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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
75/79

54約束事

今朝、四堂君を玄関で見送った際に、


『今日の夜は用事があって遅くなります。

明日、帰国するんですよね?

出来れば起きて待っていて

欲しいんですけど』


確認されるまでもなく君を残して

先に寝るわけないよ、と了承した。


ここに来てから、一度たりとも

君のベッド以外で寝てないし、 

しかもその間ずっと……だったし、ね。






「お帰り。

簡単に夕食作ったけど食べる?」


「…………」


雪を纏った四堂君を出迎え、

コートを脱がせつつ、ダイニングに

誘導する。



「寒いから、鍋にしてみたよ。

日本らしくて懐かしいだろ?

土鍋さぁ、数日前から結構探しまくってて

漸く今日みつけたんだ」



「…………」



何故か、玄関でマフラーのまま

突っ立ってる四堂君。


「ん?どうした?」


「いえ……」


「何?気になるよ」






「その……新婚みたいだと思って」





「……!」



その後、二人で真っ赤になって

視線も合わせられないで立ちすくむ

という初めて経験させられたのも

多分、いつか良い思い出になる事だろう。



ただね、君のストレートな発言は

心臓に悪いから、気を付けて欲しい。







「桐江さん、

コレ受け取って貰えませんか?」


そういって片膝をついて

出されたものはケースに入った……


「指輪?」


ああ、成程。

今日遅かった理由はコレか。


「ステディリングです、嫌ですか?」


「ううん、いいよ。つけてくれる?」


四堂君が躊躇なく俺の左手を

取ってその薬指に

リングを付けるのを黙って見ていた。


やっぱりそこにつけるんだ……ね。


何だかその仕草が可愛くて

上がりそうになる口角を必死で

我慢する。



「絶対外さないで下さい」


「俺って本当、信用無いんだね」


「信用しています、これは貴方へ

というより周りの女性への抑止の為です。

していればそれなりに効果はありますから」


「そんなに俺を独占したいの?」


意地の悪い質問を投げかけると

少し怒ったように荒々しいキスをされた。



「当たり前だろッ!」



久々に聞く、昔の四堂君の言い方だ。

それだけで気持ちが伝わってきて

満足している俺もどうかと思う。


束縛されるのが良いか悪いかは

ホント相手次第なんだと学んだ気がする。


しかも独占欲というのは

感染するものらしいという事もね。



「で?君の分は?あるんだろ?」


どう見てもペアリングだ。

彼の性格からして俺一人の分だけ用意

したとは思えない。


「はい」


そういって当然の様に差し出した

左手を制して逆の右手を掴んだ。



「桐江さん?」



「君はこっちはダメだよ。

俺は裏方だからいいけど、

君はメディアへの露出が多い。

勘ぐられたりすると面倒だから」


「構わない」


「そう?じゃ色々詮索されて

俺とのことが露見してダメになっても

良いんだね?」


「…………嫌、です」


しぶしぶ左手を引っ込める四堂君に

微笑んでしまう。


「いい子だ、理解してくれた?」


「理解はしました。

気分的には納得はいきませんが」


不満タラタラの感じで引いてくれた

彼の右手のリングにキスをする。


「気持ちがあるならそれでいい。

形じゃないから、OK?」


「そういうところは大人ですよね」


「あ、今頃気がついたの?」




「浮気、ダメですからね」




……本音が漏れ出てるよ。



ヤレヤレ全然信用してないって

言ってるのと同じなんだけど、ソレ。



思わず苦笑いしてしまう。




再三、念押ししてくる彼は最後の最後まで

日本に帰したくないと言い続けて

俺は危うく飛行機に乗り遅れそうになった。




子供なんだか大人なんだか

年下の君は危うさを持ってながらも

時折見せる強引な所が

刺激的で、まるで麻薬だ。



あ、一応


合法の……って言っておくね。




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