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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
43/79

22広告塔


気乗りがしない。



今日は午後から『Updraft=Faust』と

新規プランの会合。


唯一の救いは四堂君が多忙の為来日

出来ないと石川君から連絡があった事。


好き嫌いで仕事はできないし、

無論、四堂君を目の前にして

平然としていられる自信はある。


だけど、そうすることできっと

彼をまた傷つけると思うと

どうしても気が重くなってしまう。


こんなサイテー男の何処が良いんだか。



「申し訳ありません、俺が学生なばかりに

そちらの休みの土曜日に」


「いえいえ、それは気にしないで下さい。

こちらは全く構いませんよ」


やはりいつもの笑顔で答える千葉さんの

受け答えは、さっきまで

彼女に埋め合わせするからと電話で

必死に謝り倒していた人物とは思えない

変貌ぶりだ。



「…………」



俺も数年後こんな風になるのだろうか?




「CMやメディア系はうちのボスを

利用してもらって構いません、

そのあたりは事前に言って頂ければ

出来る限り調整しますので」


「そうして貰えると助かります。

以前の反応も物凄かったですからね。

特に女性、編集からも写真集の打診

あったんでしょう?」


今でもワイドショーとかでも結構頻繁に

取り扱われたりしてハリウッドの

誰それと付き合ってるとかパーティーに

同行していた女優とどうのとか

アメリカでの動向もイチイチ取りざた

されている程だ。


まぁ……あれだけの美形で成功者とも

なれば無理もないんだけど。


本人もそれが分かっていての

立ち振る舞いは、自らの商品の広告に

一役も二役も買っている。


何にも代え難い広告塔でしかも

商品契約はウチが独占してるから

こういってはなんだけど、

かなり会社としてはウマウマだ。


それ程、誰もが注目している彼。



自分の価値をもっと知った方がいい、

俺とは全然違うんだって事を。



本当、どんな女の子でも

君になびくだろうに……



二人の会話を聞きながらも、この前の

夜の事をぼんやり考えていた。



「――桐江、企画書その点を

変更して阿部に回しといて」



「え?あ、ハイ」


ヤバイ……どこの部分だっけ?


あ、そこか。


線や箇条書きで修正されている部分を

見つけ慌てて自分の資料にチェックを入れた。


何を考えてる?仕事中なのに。




「じゃ後はこちらに任せて頂けますか?」


「ハイ。お願いします。

あ!スミマセンそれと後いくつか

確認したいことがあるんですが」


「……え?ええ、勿論どうぞ」


お、珍しく千葉さんが固まった。


話はこれで終わると思って立ち上がった所

だったから無理もない。

俺は兎も角、さっきの電話を聞くとは

なしに聞いていた限り、恐らくは

今日彼女の誕生日みたいだった。


そりゃ行かないと……ね。



「石川君申し訳ないんだけど、

千葉、昼から具合悪くて俺じゃ

分からないことがあったから無理やり

連れてきたんだけど、やっぱ調子悪いみたい

病院に行ってもらおうと思ってるんだ。

俺だけじゃダメかな?」



「申し訳ありません!気が付かなくて!

病院に行って下さい!桐江さんは

まだ大丈夫なんですか?」


目配せをして千葉さんを抱えるように

立ち上げさせた。


「うん、すぐ戻るからね。

じゃ行きましょうか?

千葉さんスミマセン具合悪いのに

助かりました。外まで送りますね」


ワザと聞こえるよう千葉さんを

連れ立って外へと向かっていく。



「ス、スミマセン、お言葉に甘えて

病院に行かさせてもらいます」




「桐江、恩に着る」



「いえいえ、お大事に」



千葉さんの走って行く後ろ姿が微笑ましい。


いつも冷静な千葉さんが……

大事なんだろうな彼女の事。


大事だから冷静ではいられない――か。



一度も味わったことがないなそいうの。

単に冷めてるだけか、それとも

そんな相手に会えてないからなのか……




店に戻ると石川君は資料を全部片付けていた。


「アレ?なんか質問じゃなかったっけ?」


「いえ。ありません」


「ん??」


「スミマセン、そう言えばもう一人の方が

きっと席を外すだろうと思って……」


「あーそいういこと?」


ハハ、なんだ読まれてたんだ。




「で?本題は何かな?」




クロイ ビネツ番外編が終了しましたので

またこちらに戻ります。

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