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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
王子、大人になる
26/79

5初交渉

連絡先に初めてコンタクトを

取ると落ち着いた男の人の声が聞こえた。


てっきり子供が出ると思い込んでいた

俺は少し驚いた。


確かに大人も数人いると聞いていたけど

どうやら広報担当はそれにあたるらしい。


あれほどの話題性豊富できちんと実績だって

残してるクライアントなら

請負いたい代理店は引く手あまただ。

向こうにとっても競合相手が多い方が

コスト叩ける筈なのだが。



うーん……



初めての商談でクライアントを待っている間も

悶々とつい逡巡してしまう。


いつまでもそんなことばかり

考えていてもしょうがないってのに。


折角任されたんだ、期待以上のものを挙げたい。

うちに任せて良かったと

最終的に言わせれば良いだけ。



(そろそろ時間だな)



さて――気持ちを入れ替えて頑張ろうか。





「どうだった?」


会社に戻り、部長にあらかたの報告を

済ませ書類に目を通してると

阿部先輩から声がかかった。


「日本語OKって言われてても

やっぱり外人さんがいきなり

現れると緊張しますね」


ベレスフォード氏という大人の方で

親日家らしく終始会話は和やかだったと

伝えると、


初交渉等の際は甘く見られないよう

大概大人が対応あたってるそうだと教えられた。



「んで?」


「向こうの商品とコンセプトを

伺いましたので、次回お会いするまでに

企画書を持っていきます。

それにしても日本のマーケティングを

熟知してますよ、あの会社」


「ほう。それで俺達の会社に

依頼してきた理由は分かったのか?」


「いえ、それとなく探ってみましたが

上手く誤魔化されてしまいました」


「…………ふーん」


すっごい間で相槌を打つ先輩を

思わず振り返える。


「気になります?」


「まぁ、な。

……でもお前が分からないなら仕方ないか。

ま、しっかりやれ。

サポートは俺もすっから」


「有難うございます、お疲れ様でした」


暫く俺がパソコンを打つ様子を

見ていたかと思うと肩にポンと叩き、

缶コーヒーを置いて先輩は部屋を出て行った。





トリガーK新規担当となって何度か

担当と会うことになったのだけど

商談場所はその度指定された場所に

足を運ぶといった感じ。


一応日本法人登録の為、

営業所と称した簡素な事務所が

あるらしいのだが手狭だからとの理由だった。


その日も例の如く喫茶店で

ベレスフォード氏と

企画書を携えて話を進めていた。


「この3つのプランをご提案

したいのですがどうでしょうか?」


「概ね良いと思います。

が、此処あたりを少し変更して頂けると

もっと弊社のコンセプトが生かせるかと」


「成程。

確かにその方が良さそうですね。

次回までに検討させて頂きます」


書類に目を通しつつ指摘された修正箇所に

チエックを入れていく。


「日本の方はやはり真面目ですね。

悪い意味で言ってるわけじゃありません。

色々な国に行きましたが取り分け

時間に正確かつスピーディで真剣に

取り組んで下さいますので助かります」


今回扱う案件は本来なら

ネット系に重点を置きたいとこだが、

その場合どう考えてもうちを通せば

二重マージンが発生するのに

それでも日本での広告一切を

任せると言ってきた。



……有り得ないんだけど。



何だろう全てにおいて採算度外視っていうか

矛盾だらけというか……何もかもが

常識に当てはまらない印象を受ける。


しかもあろうことか今回の成果次第では

今後も他社とは交渉せず弊社と

専属契約結ぶと言ってきてるらしい。


当社としても

絶対取り逃がしたくない上客だけど

依然、謎多き会社だ。



「最終的にはボスの決定待ちですが

今の段階で特に問題は無いと」


「ボス?CEOですか?」


「ええ、ボスと呼ぶと本人が嫌がるので

専ら私達は名前で呼んでいますが

社外ではボスで通しています」


苦笑しながらいう様は

好意の証なのだろう。


「CEOは今回来日されるんですか?」


「恐らくはもう少し先になるかと。

何しろ、お忙しい方なので」


「その方も大人の方ですか?」


「いえ、うちのボスは十代ですよ」



やっぱり社長が未成年なんだ。



近々この企業が話題となった

選り抜き未成年者集団の代表と対面か……



一体どんな人物なのだろか?



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