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やっぱり多難

伊織「俺に料理を教えてくれ!」

カナリア「それは諦めたほうがよろしいかと……」

伊織「なにッ!?」

 どうも。カナリアの余計な発言により、この村の問題を解決をする羽目になった神作です。

 「かみさく」じゃないですよ、「かんさく」ですよ。よく間違えられるんですよねー。

 なので、伊織でどーぞ。い・お・り!ですよ!


「なぁ、なんで村周辺を散策してんだ?問題ごとを村長に訊けば早いだろ?」


 ぐだぐだとカナリアの後ろをついて行きながら訊いた。


「こういうのは、まず、村の雰囲気とか地形を確認しなければいけませんよ。非常事態が起こった時、村人は何を思うのか、どういう行動を起こすのか、避難経路は安全か、など色々なことを考慮して作戦を練ることができます。話だけでは分からないことは沢山あります。なので、土地を、人を見て回ると言うのは重要なことなんですよ?」


「そ、そうなのか」


 んーと、まぁ、聖女さんがそう言うのならそうなんだろう。




 数十分間、村やその周辺を見て回り、村の村長宅へやってきた。


 コンコン


 カナリアが2回扉をノックすると、中から髪をおさげにした、俺たちと同じくらいかそれより下くらいの可愛らしい少女が出てきた。


 村長の孫娘かな?


「あ、あの、どちらさまで……?」


 おさげの少女はおどおどしながら言った。


「おい、カナリア。お前の顔が怖いから、おどおどしてんぞ(小声)」


「え!?私のせいですか!?(小声)」


「いや、冗談(小声)」


「そうなんですか。私のせいかと思ってしまいました。むぅ……伊織さん酷いですよ(小声)」


「ごめんごめん。つい出来心で(小声)」


「あ、あの~」


 カナリアを茶化すのって面白いだろうなぁ~っていう出来心で、おさげちゃんのことすっかり忘れてました。すいません。


「すみません。私たちはこの村の問題を解決しようと思って、村長さんにお話をお聞きしようと――」


「帰ってください」


「「……え?」」


 カナリアの言葉を遮り、おさげちゃんが冷たい口調で言い放つ。


 言葉の意味とその冷たい視線を呑み込むのに、少し時間が掛かった。

 理解した途端、頼んでもないのに俺ら2人の口から疑問の声が生まれた。


「そうやって良心で動いているという体を装って、村人を誘拐して奴隷商に売りつけり物を盗ったり!依頼の内容が無理だとわかったら去っていく!この村の人以外の人間はみんな屑です!分かったならサッサと帰ってください!」


 おさげちゃん、もといおさげの少女は最後にキッと俺たちを睨み、大きな音を立てて扉を閉めた。


 理解が追いつく前に全て終わってしまい、立ち尽くす俺たち。


「あ、あの~、どうしましょうか、伊織さん」


「……それを俺に訊くか?」


「そうですね」


 この村の問題は闇が深そうだ。

 なんて厄介なことに巻き込んでくれたことやら……


「また、ハブかれてしまいましたね」


 い ま そ こ か!


「ほんとだな」


 それには同意したので、乗っておく。


「んじゃ、俺たちはサッサと退場して、この村からおさらばしますか。やれることなさそうだし、ここの村人は重度の人間不信者っぽいし」


「そうですね。なんとかしたいのは山々ですが、仕方ありません。村長さんは気の良いお方でしたね」


 村の滞在時間、約3時間!

 ここまでの道のり、半日!


 少ししか休めてない。そして夜なう。


「やっぱり一泊しないか?暗いんだけど……」


「うーん……夜も更けてきましたし、そうしましょうか」


 村人が襲い掛かる不安もあったが、それ以上に疲れていたので、村の入り口から一番近い空き家に入った。


 ある問題に気付いた。


 ベッドが一つしかない。


「お、俺、床で寝るから。カナリアがベッド使っていいよ」


 女の子に床で寝かせるのは心苦しい。

 俺は気遣いできる系敏感男子なのだ。

 彼女いない歴=年齢には、当てはまらないのだ!


 嘘です。すいません。

 クッソォォォオオオオオオオ解せぬぞォォォオオオオオオオオオオオオオ!!!!


「何しているんですか?」


「いや、何にもない。気にしないでくれ。もし、俺と同じ部屋、同じ家、同じ空気を吸うのが嫌だというのなら、違う空き家を探すぞ。できれば、最後の選択肢は選ばないでほしい。まだ死にたくない」


「では、最後のでお願いします」


「ぐっは……さよなら異世界」


 どうやら俺の命はここまでのようだ。

 今まで美少女と同じ空気を吸って生きてこれたのは奇跡だったんだ。

 ありがとう、今まで一緒にいてくれて……エア友達のトモちゃん(尚、トモちゃんは異世界召喚時に日本に置いてきた)。


「冗談です。うふふ」


 なんともまあ心に来る冗談でした。

 それでも可愛く笑うもんだから、許す以外の選択肢はありませんね。

 可愛いは正義。まさにその通りですわ。


「私も伊織さんを床に寝るのは心苦しいのでどうしましょうか……?……あ、こうしましょう!」


 カナリアが何か思いついたらしく、それに任せてみた。


 俺はカナリアの言われるがままで――


 この結果である。


 ん?どんな状況かわからないって?

 説明しよう。


 簡単に言うと、同じベッドの上である!


 決していかがわしい意味ではないのでご安心を。


 何があってこの状況になったのか、ダイジェスト形式でお伝えしよう。


「2人で同じベッドに寝てしまえばいいんじゃないでしょうか?」


「……へ?」


「そうすれば、夜に村人に襲われてもある程度は大丈夫でしょうし、2人とも床に寝なくて済みます」


 う、うん。確かにそうなんだけど……俺に襲われるとかいう心配はなかったわけ?


 へ?草食系だと思ったから?(幻聴)

 そそそそ、そんなことないぞ!?(錯乱)


 そうして、部屋とベッドと自分にクリアをかけ、布団にもぐりこんだというわけである。

 ダイジェストなど必要なかった。


 んで、役得だなと思ったのと、カナリアの自信満々な表情とその場のノリ的なものでこうなってしまったのである。


「あ、あのさ、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」


 俺とカナリアは背中を向け合い、照れくさくて赤面した表情を隠すように寝ている。


「は、はい」


 カナリアが返事をする。


「後悔、してない?」


 俺は恐る恐る訊いた。


「す、少し……け、決して伊織さんが嫌というわけではなくてですね!何というか……男性の方――殿方と同じベッドにいるというのは……その……すごく気恥ずかしくて……どうして先ほど私はあんなことを口走ってしまったのだろうと……」


 だろうな!俺もだよ!


 そして、カナリアがドジッ()属性も持っていると知った瞬間だった……


「……私からも聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」


「……うん。いいよ」


 会話が気まずいぃぃぃいいいいいいいい


「お昼のゴブリンとの戦闘。まるで素人の動きではなかった気がしたのですが、前に何かしていらっしゃったのですか?」


 お昼……?あぁ、あれか。

 俺も丁度そのことについて聞きたいことがあったんだった。


「何もしてなかったよ」


「ならどうしてあのような動きが出来るんですか?」


 気になるよね、そりゃあ。

 だって戦闘素人がいきなりそれなりの動きを見せたら誰だって驚くわな。


「スキルのおかげだよ。あの場で創った。ただそれだけ。あぁ、そのことで聞きたいことがあるんだ……魔法とスキルのLvって何?」


 驚く隙も与えずに次の質問を投げかけることにより、時間のロスを減らせるという秘技を編み出しました。てきとーです。お許しを……


「……え、えーっとですね。魔法やスキルは習得できますよね?それで、Lvというのはですね、主にその能力の強さを示していて、1~10までの10段階存在します。Lvが上がるほど魔法やスキルの性能、威力が上がっていきます。Lvの上がり方には個人差があります。そして、例外としては、固有魔法、固有スキル、生活魔法があります。この3つにはLvという概念が存在しません。才能に優劣をつける必要がないからではないでしょうか?それでも、固有魔法と固有スキルは使っていくごとにより良いものへと変わっていきます。生活魔法は魔力量で範囲などが変わっていきます。……そのくらいでしょうか」


「ありがとう」


 俺はカナリアに礼を言い、自分のステータスを確認する。


-------------------------------------

神作 伊織 男 16歳


魔法:空間魔法Lv1 生活魔法


スキル:剣術Lv1 回避Lv5


固有スキル:幻想創作(イメージクリエイト)


職業(ジョブ)創造者(クリエイター)

-------------------------------------


なんか前より少しだけ見やすくなってる。

 まぁ、そんなことはどうでもよくて、問題なのはこれだ。


 ――回避Lv5


 これだけは、Lvが1か無いかの中で異彩を放っている。

 創った時からすでにLv5の状態だった。

 その時はこういうもんなのか?と適当に流していたが、それは間違っていたと今なら思える。


 本来Lvは1から始まるはずなのだ。

 それが最初から5。


 これは間接的に「お前は逃げるのだけは早いのな!ウェーーーイ!」と馬鹿にされているということか?

 解せぬ。成敗じゃ!


 腑に落ちないが、そういう事にしといてやろう。

 分からないことを考えんのは嫌いだ。寝よう。


 俺はそのまま眠りについた。




 ちゅんちゅんちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅーーーーん


 うっせーよっ!?


 無駄に喧しい鳥の(さえずりで目が覚めた俺は、体をそのままに、顔を横に動かした。


 ん?むむむむむ?


 目と鼻の先には、人形かとさえ思える整った綺麗な顔があった。


 ドウイウジョウキョウ?


「ぴぎゃぁぁぁああああああああああああああああああ」


 俺はベッドから飛び出し、尻もちをつきながらも後退する。

 びっくりしすぎて人間の声とは思えないほどの変な声が出た。


「……ん。んんっ」


 俺の叫び声で目覚めたのか、金髪金眼の美少女はむくりと起き上がり、こちらに顔を向け


「おはようございます。伊織さん」


 朝ちゅんなのか?朝ちゅんなのか?


「おおおお、おはよう」


 冷静さを少し取り戻したところで、昨晩の記憶を探り、思い出した。


 起きた時に女の子の、それもとっても可愛い()の顔が近くにあったら誰だってびっくりするよな。


 寝るときは俺に背を向けていたはずだから、寝返りでもうったのだろう。


「昨晩は、何事もなくてよかったですね。今日はこの村を出て町を目指すんですよね?」


 俺の気も知らず聖女は問いかける。


「あ、あぁ。いつまでもここに居たいとは思わないしな。朝食をここでとってから行くか」


「はい。それでは朝食をお作りしますね」


 カナリアはそう言い、空き家にあった台所で、アイテムボックスから食材と調理器具を取り出し、調理を始めた」


 彼女曰く「朝食は一日の元気の源。朝食食わずして何食うものか」らしく、朝食には気を遣うらしい。


 美人の手料理を朝から食えるなんて、なんて役得。

 近いうちに俺ってば、死ぬんではなかろうか。フラグ的に。




 十数分ほど待つと、料理が出来上がった。


 朝食は黒パンにベーコンっぽいものとスクランブルエッグ(何の卵かは謎)に色とりどりの野菜だ。

 俺的にはこれでも十分美味そうではあるが、カナリアはそうではないらしい。


「パンは非常食として持っていた味気の無いおいしくのない固い黒パンですし、次の町までの移動期間を考えると、食料が心もとありません。なので、これくらいしか作れませんでした。すみません」


「いや、いいよ。作ってもらえるだけ感謝だし、もしカナリアがいなかったら俺、飢え死にしてるからね?」


 俺がそう言うとカナリアは微笑し、椅子についた。


 いやー、美少女とのお食事。

 胸が弾みまんなー。

 こんな平和な時間がずっと続けばいいのに。


 見事に建設されたフラグは、朝食後すぐに、村人の叫び声によって回収されることになりましたとさ。

元々、何となしに書いたものなので書き溜めがなくて大変です。

ブクマ感謝です。

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