20こんなのは子供のすることじゃありません
「ホントどうしたの?らしくね」
「……変なのは自覚してる、
最近、おかしいんだ」
「悩みがあるなら相談乗るよ?友達だろ」
「友達ね……しかも元凶のアンタに相談とか」
元凶?
「アンタは……」
その時の笑い方は子供のソレでは無かった。
本当大人びている、育った環境の為
だろうけど、こんな顔をされると
特にそう際立って感じる。
「俺、いくつに見える?」
「え……?」
正直びっくりした。
もしかしたら今の俺の心の中が
四堂君に見透かされてんじゃないかって。
「いくつって小学……」
なに慌てて返答してるんだ?俺は。
今、絶対声変だった。
「そうじゃない、アンタにとって
俺は幾つに見えてるんだって聞いてるんだよ」
四堂君がどう答えて欲しいかは
分からない。
ただ、やっぱり見たままで言うなら、
「そうだね、小学生しては
かなりしっかりした子だと思ってる」
「……どうしても見掛けが
こうだからって訳か」
らしくないモノの言い方だ。
何かあったんだろうか?
でも、さっき元凶は俺だとそう言われた。
“kobieciarz”
何度か言われたフレーズが
妙に引っかかる。
「ここに連れて来られる直前に
言われたあの言葉、前にも
聞いた気がするんだけど、どういう意味?」
「タラシ」
「へ?」
「“女タラシ”って言った。
女と接してる時、アンタ一番生き生きしてる」
「……え、そう、かな?ハハ」
うわっ、聞かなきゃ良かった、
残念感が半端無い。
因みに褒めてないからと
止めを刺さされる始末。
「君もこれくらいの年になったら
きっと、俺の事理解できると思う。
四堂君、今は可愛いけど
凄く格好良くなるって保証するし。
きっとモテて俺なんかより大変だよ」
「可愛いとか……」
何でそこで唇噛むの?
褒めてるつもりなんだけど……。
「クソッ!何でアンタ年上なわけ?
何で年こんなに離れてんだよ!」
「し、四堂君?」
「アンタが誰かと楽しそうにしていても
俺には邪魔できない。
何を言ってもきっとアンタにとって
子供の我儘にしか映らないんだろうからさ」
「そんなこと……」
「あるだろ!」
「いきなりどうしたの?」
「アンタ人の気持ちとか
全然分かってない!」
「…………え?」
「女と楽しそうに笑ってるアンタとか
見たくないんだよ!!」
「…………」
何を言ってるのか全然分からない。
というか、まるで……。
「何か告られてるみたいだね、ははっは」
途端睨まれた。
だ、だよね。
そんな事冗談でも有り得ないってのに。
ホラ、これって子供特有の独占欲だ。
「何でそこで笑うの?
つまり俺ってその程度の存在って訳?
そもそも眼中にすら無いだろ」
「いや、冗談が過ぎたって思って」
「軽く言うな!」
「は?」
「冗談だって考えるのは
俺が小学生だからだろ?
これが同じ年の男から同じ事言われても
アンタ笑って流せんの?」
「落ち着いて、四堂君。
俺も君が大好きだよ」
その言葉は結果、引き金になってしまった。
「俺の事、甘く見すぎだ!」
彼は座っている俺の頭を両手で
抱え込んだかと思うとそのまま
キスをしてきた。
しかも単なるキスじゃなくて
その……舌を挿入してのモノで
俺はあまりに突然の事過ぎて
即座に彼を突き放すことが出来なかった。
「ん……っ!」
頭の中でマズいとやっと判断できる頃
漸く腕が稼働し彼の身体を引き離す事ができた。
「な、何してんの!?
こういうの向こうでは挨拶かもしれないけど――」
「挨拶で舌入れるか」
四堂君は真っ直ぐ俺を見ている。
その唇は濡れていて
さっきキスが気のせいでは無いと
いってるようで何故だか
視線を外せなかった。
次回で一旦章区切りします。




