恥ずかしいもやし
遅れてすいませんm(__)m
言い訳させてもらうと、今CGイラストの練習してるんですよ。
僕、友達の数両手の指で足りるくらいですから、絵が描ける友達いないんでならいっそ自分で描いてしまえと、ペンタブ買いました(笑)
あと、ぶっちゃけ学生なんで
ちょいラブコメいれました
「やっど、やっどづいだ~」
町……というか都についた俺の第一声がそれだった。
2日。あの村からこの都に来るまでに2日もかかった。
夜以外歩きっぱなしでだ。しかも夜は魔物が襲ってくるかもしれないってことで交代で見張りをしていたために疲れがあまりとれていない。
現に何回か魔物と戦った。
体内にある魔力は使うごとに個人差はあれど、増えていくらしい。
そして、ここに来たばっかりの俺は必然的に魔力が少ない。
空気中に含まれる魔素を取り込み、魔力へと変換することで魔力は回復するらしいが、そこまで効率的ではないらしい。
な・に・よ・り!
魔法とかスキルを使うと疲れる。
アイテムボックス程度ならば少し疲れる程度で済むのだが、【幻想創作】は疲れる。物質の質量に比例して消費魔力も増えるためすごーく疲れる。
話が逸れたな。
てなわけで、苦労して辿り着いたのだ。
「冒険者ギルドに行く前に空いている宿屋を探しましょうか」
カナリアも少々疲れ気味に言う。
「そうしよう」
移動期間の2日間で、ある程度の予定は決めている。
まずは大量のゴブリンとオーク、道中出会ったシルバーウルフも魔石を換金する。
魔石を換金するためには、冒険者にならないといけないらしいので冒険者ギルドで登録を済ます。
カナリアが元々持っていたお金には、まだ余裕があるが、食材やら装備やら買わなきゃならんので、稼げるときに稼いだ方がいい。
持ってて困るものでもないしな。
そしてサッサとこの国からおさらばする。
ここはまだあの極悪非道な王都の属する国だ。
多少の恨み、憎みはあれど、嫌いなのは王都の上層だけであって、この都は関係ない。
が、そこは気持ちの問題だ。命の危険性が少しばかりでもあるこの国からは、やはりすぐに出たい。
お隣の国は治安がよろしいようですしな。
「伊織さんはあまり魔力が多い方ではなかったんですね。あれほどすごいスキルを使っていたのに……」
少し考え事していると、カナリアが話しかけてきた。
「ん?あぁ、あれね。そうだね、スキルは強いね。でも、強いのはスキルであってそうでない」
「どういうことですか?」
カナリアは首を傾げる。
「んーっと、なんて言えばいいんだろ……魔法やスキル、物質まで創れるこのスキルは確かに強い。けど、【幻想創作】で直接攻撃する場合、その威力はスキルに注いだ魔力に比例して変わるんだよ。で、俺は魔力が少ないからそこまで強い攻撃が出来ない。だから、あの神槍もそんなに攻撃力はなかったんだよ。強く見えたのは俺のもうそ――想像力が豊かだったから無駄に脚色されたって訳。どうして神槍が消えたのかは知らんけど……」
俺の説明は、微妙にしか伝わらなかったようだ。
言葉をまとめる力が乏しくて伝わらんのですわ。
こういう時に語彙力というかコミュ力というかが欲しいって心底思う。
万年ぼっちの俺は、そんな技術は培えなかったんですよ!悪いですか!
そこ!笑うな!
俺がため息をつくと同時にカナリアが声を発した。
カナリアも俺と似たようなもんで、分からないなと判断したらすぐに切り替えるタイプらしい。
「宿屋がありましたよ」
そう言われ顔を上げると、当然の如く宿屋があった。
当たり前だけども……
中に入ると、強そうなおばちゃんがいた。
俺が真面にやりあったら、瞬殺だな、これ。
「あの、すみません。今日って泊まることは出来ますか?」
ビビる俺を余所にに、カナリアは物怖じせずに訊いた。
度胸が据わってまんねん。
おうふ、無意識のうちに口調がト〇ズラーみたくなってしまった。
「あぁん?残念だったね、今夜は空いてないよ。またの機会にしな」
おばちゃんは濁った声でそう言った。
いいのかそれで!その接客でよく繁盛してんな!
俺はツッコミを入れるときは元気100倍――じゃなかった勇気100倍になるのだ(心の中でツッコむ場合に限る)。
はい、そこ!チキン野郎とか言わない!
「「ありがとうございます」」
2人してお礼を言い、宿屋を後にする。
お礼ぐらい言いますよ?だってそりゃ日本人ですもん。
「残念でしたね」
「まぁ、そうだな。次行くか」
冒険者という職業?がある以上、この都にはそれなりの数の宿屋があるはずだ。
空いてない宿屋が空くのを待つより、歩き回った方が効率的だ。
疲れるが。疲れるが!
大事なことなので2回言いました。
「前から気になってたんだが、職業ってのは、そいつの天職みたいなもんだろ?その天職――職業って変わることあんのか?あと、宿屋みたいに特定の事業をやればいいみたいに細かく決まってんのか?」
ずっと気になっていた。
どうして人はステータスである職業に人生を決められているのか。
でも、その答えは考えても分からなかったから、それ以上は考えなかった。
だから、職業について知っておこうと思ったのが、今の質問の趣意だ。
「いえ、聞いた話によると商人や研究者などおおざっぱなものもあれば、私のような聖女や国王、王女といった特定の職業の場合があるそうです。あと、職業が変わることは基本的にはありません」
引っかかる言い方だった。
「基本的には?」
「はい。物事には例外や異常が必ずといっていいほどあります。職業の場合、例外として挙げられるのは、奴隷と冒険者です。まず、冒険者の場合は『副業』としてステータス画面に表示されます。冒険者になれば、自動的に追加されるそうです。そして――奴隷。人が奴隷になった途端に、その人の職業は『奴隷』として、上書きされてしまいます。生まれた時から奴隷の職業になることは滅多にありません。奴隷と奴隷の子どものみ、初めから奴隷として生まれます。……えっと、わかりましたか?」
「ん、ありがと。大体分かった」
要するに、職業は人によってまちまちで、冒険者は『副業』扱いになり、奴隷は職業そのものが『奴隷』になっちゃうってことか……
なんだろう、この胸糞の悪さは……
てか、カナリアも俺に負けず劣らず語彙能力低いんじゃないか?
いや、話をまとめる力か?それとも単に俺が馬鹿なだけか?あれ?ん?
まぁ、そんなことはどうでもよくて、
やって来ました2軒目。
「すいませー「今日は空いてませんので、またの機会にお願いしまーす」ん?」
俺がすべて言い終わる前に、店員さんが言いきってしまった。
「つ、次行こうか」
気を取り直して次の宿屋へ向かった。
空いてなかった。
「つ、次!」「はい!」
ここもダメ。
「次!」「はい!」
ダメ。
次。ダメ。次。ダメ次ダメ次ダメ次ダメ次次次次次次次次次次次次次次次次ーーーーー!!!
ダダダダダダダダダダダダメメメメメメメメメメメメメメメーーーーーー!!!!
――いい加減にしろーーー!!!!!!!
一体何軒の宿屋を回っただろうか。
途中から嫌気が差して、数えるのを止めてしまった。
たぶん、都中の宿屋を回った気がする。
ハブかれ体質なのかな、俺ら……
そして残る一軒。
――見るからにあれでした。
「……ら、ラブホテルじゃねぇか……」
見た目から少しいかがわしいが、雰囲気が……建物の放つオーラが完全にあれなのだ。
なぜこんなものが異世界にあるんだ!?
「か、カナリア。こ、ここでいいか?」
「で、ですが伊織さん。ここって……その……」
カナリアが下を向いてぼそぼそと言う。
下を向いてるが、耳まで真っ赤なので、まる分かりだ。
意識するな。意識するな。意識するな意識するな意識するな意識するな意識するな意識するな意識するな意識するな意識するな意識するな。
俺はただひたすらに、念仏のように唱え、邪な心を追い払った。
「カナリア、俺たちは泊まりに来たんだ。正直、野宿はもうこりごりだ。いいな!?俺たちは『ただ』泊りに来たんだ!」
『ただ』の部分を強調する。
強がってはいるが、俺の顔も真っ赤なんだろう。
カナリアはチラチラとこちらを数回見て、小さい声で、
「……は、はい」
運よく空いていたが、なんとなんと一部屋だけだった。
ラブホ、もとい宿屋の件は後回しにして、俺たちは冒険者ギルドへ向かっていった。
未だ俺たちの羞恥からくる熱は冷めておらず、お互い顔が火照っていた。
カナリアはずっと下を向いている。
「きゃっ」
不意にカナリアが可愛らしい小さな悲鳴を上げた。
どうやら、下を向いていたために、前から来た人にぶつかってしまったようだった。
「す、すみません」
カナリアが咄嗟に頭を下げる。
条件反射で頭を下げるなんて日本人みたいだ。
「あぁん?」
カナリアにぶつかられた、如何にも小物そうな男が睨みを利かせる。
が、カナリアを見た途端、鼻の下を伸ばし、下卑た笑みを浮かべた。
その顔は、さながらゴリラの様だ。
「おい、嬢ちゃん。謝って済むなら騎士団はいらないってよぉ」
騎士団っていうのは、日本で言う警察の様なものだろう。
それにしても何たる小並感。
「謝るなら体で謝ってもらおうか?」
体で払ってもらおうか!的なニュアンス何だろう。
こういう奴初めて見るぞ。
「す、すみません」
カナリアは謝るが、今は意を成さない。
カナリアはこういう時――というか、店の人以外との会話は俺並みにコミュ力が下がる。
初めて会った時も、なんか絡まれてたし。
「だからさぁ。もう口で謝らなくていいから、か――」
「ゴリラがほざくな」
俺はカナリアに触れようとしたゴリラの手首を掴み、言葉を遮った。
表面上冷静な俺だが、内心はかなり焦っていた。
なんで面倒なことしたんだ俺!?
こういうのはいつも無難にやり過ごしているじゃないか!
今まで磨き上げてきたスルースキルはどこ行った!?
だが、こう思う反面。
カナリアに触れようとしていたゴリラ顔の男が、どうしようもなくむかついた。
「あぁ?てめぇみたいなもやし野郎は引っ込んでろ。殺すぞ」
男が威圧をかけてくるが、俺の頭は全く別のことを考えていた。
この世界にももやしってあるんだな。
だが、甘い!
俺は静かに笑う。
それを見たゴリ男(命名)が気味悪そうに、こちらを一瞥した。
「もやし――もやしとは豆、米、麦などの種子を暗所で発芽させたものの総称」
俺は拙いもやしの知識を口にする。
「中国で古くから食材として使用され、日本では江戸時代に黒豆のもやしが薬用として栽培されていたが、明治時代末期から食用として栽培され、中華料理店や一般家庭で使用されるようになった」
それは、静かに――魔法の詠唱のように音を響かせる。
「成長が早く、室内で水耕栽培されるため、一年を通して安定して生産できる。歯応えもよく、みずみずしいため、サラダ、和え物、炒め物などに使用される。そして何より!栄養価が意外に高い!」
否、それは詠唱であった。
「【幻想創作】氾濫するもやし」
地面から無数のもやしが生え、ゴリ男を天へと突き上げていく。
もやしは、発芽の際、上に物が置かれていても、それごと押し上げる程に強いのだ。
それプラス、俺の想像力だ。
ゴリ男はぐんぐん持ち上げられ、5メートルほどの高さにまで上ったところで、もやしの成長が止まった。
なんだろこれ。引くな。
伸びたもやしは何故か不快な気持ちにさせた。
おいしいのに。
俺は、スキルの把握も兼ねて、ゴリ男に接していないもやしを消してみることにした。
「消えろ」と念じると、消えてほしい所のみ消え、後は残った。
「グングニルが消えた理由は謎だが、もやしのような物質は任意で消せるのか。結構使い勝手がいいな、このスキル。日本の食材食い放題じゃん。食えるか知らんけど」
取りあえず、ある程度把握はできた。
有効に使おう。娯楽的な方向で。
戦うの疲れるし……
「ありがとうございます、伊織さん。その……助けていただいて」
「いいよ、気にしなくて。ついでだしちょっとイラッときただけで、俺が勝手にやったことだから。それより冒険者ギルド行こうか。その後買い物もしたいしな」
そう言って俺は冒険者ギルドに向けて足を進めた。
カナリアも後からついて来たが、顔は下を向いたままだった。
ただ、さっきとちょっと違うのは、人にぶつからないように俺の服の袖をつまんでいたことぐらいだ。
――カナリアたんマジ天使!
後ろから野太い声が聞こえた気がしたが、聞こえなかったことにした。
もやし……
一種の気の迷いというか暴走で、もやし……
でも、もやし美味しいですよね?
反省してます。すいません。
この作品はハーレムしません。個人的に一途とかそういうのが好きなので。期待していた方すみません。
ハーレムも好きですけどね?