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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
31/79

10理不尽

プレゼン当日。


会議室で簡単な挨拶を交わした後、

自分の会社の人達と話してる

代表の姿を見て皆が俺に

矢継ぎ早に小声で話しかけてくる。



「マジでタレントじゃないの?」


「本当に代表だったんだ?

今回の広告モデルかなんかと思った」


「は?十代??本当?幾つ?十七!??」


「いや~ん。クリス君?カッコイイ(はーと)」



案の定お約束的な発言が飛び交う。


ハイハイ、確認も大事です。

……が、皆さん騒ぎすぎです。



しかも女性サイドからは仕事と

なんら関係のない発言まで飛び出す始末。


ええ、俺も昨日そう思いましたよ。

だからそんな俺が言えた義理じゃ

ないんですけど。


皆いい大人なんだから口にしないで

心の中でそれぞれ思って下さい。


今まで資料何度も確認してたじゃないですか。


その宣伝資材にこんな

モデルさんいなかったでしょう?

第一モデルはこういう場に

同席しないでしょうに。


それに、さっき本人が自分が代表ですって

言ってたじゃないですか、忘れたんですか?



分かってます。


――ただ単に、


言いたいだけ、なんですよね?




というか、

向こうの人達こっち見て

笑ってるんですけど。


内容とは全く違うところで

盛り上がりをみせたプレゼンが開始。


プレゼンといっても最終確認と

顔合わせの意味合いの方が濃かった為

時間も掛かることなくそれ自体は

スムーズで向こうの会社がOKを

出した時点で終了となった。



(良かった……終わった)


と、制作スタッフ共々

心の中でホッと一息した。




挨拶をかわしてこれで解散となった時、


「桐江さん、この後時間取れます?」


そう言ってきたのは石川弟クン。


「うん?大丈夫だよ。何かあった?」


「いえ、もしよかったら夕食を

一緒にってボスが言ってるんですが」


「あ、モチロン喜んで。

じゃ千葉さん達に声……」


「できれば桐江さんだけで、ダメですか?」


「あーいや、そうだね。行けるよ。

ちょっと連絡入れてくるからロビーで

待っててくれるかな?」






「お酒飲めないけどこの店で良かった?」



クリスが日本食好きという事で選んだ

此処もよく接待で使う懐石料理屋。

今回お座敷では座りづらいかなと考えて

個室のテーブル席を用意して貰った。


「こんな大人の雰囲気の和食処って

入ったこと無いから良いですね」


「高校生じゃちょっと入りづらいかな」


「ハイ。クリスは商談の席で結構

向こうで高級な所いきまくってるんですけど、

俺はまだ学生なので」


へぇ、そうなんだ。


話題が出てもクリスは我関せず、

無言でお刺身を食べ、

質問に答えるのは専ら石川君で

ハキハキ答えながらパクパクと食べている。

まさに絵に書いたような育ち盛り。


随分、対照的な二人だ。


「コーポレーションじゃなくLLCなんだって?

二重課税を回避する為?」


「いえ。こっちの方が俺達のスタイルに

合ってると判断したからです」



「じゃ全員が役員?」


「オフィサーは全員何かしら兼任という

形でやっています」


「それぞれがやり甲斐と

責任をって事か。良いね」




「桐江さんってモテるでしょう?」




「は?」


それは、それまで俺達のやり取りを

黙って傍観していたクリスが発した台詞。


会話の流れに何の脈絡もない言葉を投じられて

俺はクリスの顔を思わず見返した。


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