苗木をインベントリに仕舞う。

 残念ながら苗木の状態なので、コショウの実は生っていなかった。

 これはぜひ拠点で栽培しなければならない。

 しばらく進んだところで、葉月はカラフルな実が生っている低木を発見した。おそらく想像が当たっているだろうと思いつつ、鑑定しておく。


『名称:トウガラシの木。説明:スパイスとして使われることが多い』


「ひゃっふう! これはカレーを作るべしという神のお告げじゃない?」


 カレー粉を作るには、辛味、味と香り、色をつけるためのスパイスがそれぞれ必要となる。

 葉月が見つけたばかりのコショウとトウガラシは主に辛味の元となるスパイスだった。

 カレーを作るにはまだ味と香り、色の少なくとも二種類のスパイスがなければ成立しない。

 味と香りの元となるクミン、コリアンダー、クローブ、シナモン、カルダモン、ナツメグあたりが見つかればいいのだが、オールスパイスだけでもそれらしいものが作れるかもしれない。

 それから黄色の元となるターメリックは外せない。

 ウコンとも呼ばれ、ショウガのように根が食べられる。

 葉月は新たなスパイスの発見を期待しつつ進んでみたのだが、物欲センサーに引っかかってしまったのか、それらしい植物を見つけられないまま、川に突き当たってしまった。

 拠点の東側で川を見つけていたので、ここまでは想定の範囲内だ。

 ここで進路を北に変えて進むことにする。

 川沿いに進んでいくと、砂地を発見した。

 ガラスの材料となるので、砂はぜひとも採取しておきたいところだ。

 葉月は早速万能ツールをスコップに変化させて、砂を採取していく。

 コハクとソラも手伝ってくれようとしたのだが、ふたりが砂を削っても、ブロック状にならないのでインベントリに格納することはできなかった。

 仕方がないので、ふたりには周囲の警戒と探索をお願いしておいた。


「ふう……。こんなものかな?」


 採れるだけ砂を採取すると、インベントリの枠が二つほど埋まった。

 これで当分ガラスの材料には困らないだろう。


「よし。次!」


 本来の目的である洞窟の発見ができないまま、時刻はお昼ごろを迎えようとしていた。


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