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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
69/79

48一隻眼

ずっと理由を探してた。


俺は自他共に認める優柔不断で

すぐその場の勢いで

流されてしまう方だけど、


どうしてこんな気持ちになるのか

何故、男の君にこんな感情を

持ってしまったのか、


そんな自分への言い訳を……




でもね、最近思うんだ。


あの時、もしゲームのターゲットが

君じゃなかったら俺は果たして

受けていただろうかって、


……そんな埓もない事ばかりを。



俺らはゲームという言葉に

甘え、固執してる。


それがきっかけであり、唯一の

繋がりだったから。





「……俺の事、まだ好き?」




うなじに唇を寄せながら言葉にする。



「それとも……キライになった?

―――ねぇ、四堂君」


息がかかるたび彼がビクリと微かに

動くのがわかる。


カラダを密着させているからこそ

分かる君の変化。






君はまだ……多分。










「誕生日のプレゼント何が欲しい?」




「――――自由の女神」





身体に見合わない小さな声で呟く。


その答えは愛しくもあり、

少しだけ憎らしい。


そう簡単には信じてはくれないか……

良いよ、時間はたっぷりあるからね。


「あの女性はアメリカ皆のものだから、

独り占めはいけないよ。


四堂君、本当はそのヒトより

もっと欲しいモノがあるんじゃない?」



「それは……手に入らないものだから」



「果たしてそうかな?」



振り向かせた四堂君に合わせて

少しだけ背伸びする。



「Happy birthday Satoshi.


――I love you.」



初めての俺からのキスに彼は

目を見開いた。





「ねぇ……口説いても良い?」








「………ゲームの続きですか?」



真意を探るような目つきで

そんなことを言う。


「ゲームが終わったと

宣告したのは君じゃなかったっけ。

それに前と決定的に違う所は、

今度は俺が本気だって事」


「!」



「いま君を本気で口説いてるんだよ。

もう子供じゃないから遠慮しなくて

良いよね?」


「桐……」



「俺の事、好きだよね」



答えようとしない四堂君。


頑なだね、そういうトコが

堪らなく可愛いんだけど。




「俺とセックスしたくない?」




相変わらず無言で俺を見たまま。


……でも、さっきまでと

明らかに雰囲気が変わった。


それは否定では無く、戸惑いという種。


自分でもどうかと思うくらい

そういう変化には敏い。


唯一俺の特技かもしれない。




「ああ、ゴメン。

俺だけがそう思ってるだけ

かもしれないね。


だって君を俺だけのモノにしたいし、

他の人に指一本だって君に

触れて欲しくないから」


それでも最低限の駆け引きだけは

張っておく。



「本気で……言ってるんですか?」



彼の少し掠れた声に弾かれる様に

有無を言わさず顔だけ

自分の方に向せてキスをした。

息継ぎをさせないくらいの長い間。


そして舌が離れる寸前もう一度、軽く。


呆気にとられる四堂君を

俺は今まで出来なかった思いを込めて

思いっきり抱きしめた。





「君が欲しい」






「ウ……ソだ」


彼の腕は下におろしたまま俺の背中に

回そうとはしなかった。


それどころか体が硬直してて

微かに震えているようで

彼が信じられないのは俺の数々の

所業からくるものだと思うと

痛みを感じずにはいられなかった。



「信じて」


何度でも言うよ、

君が信じてくれるまで。


彼の前髪を上げてキスをした後、

瞼、頬……そして唇へともう一度

口付けをしながら囁く。



「嘘じゃない。好きだよ、四堂君。

俺が冗談でも男にこんな台詞言わないの

君が一番よく知ってるだろ?


というか、女の子にもこんな言葉、

言ったことなかったかな。


君だけだよ、本気になった相手は」



何度目かのキスの時、

漸く四堂君は俺の背中を掴むように

抱きしめ返してくれた。





「これは現実?

俺、都合良い夢でもみてるのか」


自問している彼に、


「確かめたら?

プレゼントの中身、気にならない?」


更に甘く、声を落とす。



「本当……誘い方が秀逸ですね」



「君しか誘わないよ」



四堂君の手の甲に唇を落とす。

さながら王子様に忠誠を誓う

騎士のように恭しく。



「―――後悔しない?というか、

俺と寝た後に、これでご破算とか

言い出さないよね?」


「なかなか疑り深いね。

君が望む限り俺は君のモノになるよ。

そして当然、君も俺の……」


その言葉を遮るように

四堂君が初めて俺に唇を重ねてきた。



「SEXしたいかって?したいに決まってる。

再会して貴方を見た時からどれだけ

我慢してきたか嫌という程、

分からしてやりたいと思ってるくらいだ」



「それは楽しみだな」


 

「…………ッ!」

   


「良かった、

俺だけがそう思ってるのかと

不安だったんだ」




「……全く、貴方って人は」



「その余裕、ぶっ壊してやりますよ。

一晩くらい寝なくても大丈夫ですよね」




最初からそのつもり。


彼の手をとり自分の方へ引っ張り込む。


「一晩で足りるの?俺はとても足りない。

なんなら二、三日でも構わないよ」


そう言って微笑んで見せると

四堂君もまた口元が笑っていた。



「この……ッ」





夜は、まだこれから―――






パスレス、応援、感想等有難うございます。

個々に返信できず申し訳ありません。

本当に有り難く読ませて頂いており、

励みになっています。m(_ _)m


にしても、

年内に終わるか怪しくなってきました。

実際は結構前に最後まで

書き終わってはいるのですが

編集作業に時間掛かってるんです……


本編終われば正月に番外編公開予定しています。

でも終わるか……うーん、どうでしょうね。


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