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理由がいるなら、いくらでも  作者: 采且ウサギ
小さな王子、現る
21/79

21ぜ、絶対ソレの事じゃありません!

今回で1章は最終回です。

今までどれだけの子とキスをしてきたか

数え切れないほどなのに

こんなにドキドキしてるのって

された相手があまりに予期せぬ人

だからかもしれない。


「何で君みたいな年の子が

こんなキスできるの!?」


「俺が今まで何処に住んでたと思ってる?

いつも周りは俺よりずっと年上ばかりの

環境でさ、級友とかが面白がって

教えてくれるんだよ、頼みもしないのに」


へ、へ~ぇ。

そう……なんだ??


やっぱりそういうの

進んでるんだ、向こうって。



「だからって俺はアンタと違って

誰彼構わず気軽にこういう事はしない。

好きじゃなきゃ絶対にやらないし、

出来ない。

ここまで理解できてるよね?」


「待って、俺は……」



「Stop!返事は今はしないでくれる?

“NO”って言われるの好きじゃない。

現時点でどうせ俺を弟くらいにしか

思ってないのくらい分かってるから」


「いやいや、憧れって意味だよね?

うんうん、年上の同性に

一種の憧れを持つ年頃だもんね。

若いっていいよねぇ~青春ど真ん中!」



思わず遮って言ってみたものの、


「どこのおじさんだ?アンタ。

青春中なのは同じだろう。

……なぁ、適当に自己完結する前に

少しくらい俺の事真剣に考えてみてよ」


と逆に言葉を被せられてしまった。


「真剣って」


「俺をそこらへんの子供と一緒に

思ってると痛い目みるよ?

精神年齢じゃアンタより断然上だし」


何だこの説得力、押しの強さは?

しかも精神年齢持ち出しますか。


「あのね、君はまだ誰とも付き合った事

無いから簡単に考えてるんだよ」



「単純に考えてるのはそっちだろ。

息をするようにいつも

女を口説いてる人に言われたくない」


諭すつもりで言った言葉も、またしても

一刀両断っていうか、けんもほろろに

返されてしまった。


「本気で俺の事、好きになりなよ。

絶対後悔させないし、

待たせる代わりに滅茶苦茶

イイ男になるって約束する。


だから……だから!」



その“男”って事がそもそも

問題なんだよ?


と、この雰囲気でどうして言える?


頭も切れ、口も立つ子を

どう言いくるめようか

迷う俺をじっと凝視したまま

彼は更に話続けた。



「俺、もうすぐ向こうに戻る。

考える猶予をあげるから、

それまでせいぜい

女の子と遊びまくってればいいよ」



「え??」


四堂君が、アメリカに帰ってしまう?

聞いてないよ?ソレ。


「待って、初めて聞いたけど何時?」


「教えない。アンタの見送りは要らないし」


強気な態度を崩さない毅然とした姿は

小学生に見えないどころか

彼の言うように遥か年齢以上の

モノが感じられた。


小さな手が俺の顔を滑る。

迷いの一切無い真っ直ぐで

大きな瞳を持つ彼に何を言えば良い?


真剣な視線を向けてくる姿に

少し驚いたけど正直嬉しくもあった。


それは少年特有の感情だと分かってるから。

賢い君だものいづれちゃんとそれに

気が付く時がくるよ。



ホント、可愛い俺の王子様。






……そう自分で納得しかけていたのに。



「アンタがそういう相手として

俺を見れる頃までこっちには戻らない。


悔しいけど……今の俺じゃ、アンタを

満足させてあげれないし。

泣かせるくらいのサイズになったら

その時は女より絶対俺がイイって

言わせるから、覚悟しといて」



俺に何も言い返す余地も与えず、

止めの捨て台詞を吐きまくって

彼は行ってしまった。






俺の方はというと、






「……………………え?」





かなり時間がたった頃ようやく我に返った。


ただ、思考回路がショートしたようで

今尚、中々その回線が復帰の兆しを

見せてくれなくて。



「…………????」



なんかオカシイ。


憧れている相手にいう言葉の

チョイス、色々間違ってる気がする。


向こうの生活長かったから

日本語ちょっと間違っちゃった?



それとも――


考えたくはないけど……。



いや、待って待って、

少し整理してもいい?


総合的に鑑みて俺、やっぱり

そういう意味で口説かれてた?

しかも相当情熱的に。




相手、小学生、男。


ナイナイ……有り得ないから。


危ない危ない、なに四堂君の勢いに

飲まれそうになってんの、俺。


いやはや、

今時の小学生って冗談きっついなぁ。


あ・こ・が・れ!


そそそ、やっぱソレソレ。


いくら今真剣に言ってるからって

あの年には良くある一時の気の迷い。

数年たったら、


『へ?俺そんな事いった?

というか本気にしてたとか、キモっ!』


ってオチだから。




ははははははは。



だけど次第に笑いが枯れていく。



……そう言い切れる?



あの四堂君が

あんな必死で告白してくるなんて


キスにしても……。



『挨拶で舌入れるか』



『泣かせるくらいのサイズになったら

その時は女より絶対俺がイイって……』





―――ん??



今頃気が付いたけど、





“泣かせる”って何??



“サイズ”って何の!?!?





…………ね?



何の!!??




ていうか、向こうで日々一体

なに教わってるの!!!???




そして、宣言通り四堂君は

この日を最後に

俺の前から消えてしまった。




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