13熱視線
いつ知ったかは兎も角
今回、再会したのが結果
ビジネスパートナーとしてならば、
俺としてもそれを遂行するのみ。
「一つ提案があるんだけど、
君だと分かったから言いっても良い?
今度の宣伝あおりには『トリガーK』より
やっぱりネームバリューのある
『Updraft=Faust』で押したほうが良いと
思うんだけど、どうかな?」
今まで動向が見えない依頼主の
強い意向だと思ってて言えなかった
言葉を口にした。
「ええ、そっちの方が良いでしょうね」
は?
何?このアッサリした承諾は?
しかもこんな事を言い出す始末。
「元々『トリガーk』のロゴを
使用するつもりありませんでしたから」
長い足を組んだまま
薄く笑ってる感じで
こうも簡単に言われると、
逆に……
「馬鹿にしてるの?俺達の事」
「まさか。気に障わりましたか?
それはスミマセン」
全っ然、そう思ってないよね?
つい顔に出てしまったみたいで
石川弟クンがフォローに出た。
「クリス、その言い方だと伝わらない。
桐江さん、トリガーの社名を作ったのは
元々『Updraft=Faust』の名前が強すぎて、
日本進出の際、噂を嗅ぎつけた
他の日本企業が事前にいくつも
接触してきていたからです。
だから、それらを敬遠する為に取った
ダミー会社なんですよ。
うちは最初から依頼する会社を
決めてましたから契約を
持ち込むまでの間のだけのつもりでした。
とはいえすぐに業界にはバレてましたが
少なくとも多少の時間稼ぎにはなったかと」
最初から?
「事前にってそっちの方が
君達の思い通りになたろうに。
何でそうしなっかったの?」
「俺達は『R-GG』社以外と契約する気は
ハナからなかったんですよ」
石川君は爽やかって笑って言うけど
答えになってない。
「――いや、だからどうして?」
確かにうちもそこそこ有名だけど
大手ならもっと他にもある。
「さて、どうしてでしょうね?」
それまで黙って石川弟の話を聞いていた
四堂君が割り込んでそう言った。
石川君が無邪気で悪意が無いとしたら
四堂君は逆でその言葉一言一言に
何らかの意図を感じる。
今だって俺の目を捉えたまま
逸らそうともしない。
それはまるで口説かれてような
錯覚を覚えるほど
熱っぽい視線だと感じる俺の方が
どうかしてるのかもしれないけど。
「おい……クリス!
てか、もう四堂でいいな?」
石川弟が肘で小突くまで
四堂君は俺から視線を外す事はなかった。
「失礼、あんまり桐江サンが
色男だったから、つい見とれてました」
「四堂君、誤魔化さないで理由は?」




