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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
40/79

19境界線

眠い……な。


昨日寝たの3時だったっけ。


ここ最近いくつもの案件が重なって

とてもじゃないけど遊んでる暇は無い。


昨日も会議で午前様。


今日もこれから2つのクライアントの

人と会うし、一体何時に帰れることやら。


「桐江、WKレーベルの赤城さん、

何時なら良いって?」


阿部先輩自体、資料に囲まれたデスクの上で

パソコンを操作しつつ後ろ向きで

俺に話しかけているといった凄まじい状況だ。


「えと、あそこは来週末の土曜で。

さっき連絡ありました」


「了解。じゃタイアップの件はOK

貰えたってことか?」


「いえ、まだですが。

条件を少し変更して提案したら

結構反応良かったので、

後ひと押しって感じですね」


「お、やっとか。落とせよ?」


「無論、キッチリ落としますよ」



“落とす”



その言葉がふと特定の人物を

思い出させた。


忙しさにかまけて普段考えないように

してきたのにこんな時に……


俺はかぶりを払って


「行ってきます。終わったら直帰します」


「おう、お疲れ」


先輩の声を背中で受け、会社を後にした。






ゲーム宣言されてから早二週間。


宣言通り四堂君からのアプローチ攻撃に

あっていた。


メールは毎日欠かさずあるし、

電話も時々掛かってくる。


流石に電話は出れない時が多く

その時は決まって留守録にメッセージが

残っているといった風に。


俺も彼女がいた時はマメに

連絡を入れる方だったけど

……俺と彼とでは決定的に違う事がある。




それは、


文章の文末や言葉の語尾に必ず、


『I LOVE YOU』


と付けることだ。



最初に文字で見たときには

悪いけど微笑んでしまった。


無論、バカにしてるとかじゃなくて

単に“ああ、そう来たか”って感じで

余裕があった。



だけど、電話越しに、



『I LOVE YOU』


と、切り際に初めて言われた時は

なんというか柄にもなく照れた。


言葉にされると急に実感が湧くというか

そんな風な言い方で囁かれると

あの文字も単なる文字の羅列には

見えなくなって、


彼はこの感じを込めて打っているのだと

改めて気付くというか……

まぁ、複雑な気分になるってとこかな。



例えそれがゲームだと分かっていてもだ。



四堂君は向こうで暮らしているから

こういう言葉サラリと言えるんだろうけど

日本人の俺としては“好きだよ”とは

言えても中々……ね?



これは向こうでいう挨拶なんだと

割り切った今でこそ漸く聞き流せるように

なったけど、


一昨日も


『愛してます』


本当、凄いこというんだねって

苦笑いをしながら言った俺の

言葉に被せるように


もう一度、


『愛してます、桐江さん。

俺、本気ですよ』




ゲームだよね?



これもゲームの中での君の

攻略法なの?



にしては境界線が酷く曖昧で……

あまりにソレっぽくって。


だとしたら、

君は策士家としてもなかなか

大したものだよ。



ただ――――



その作戦、俺には効かないけどね。



【告知】

活動報告にも記載しましたが、

現在『クロイ ビネツ。』番外編2

自サイトにて連載中です。

ネタバレになるのでアレですが……

今回意外な人物が主人公です、とだけ。

良かったらそちらも読んで見て下さいね。

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