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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
70/79

49攻対攻

「桐江さん」



「ん?何」


甘い声で聞き返す。




「……そのずっと言葉待ってました、ずっとね」




俺達はそのままベッドへと

なだれ込んだ。


いつの間にか体勢が入れ替わっていて

俺は彼に組み敷かれていた。


「し、四堂君!?」



「このまま貴方のペースには

持ち込まさせませんよ?」


それは俺が知る四堂君特有の笑い方で

久々に見る強気な彼の顔だった。


「俺が抱くんです、桐江さんを」


そして俺はその顔が嫌いじゃなくて。


「遠慮しなくていい、

そう言ったんですよね?」


言ったけど、え?



君が使うの?ソレ。


「貴方には随分泣かされました」


「まさか、あれは演技とかいう?」


「あり得ませんよ。

実際泣き顔見たでしょう?


誰が好き好んで惚れている相手に

あんな情けない顔見せるもんか。


あれは悔しくてです、

自分の不甲斐なさに」



「色々見せたくないものも全部

貴方は知ってるはずだ。

それって不公平でしょう?

俺だって色々見たいんですよ、貴方を」



「四堂君……」



「主導権、いい加減俺に渡して

ちゃんと約束通り女の子よりイイって

分からせますからそのつもりで」


言い方は丁寧だけど、

内容がちょっとアレだよね。



「……さぁ?どうしようかな」


「桐江さん!」



「嘘だよ。

もうどっちでも良いよ、君ならもう

なんだって良い。君としたい。

啼かせる程、満足させてくれるんだろ?」


プライドとか男とか

本当どうでも良いってくらい

四堂君が欲しいよ。



「それ、ハードル上げてるつもり?

後で後悔しても知りませんから」



俺は彼の首に手を回した。






「早く……しよ」






















「ちょっと待って……」



中途半端な状態で四堂君は

何故かサイドテーブルの所を探って

いたかと思うと歯でカリリッと

音をさせて俺にソレを口移しで俺の

口内へと入れられた。


甘い……液体?


「ん……なん」


「そのまま、飲み込まずに

舌の下に入れてて」




途端、身体が火照ってきた。


「ん……や」



「桐江さん?」



「ち……ッ……ッ」



四堂君の唇が触れる度、その熱さが増す。




「どうです?悪くないでしょう?」


耳元で低くなった声で囁かれる

声質は熱く湿っていて、それが

更に俺の感覚を鋭敏させる。


男の声なんかに反応してる自分が

俄かには信じられない。


だけど、カラダは正直なもので、


「勃ってきてますけど、

気持ち良いんですよね」


クスクス小さく笑う声に

頭に血がのぼる。


年上の男の羞恥心を煽って観察するとか

良く無い趣味だよ。


「ッ……ちょっと……て」


「まさかでしょう、離しませんよ。

やっとベッドにまで貴方を連れ込めたのに

ちゃんとモノにしておかないと

こんなチャンス滅多にありませんからね」



コレは―――




「さっき……の、何?」


その声さえも上擦る。


「もう気が付いていると思うけど、

そういうクスリ、です」


やっぱり、そうか。


「何で君が持ってるの?

……ていうか普段こんなの使ってるんだ」


この感情は紛れもない嫉妬心だ。

俺にもこんな感情あったのかと

驚いている場合ではないけど、

凄く嫌な感覚だった。



「違いますよ、初めて使った」



「でも持ってるって事は――」



誰かと使う為だろ?

辛うじてその言葉だけは飲み込む。



「……もし、間違いだったら

アレなんですけど、妬いてます?

その……誰かに?」


「妬いて、ない」


例え相手が君でも

絶対認めたくない。


ただ、単にムカついてるだけ。


そう言ってるのに、

何だか……もう、そんな嬉しそうな顔は。

……分かってるの?




「……へぇ、そうなんですね」



クスリの所為で上手く

いつもの様に誤魔化しきれてるのか

自信が無い。


心なしか四堂君がまだ

ニヤけてるようにも

見えるけど、視界がボンヤリして

よく分からなくて。


「こういうクスリは良く無い、

そう言おうとしただけ」


分かってますと言いながらも

口元を綻ばせている彼に怒りが

削げてしまった。



分割、後編は明日0時。

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