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3日目. スライムが現れた!

「うふふ~。これでかなりクラフトできるものが増える~♪」


 葉月の口からは謎の歌が漏れていた。

 石材が手に入れば、クラフトできる種類が格段に増える。

 葉月がこの世界に来てからずっと手に入れたかったものがようやく手に入るのだ。浮かれるのも無理はなかった。

 つるはしを振り上げ、鼻歌と共にサクサクと石材をブロックとして採取する。

 あっという間に石材でインベントリの枠が四つ埋まった。


「とりあえず、こんなものかな?」


 マップにはもう採取ポイントをメモしてあるので、足りなくなったらまた来ればいいと、葉月はつるはしを仕舞った。

 ふと岩場の上を見上げると、木の枝が目に付いた。

 スギの木のような針葉樹ではなく、葉が大きい。

 新たな木材入手の予感に、葉月のテンションはいよいよ高まる。

 つるはしを使って階段状にくりぬきながら岩場を登ると、少し平らになっていて、木がまばらに生えていた。

 よく見ると葉のあいだにどんぐりが生っている。

 どんぐりが手に入れば木を栽培できるだろう。

 葉月はつるはしを高枝切りバサミに変化させた。

 ファークラ(ゲーム)にはなかったツールだが、万能ツールは葉月が知っている道具であれば、なんにでも変化させられるのではないだろうか。

 葉月はどんぐりのついた枝をいくつか切り落とし、インベントリに収納する。

 続いて斧に変え、木を切り倒していく。

 木は五十センチほどの長さの丸太のブロックとして採取されていく。

 インベントリを確認すると、ナラの丸太と表示されていた。

 ナラの木はオークとも呼ばれ、家具を作るのに向いている。

 葉月は手が届く範囲の木は全て回収し終えると、更に岩場を登った。

 オークの木の森がそこにはあった。

 にんまりと笑った葉月は、先ほどと同様にどんぐりを枝ごと採取してから、斧を振りかざし、黙々と丸太を採取していく。

 太陽の光が頭上から降り注ぐころには、インベントリが満杯になっていた。

 こうなってしまうと、拠点に戻ってインベントリの中身をストレージに移すしかない。

 葉月はひと休みすることにして、インベントリからりんごを取り出す。

 皮のままりんごにかじりついて、小腹を満たす。

 おいしいが、そろそろしょっぱいものが食べたかった。

 とはいっても、塩を入手するのは難しい。

 海が近くにあればなんとかなるのだが、今のところは発見できていない。

 未探索の拠点の西側に期待するほかなさそうだった。

 そんなことを考えているうちにりんごを食べ終えた葉月は、残った芯をその辺に放り投げた。

 さて、拠点に帰ってクラフトするぞと意気込んだ葉月は、ポヨンと何かが弾む音を聞いた気がした。


「ん?」


 葉月が背後を振り返ると、サッカーボールほどの水色の丸い物体がポヨンポヨンとはねている。

 半透明なボールの中には、先ほど葉月が投げ捨てたりんごの芯が浮かんでいた。


「す、す、す、スライムだ!」


 葉月の叫び声に、スライムはびくりと飛び上がる。


「驚かせて、ごめん」


 葉月が慌てて謝ると、スライムはぷよりと体を震わせた。

 まるで、いいよとでも言うように。


 スライムの体に取り込まれたりんごの芯はじわじわと姿を消していく。

 どうやらスライムのご飯となったようだ。

 ゲーム内では近づくと問答無用で襲い掛かってくる敵対MOBに属するスライムだが、このスライムは跳ねているだけで、葉月に攻撃を仕掛けてくる様子がない。

 葉月もしかしてと思いながら、インベントリから一つりんごを取り出した。


「ね、これも食べる?」


 葉月がスライムの前にりんごを差し出すと、スライムはプヨリと揺れる。

 肯定的な返事なのだと信じて、葉月はりんごをゆっくりとスライムに近づける。

 スライムとりんごが五センチほどの距離になったところで、スライムが待ちきれなくなったらしく、りんごに向かってムニョリと体を手のように伸ばし、りんごだけを葉月の手から浚っていく。

 わずかに触れたスライムの体はひんやりとしていて、水まんじゅうのようだった。

 

異世界移住3日目


空腹度:●●●●●●●●○○

体力:●●●●●●●●●●

経験:Lv.22→23


称号:移住者 (かけだし)、豆腐建築士、臆病剣士、

スキル:土木:Lv.3、建築:Lv.1、農家:Lv.2、木こり:Lv.2→3、大工:Lv.3、採掘:Lv.1→2

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