2節操無しじゃありません
「あ、桐江君!一緒に帰らない?」
「ちょっと、抜け駆けしないでよね」
「何よ、割り込まないで!」
「まぁまぁ落ち着いて。
みんな可愛いのに怒ったら
台無しでしょ?」
目の前で俺の事で揉めてる女の子達を
宥めながら、ニッコリ笑うと
皆しぶしぶと引き下がってくれた。
「……桐江君がいうなら」
「でも、今日は私と帰るって
約束してたよね」
「うん。忘れてないよ、エリちゃんは
明日で良い?」
「あ、じゃその次は私!」
「了解。明後日は咲ちゃんね、
楽しみにしてるよ」
女の子って本当、良い。
可愛くって素直で、いや素直じゃなくって
小悪魔系でも女の子ならもう何でも良い。
女の子、大好き。
もちろん年上の女性も大歓迎。
俺、桐江直継。
私立東雲高校二年。
俺の意思に反して男子高。
まぁ、ハッキリ言うと第一志望の
公立共学校に落ちたから仕方ないんだけど。
これが思った以上に、潤いが全くない。
何で男子校だからって教師まで
全部男である必要がどこにある?
……嫌がらせか?ここは牢獄か?
唯一の救いは近隣の女子高生。
俺は成績は普通だし、
特に目立った特殊技能も無い。
ただ、顔だけは良くて
すれ違う女性の大半から振り返えられる。
逆ナンとか日常茶飯事で、
芸能事務所とかなんだかの
スカウトとかも何度されたかしれない。
通学途中から校門とか
毎日のように女子校や共学の女子から
出待ちされてたり告白されたりとか
されていた。
でも、彼女として一人の女の子に
決めるとか勿体なくて……とかいうと、
アレなんだけど要は優柔不断で、
一人に決めれないというのが本当のところ。
なんだろう押しに弱くて
ここぞっていう時に断ることが
出来ない。
昔から他人に頼まれると
まず嫌といえないタイプだった。
「知ってるのか?
そういうの八方美人って言うんだよ」
クラスメートの鈴木が
いつも俺に言う言葉だ。
「お前さ、もういい加減、彼女作れ」
「“甘いマスクしてて、
桐江君格好イイ~”とか言われて
近隣の女独り占めしてんじゃねーよ」
石川や岡本からもそんな事を
言われるとか心外だ。
「え?待ってよ、
ワザとやってる訳じゃないし。
そもそも独り占めとかしてないって。
遊ぶ時だって、鈴木達も一緒に
誘ってない?俺」
「お前が俺達誘ってくれても
結果的にそうなってるんだよ。
女子全員お前狙いじゃん。
自分がどんだけモテてるか分かんねぇ?」
そんなつもりは毛頭無いんだけど。
単に楽しいし、皆可愛いから
無碍に出来ないっていうか。
んでもって皆も一緒に楽しめれば良いと
単純に思っていた。
「迷惑掛けてたなら謝る、ゴメン」
「はぁ。お前が性格悪けりゃこっちも
逆に楽なんだけどなぁ」
「……だな」
何で皆、神妙な顔してんだろう。
「なぁ?桐江、俺達と賭けしない?」