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11日目. 新MOD導入と戦力の増強

 葉月はソラに牛乳の入った桶を渡した。


「これを振ってくれる? しばらくしたらバターができるはず」


 ソラはぷよりと揺れて、牛乳を包み込んだ。

 半透明なソラの体の中に白い牛乳が浮かんでいる。

 ソラがぐにゅぐにゅと体を動かしていると、次第にわずかに黄みがかった塊ができてきた。


「そう、それそれ! もう少し!」


 ソラが体でシェイクした牛乳は、完全に固体と液体に分離した。


「液体は乳清だけど、ソラが吸収しちゃって」


 飲むヨーグルトみたいな味がするらしいけど、今欲しいのはバターなのだ。

 ぷよりと揺れてソラが液体を吸収すると、塊だけが残った。

 ソラがぷっと皿の上に塊を吐き出す。


「ソラ、ありがとう!」


 葉月はできたバターに砕いた岩塩を少しふりかけ、スプーンを使って混ぜていく。


「できた! ホットケーキに乗せて食べてみて」


 コハクとソラのホットケーキにバターを乗せてあげると、さっきよりも食いつきがよかった。

 葉月は自分のホットケーキにも出来立てのバターを乗せる。

 じわりと溶けたバターの上にコハクが作ってくれたメープルシロップをかけて食べる。


「んー、たまらん」


 葉月は口の中に広がるバターとメープルシロップの香りと、甘さとかすかな塩味を堪能した。

 特に甘味は久しぶりだったので、満足度がすごい。葉月はあっという間に二枚を食べ終えてしまった。


「くまっ! くまっ!」


 コハクはホットケーキのおかわりが欲しいらしく、皿を差し出してくる。


「仕方ないなぁ」


 葉月はコハクの皿にホットケーキを追加してやる。


「あ、ソラも?」


 ぷるぷると揺れるソラの前の皿にも、ホットケーキを追加した。チャッピーの前には無言でメープルシロップを継ぎ足した。

 先ほどからぶんぶんと催促するような羽音がうるさかった。

 二枚だけ残ったホットケーキはインベントリに入れておく。

 一晩眠って、おいしいものを食べたおかげなのか、葉月の少し落ち込んでいた気分はどこかに吹き飛んでいた。

 ステータス画面を確認すると、やはり経験値がレベル三十を超えている。

 そして、予想通り新たなメッセージも表示されていた。


『経験値を消費して、新たなMOD(モド)を追加しますか?』 ▲Yes △No


 ここはもちろんYesを選択する。

 装備はきっちり整えてあるし、何がきても大丈夫……なはずである。

 しばらく待ってみたが、敵対MOBが現れることはなく、葉月はほっとする。

 ステータス画面で確認すると、かなり経験値が減っていた。

 前回の魔法系のMODよりも多く消費しているので、かなりいいMODなのではないかと、葉月の期待は高まった。


「じっとしてても仕方ないね。いろいろ試してみる前に、作らないといけないものがあるんだ」

「くま~?」


 コハクが葉月の独り言に首をかしげている。

 チャッピーはメープルシロップを食べ終えると、さっさと自分の巣に戻ってしまっている。

 葉月はソラとコハクを引き連れて、作業台へ移動した。


「まずは忘れずにマナグラスを作っておかないとね」


 ガラス、マナフラワー、マナの水が入った瓶が各一個、鉄インゴットが二つ必要だとマナの書には記載されていた。

 葉月はインベントリから素材を取り出して並べた。

 マナフラワーは一番数の多いマナデイジーを使うことにする。

 マナの水はバケツに汲んであったものを小瓶に移した。

 鉄インゴットはかなり豊富にあるので、惜しまずに使う。が、ガラスがかなり心もとなくなってしまったので、あとで砂を採取に行くことを頭の隅にメモしておく。


「出でよ、マナグラス!」


 葉月はなんとなくハイになって叫びつつクラフトする。

 作業台の上がぴかりと光って、一見するとただの銀縁眼鏡にしか見えないメガネが現れた。


「ん~? ただのメガネっぽい?」


 とりあえずかけてみることにする。

 マナグラスをかけたまま作業台に視線を向けると、視界の隅に文字が浮かび上がった。


『名称:作業台。説明:いろいろクラフトできる作業用の台。クラフターにとって基本の道具。調理台としても使える』 


「おお!?」


 どうやらマナグラスにはヘルプっぽい機能があるようだ。

 これでいちいちインベントリに入れて確認しなくても、アイテムの名前がわかるようになるだろう。

 しかも、簡単な説明まで表示してくれるのだ。

 葉月は肝心のマナを見るための道具だということを忘れて、つぎつぎと周囲に視線をめぐらせた。

 まずは葉月の肩に乗っているソラに視線を向ける。


『個体名:ソラ。種族:万能スライム。魔法:水。説明:葉月の従魔』


「おお!」


 葉月が予想していた通り、ソラは水の魔法が使えるらしい。


「悪食って……なんでも食べるからだね。そういえばフリードリヒさんもソラの事万能スライムだって言ってたな。万能スライムって何? スライムと何か違うのかな? まあいいや、次はコハク!」


 考えてもわからないことは後回しにする。

 葉月はコハクを観察した。


『個体名:コハク。種族:ハニーベア。魔法:気。説明:葉月の従魔。森の守護者』


「おお、コハクも魔法を使えるんだ。森の守護者ってなんだかかっこいい」

「く~ま~」


 葉月のほめ言葉にコハクは照れていた。

 葉月は調子に乗って次々と周囲を観察していく。


「チャッピーはどんな感じかな?」


『個体名:チャッピー。種族:ハニービー。魔法:気。説明:葉月の従魔。花蜜(かみつ)ソムリエ』


「まあ、予想通りかな」


 葉月は拠点の中をマナグラスを使って一通り観察する。

 が、特に新しい発見はなく、葉月が知っている程度の説明しか表示されない。

 葉月はこのまま拠点の外をマナグラスで観察してみたい誘惑にかられたが、その前にやりたいことがあった。

 葉月の重大な弱点である戦力の欠如をどうにかしたい。

 だが、あいにくと葉月は武術スキルを持ち合わせていないし、葉月の目指すのんびりスローライフに戦いは含まれていない。

 ならば、どうするのか。

 答えは、あるところに任せよう、という若干人任せな方法だった。

 葉月は作業台に移動すると、木材を取り出した。

 これまで万能ツールに頼っていたので、クラフトしたことのない木剣を作る。

 木材をクラフトして木の棒を作り、木材とあわせてクラフトすれば木剣が出来上がる。

 しかしこのままでは攻撃力の低い武器でしかない。

 葉月は更に木剣と木材を組み合わせてクラフトした。

 マナグラスでクラフトしたものを確認する。


『名称:木刀。説明:【居合】スキルが使用可能』


「むふふふふ!」


 葉月の口から思わず笑いが漏れる。

 木刀は葉月がゲーム内で愛用していたMODでクラフト可能な武器の一つだった。

 このMODでは刀剣のレシピが追加され、居合というスキルが使えて、適当に攻撃するだけで範囲攻撃ができ、連続攻撃もできる。

 鞘から刀を抜くと抜刀術が自動で発動するため、葉月のようなプレイヤースキルのないプレイヤーでも、力押しができるという優れものだ。

 きっとゲーム神だと名乗ったあの神様ならば、使えるようにしてくれていると思ったのだが、予想通りだった。

 葉月の笑いはしばらく止まらなかった。


異世界移住11日目


経験:Lv.31→16

従魔:ソラ(スライム:Lv.15→16)+子分スライム×8(トイレ用)、コハク(ハニーベア:Lv.1→2)、チャッピー(ハニービー:Lv.1→2)

家畜:ニワトリ×3、ヒヨコ×1 New!、はなこ(乳牛:雌)、太郎(乳牛:雄)、すみれ(乳牛:雌)、アルパカ


称号:開拓者、豆腐建築士、臆病剣士、ソラの飼い主、二級建築士、節約家

スキル:土木:Lv.5、建築:Lv.7、農業:Lv.6→7、伐採:Lv.6、木工:Lv.12、採掘:Lv.7、調教:Lv.6、石工:Lv.5、料理:Lv.7、鍛冶:Lv.3、畜産:Lv.4→5、マナ:Lv.2、鑑定:Lv.1 New!、居合:Lv.1 New!


挿絵(By みてみん)



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