26意識下
アレ……ここ……何処だ?
薄暗い室内は兎も角、この寝心地の
良すぎるベッドは明らかに
自分のソレじゃなかったけど、
まどろむ感覚が余りに心地良すぎて
又、眠ってしまいそうだ。
何処でも良いか……眠い。
少し離れたオレンジの光は、
ああ、ドアの隙間から差し込む光……か?
俺、電気も消さないで眠ってたんだな、
消さないと……でも、もう明日でもいっか。
(…………)
ん?
話し声?
俺TVまで付けっ放しだったっけ?
あー流石に消しに行かないと。
リモコン、リモコン……アレ?無い。
いつもここに……え?
ベッド、手を伸ばしてもこんなにテーブル遠かったっけ。
ん?というかベッドやたら大きくない?
手探りでモソモソ寝ぼけて目的のものを
探ろうとしても当たりがなくて
段々、意識が戻ってき始めた。
俺の家じゃない。
もしかして誰か女の子の家?
キングサイズのベッドとか
……どこかのホテルにでも
昨夜泊まっ……た?
ホテル……ホ……
……………………
………………!!!!!!
うわ!!!思い出した!
ここあのホテルのスィートルームだ!!
って事は、し、四堂君!?
恐る恐る周りを見渡すがどうやら
四堂君はこの部屋にいないみたいだった。
「……ふぅ」
思わず安堵で再びベッドに突っ伏した。
今何時だ?
俺もしかしてずっと寝てたのかな?
四堂君がいないってことは呆れて帰ったとか?
『………………』
『…………』
やっぱりさっきから何か人の話し声が
漏れ聞こえる。
しかもどうやらTVではなさそうだ。
四堂君?
少し歩いて戸口の間を覗くと
彼がこちらに背を向けた状態で
ソファに腰掛けているのが見えた。
手にはグラスを持っていて……
振り返ると俺が飲んでいたシャンパンが
ボトルごとなくなっているのに気が付いた。
未成年で飲めないって言ってくせに。
……帰ってなかったんだ。
いくら俺が寝っていたとはいえ、
仕事を口実に選んでまで
強引に俺と寝ようとしてたのに。
手段を選ばないのであれば
寝てる俺を自分のやりたい様に
無理やり抱くことだって出来たはず。
それを彼はしなかった。
……いや、出来ないんだよね?
焦らしてるとか、恋愛の駆け引きを
楽しんでいるとは訳が違うから、
俺に手を出せないんだろう?
元来の真面目な君らしい。
強気な言葉の裏側の本心は、
いつだって別の所にある。
嘘とは違う虚勢ともまた違った
敢えて言葉に置き換えるとすれば
純真さと呼べるかもしれない。
君が女の子なら一も二も無く
そんな言葉を言わせないくらい
愛してあげれるものを。
俺は分かっていて知らないふりを
続けてきた。
それが彼にとって一番いい事だと
自分に言い聞かせて。
だけど、
キツイに決まってる
……そうされてる方は。
四堂君がソファに肩肘をついて
酒を飲んでいる姿を見るのが辛い。
こういうのを
なんていうのか知ってる。
――生殺しだ。
長いので分割。




