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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
28/79

7日本人

「にしても此処の蕎麦は

何時食べても格別ですね。

ボスは向こうの蕎麦は食べれないと

いつもボヤいてましたから

羨むでしょね、私がこの話をすると」


ニコニコ笑って話す台詞には

悪気はないみたいだ。


……そんなにボスって人は

蕎麦が好きなのかな?



「それなら今度来日された時にでも

私がご案内させて頂きます」


「ええ。是非お願いします。

喜ぶでしょうから」



そういえば、と

店を出て氏は思い出したように


「当日、生憎私は別件で同席できませんが

もう一人別のスタッフが来ますので

そちらに申し伝えておきます」


「あ、マウリッツ氏ですか?」


「いえ、貴方と同じ日本人です」



「……え?」



初耳だ。



「彼も若いですが有能で、

ボスの良き理解者でもあります。

明後日は休日なのでその者がボスと共に

同席する事になります」


(休日だから……??同席?)


というか何でこのタイミング?

初取引、日本初進出。

こういう場合、対日本人相手なら

最初から同じ日本人を使うだろうに

何故、もう大詰めの今頃になって

切り出してきたんだろうか?


どうもこの会社は

公表していない部分が多すぎるし、

他との競争との為の確信的隠ぴなのか

どうかは知らないが、行動がやけに

謎過ぎる。


俺が口に出さないまでも

多分そんな表情をしていたのだろう。

ベレスフォード氏は気を悪くした表情はせず


「申し訳ありません。

きっと同じ国の人同士の方が話易いとは

思いましたが、

何分彼はまだ学生なので学業優先で

平日こういった場所には来れないので」


ああ、そうだった。

ここの企業は学生が殆どだといってたし

そういう理由なら分からなくもない。


まぁ、多分それだけが

理由ではないだろうなと

察しても不用意な発言はしない

それがビジネスルールだ。


正直、話題の外国企業の中に日本人で

しかも学生が混じってるなんて

かなり興味はある。


「そんなんですね。

それは是非会ってみたいです。

ではこちらもスタッフを連れて

どこかで食事でも……」


「いえ、それには及びません。

お話は二日後、予定通り我々がそちらに

赴くという事で接待等のお気遣いは無用です」


「しかし……」


「これはあくまでこれまで一緒に

商談なさって来た貴方へお礼を

兼ねてというボスの意向なので」


「はぁ」


か、変わってる……


特別何かしたわけじゃないのに

一介の営業マン相手にそこまで

するなんて……フツーないから、マジで。



(一体どんな人物なんだろう?)


益々その“ボス”って人に興味が湧く。


十代で起業して起動に乗せている実力者。

相当なやり手であることは間違いない。


その上国籍問わず様々な人種を統括して

大人さえも配下にしてるわけだよね。


スタッフは大人二人以外は

全員十代で、登記とか

面倒な法律関係対策、対処の為だけに

大人を立てていると言ってたし。


実際、此処まで

成人の日系アメリカ人のベレスフォード氏

スェーデン人のマウリッツ氏しか見たことない。



―――明後日、話題の『Updraft=Faust』の

代表、来日予定。




ここに来て漸く真打ち登場か。


いつも話題の中で見え隠れする人物では

あるけど未だ一度も会ったことはない。


しかも日本人学生社員を引き連れて

ご登場とあっては期待するなという方が

無理な話だ。


コラボ初対面。


……これは、かなり面白そうだな。





しかし、その当日。



日本人のスタッフだとして現れた人物に

俺は驚愕するハメになってしまった。



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