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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
72/79

51新事実

「正直、君とこんな関係になるとは

思わなかった」



「……俺も最初はそう。

こんなに好きになってどうしようも

なくなるとか考えもしなかった」



二人ベッドでそんな話を

笑いながら言えるようになるとか

ホント、つい先日までね。



「昔は君みたいな弟がいたらと

思っていたのに」


「じゃ、今は?」


「君みたいな弟を持ったら

俺の身が持たないよ、意識しすぎて

弟の事ばかり考えてるヤバイ兄貴

なってしまいそうだ」


「……もしそんな弟が彼女を

連れてきたら?」


ニヤけた顔で俺を見返す。


「きっと追い返しちゃうだろうね。

もしくは寝取るか」


「――最後の答えはいただけないですね」


笑顔がフテた顔に変化するのさえ

愛おしい。


「弟にはなりませんから」



「俺ももうそれじゃ我慢できない」










「俺……その、どうでした?」




「え?どう?……あ、ああ」


初めてクスリ無しでした後、

何を聞くかと思ったら、

まさか感想を求められるとは……


「良かったよ、凄い上手かったし」


「本当ですか?」


わざわざ聞かなくても、俺のアノ時の

反応見てたら分かるだろうに。

妙な所で欧米気質というか、

ハッキリさせたがるんだね。


或いは、“タラシ”の俺だから

気に掛かるのか。


「今までの中で最高だった、かな」



嘘じゃない、心からそう思ってる。

確かにされた経験は無いけど、

気持ち良かったって意味でね。



「愛してます、桐江さん」



嬉しそうに俺の指にキスをする

彼をみて俺もと答えたついでに、

余計な一言を聞いてしまった。



「で、君はどうなの?

俺とで、良かった?」



うわ……満面の笑みで返された。






ニューヨークに来て四日目

何時ものように夜は彼のベッドで

仕事のこと、友人の話の流れから

その話題になった。



「所で、一つだけ

確認しておきたいんですけど」


「何?」


「彼女紹介されたんでしょう?

アレちゃんと断ってるんですか?」


「今更、何言ってるの?

ちゃんと言ったよね、俺」



彼女の件は石川から

聞いたその場で即、断った。


アイツの話が本当なら

付き合える訳が無い。


いい加減な気持ちで、利用して

また誰かを傷つける事になる、

そう思ったから。



「相手が納得したかどうか

少しだけ気になってたからです」



本当、嘘が下手だね……


メチャクチャ気になって

仕方なかったんだろ?

今の今まで。


そんな事、思いながら俺としてたんだ?


真面目な顔でボソボソ言う言葉に

ちょっと心の中で笑う。


全く君は……


うっかり声に出してしまうと、

きっと四堂君は拗ねてしまうだろう。

彼は俺に子供扱いされるのを

極端に嫌うから。



「アレ~?確か、

前イチイチくだらない事に

嫉妬しないって言ってなかったっけ?」



「愚問でしょう?

男なんか口説いてる時は何でも言いますよ。

先ずは相手にその気になってもらわないと

いけないから自分の事アピール

しまくるでしょう?


基本中の基本ですよ。

後で修正は幾らでも利きますから」



……無茶苦茶だよ。その理屈。





「俺は女の子と付き合う前に必ず、

本命がいるけどそれでもいいなら

って言ってましたよ」


「え、わざわざ?」


「ええ」


「相手を本気にさせない為?」


「それもありますが……

でもこっちの子達はみんな結構

積極的でそんな事気にしてないみたいで」


「隙あらば自分が本命にって?

凄いね、へぇぇ……そんなに積極的なんだ」


「……何食いついてるんですか。

興味持たないで下さいよ」


「え?いや、いやいやその違うよ」


「どーだか」


「こんな可愛い恋人いるのに、ねぇ??」


「…………」


「本当だって!」


ヤバイ、凄い疑われてる。



前の俺ならともかく、今は本当に

君しかいらないって思ってるよ。


信じられないなら今夜、

どれ程君に夢中か嫌というほど

教えてあげるから。




「ったく、俺は日本に来る前に

全ての女性を切って来たっていうのに」


「え?だって最初の商談の時、遅れてきた

のは女の子関係の野暮用みたいな言い方

してなかった?」



「ああ、よく覚えてましたね。

………………ええ、女の子関係ですよ」



「……え!?」


「………………」


「…………何?その無言は」




「いえ。桐江さんも嫉妬してくれたり

するのかなぁと思って」


「悪いけどしないよ。

俺の方が過去が過去だし、君に

とやかく言える立場じゃないし」




「そうですか……じゃ言っても

大丈夫ですね?」


「ん?何?」


「本当はもう少し

黙っているつもりでしたが、

良い機会なので言っておきますね。


俺、実は桐江さんとは別に

好きな子がいるんです」




―――え?




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