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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
27/79

6蕎麦屋

……うーん。


“十代のボス”とベレスフォード氏は

言ってたけど調べた限りでは

マウリッツ氏とある。


マウリッツ氏とも何度か会った事あるけど

二十代の大人だったし、

そんな話も一回も出なかった。


どういう事?



ピピピッ。


アラーム音に弾かれ席を立ち上がる。


(ヤバイ、時間だ)


いくら上客といえど、こちらも

クライアントはここだけじゃない

色々他にも回らないといけないし

やることはごまんとある。


スケジュールを端末で確認しつつ

資料に目を通す。


“15時からCM撮影。場所は―――”


モデルには昨日、連絡済。

スタジオ入りする前に俺も

現地でセッティング準備の手伝いを

しなくては。


ホワイトボードに行き先を書きこみ

カバンを手にとって部屋を出ようとした

そのカバンをひょいと奪われた。


「え……」


「ああ。アキセイドリンクの撮影、今日か。

俺もそっちの進行分かってるから代わるわ」


真横から先輩の声。


「は?いえ、俺大丈夫です」


順調に進んでるし、何らトラブってもいない。

第一先輩も特に今まで

口出してきてもいなかったのに

急に何故そんな事を言い出すのか

不思議に思えた。



「良いから。それ俺が行くって」


「先輩?」


まさかとは思うけど俺じゃ頼りないと

思われてるとか?


「お前、例の新規に専念しとけ。

昨日徹夜してプランの手直しできてんだろ?

折角初めての企画が通ったんだから

そっち優先でいけよ」


徹夜とか今に始まったことじゃなんだけど、


「先輩だって今日別の所と……」


「あっちは夕方に変更になったから

時間余裕あるし」


もう一人先に現地行かせてるから

最悪俺が遅れても対応できると

付け加えられた。



「向こうもさ、なるべく早くって催促

掛けてきてる聞いたぜ?

明日の予定前倒しで良いじゃん。

あ、アポ取り忘れんな」


そこまで言われて流石に

断るのもどうかと思って好意に

甘えることにした。



「そうします。ありがとうございます」






「予定は明日だったのに、急に

申し訳ありませんでした」


「いえ、早い分は結構ですよ。

明後日といってたのはうちのボスが

来日する予定で決定はそれまで待つように

言われていたからですし」


急な連絡にも快く応じてくれた

ベレスフォード氏と話が終わったのち

ランチに誘われた。


「本当に日本通なんですね」


案内された場所が老舗の蕎麦屋だった事に

少し驚いたけど、

器用に箸を使って蕎麦を食べる姿が

いかに日本贔屓であるかを

物語っている様で嬉しかった。


「ジャパニーズフーズは健康的なモノが

多くて大好きです。

ボスが基本日本食しか口にしないので

その影響もありますね」


へぇ。ボスも日本贔屓か。

良い情報貰ったな……って。


「あの……その代表の事ですが

以前、十代の方だと」


「ああ、公式上はマウリッツに

なってるのでしょう?」


「え?ええ」


「十代のボスというのは

話題性もある分、中々に軋轢が

ある訳です。よって現時点では

矢面にマウリッツが充てがわれています。


本来のボスは紛れもない未成年です。

本人が出るとある意味悪目立ちするので

控えていたんですが、この日本での

進出を機に公式でもCEOとして

デビューさせるつもりでいます」


「CEOを交代ですか?」


「というより事実を公表をするだけですが。

あ、良い宣伝になると思いますので

どうぞそれもご利用下さい」


事も無げに答える氏に

逆に面食らってしまった。


「はぁ……」


流石やることのレベルが違うというか

利益の為には自社の社長まで宣伝材料に

してしまうとか、全く恐れ入る。


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