11単純じゃありません
「単身留学?
家族と一緒じゃなかったの?」
昼休みの屋上は、いまや石川との
情報交換の場になっていた。
「にして妙だろ?まだ小学生で
しかも卒業前のこんな時期に
戻ってくるとか。
あ、でもお祖父さんが向こうに
いるから英才教育で行かせたって
線があるよね?」
「ま、普通はそう思うよな」
石川は食後の煙草をふかしながら
俺に一本差し出してきたが、
俺が禁煙してるからと断ると
あ、そうとアッサリ引っ込めた。
「え?違うの?英語話してたから、
そうかと思ってた」
「ああ、英語どころか、
マルチリンガルらしいぜ」
「って、四ヶ国語以上喋れるって事!?」
「聞いた話だけどな」
「マジ……か」
「留学の件だってこっちからじゃなく、
向こうからの招待留学らしいしぜ?
留学先も俺らと同じ高校生
だったとかなんとか、つまりは……」
「つまり……?」
「天才児。しかも超A級のな」
「…………」
普通とは違うとは思ってた。
だけど誰がここまでだって想像できる?
真相を確かめるが如く帰り遠回りして
1Fの四堂君の部屋の前に到着。
彼がいるのを確認し、窓を叩く。
「何でいつもそこに来んの?」
だってお迎えとかなら
いざ知らず、遊びに来ましたとか
高校生が小学生に何の用?って
流石に家人に怪しまれそうで怖いよ。
答えない俺に業を煮やしたのか、
「で、用、何?」
「何を聞くかと思えば、またか」
「俺ってそんなに信用ない?
――それとも話す気も
起こらないくらい嫌い?」
「そういうんじゃない」
ムッとした顔でそっぽ向かれた。
嫌がるのを無理に聞こうとは
思わないけど、君が少しでも
俺にどんなことでも話してくれれば
嬉しいと思うのは変かな?
「言いたくなければ……」
そう言いかけた所で
四堂君が口を開いた。
他人に話すなよ、と約束を
させられた後、彼は切り出した。
「……俺ね、アンタが思ってる通り
ここの子じゃないんだ」
や、やっぱり!そうだったんだ。
だから――ひね……。
いや、なんて可哀想に。
もっと俺が力にならないと。
「その上、変な超能力のせいで
NASAとかESP研究所に行かされて
辛くてさ、こんな事今まで誰も言えなかった」
うつむいて話す四堂君が
とても儚げに見えた。
翌日、昨日の出来事の報告を兼ねて
ランチ会議。
「大変だよな、彼」
「お、本人から聞けたのか?スゲーじゃん」
「うん、彼、拾われっ子らしいね」
他人に言うなとは言われたけど
石川は彼の事を俺以上に知っているし
これも知っていることだと思って
そう言った。
「は?」
「おまけにエスパーだから、
外国に行かされて英語は覚えたけど、
凄い大変な思いしてたって」
「…………」
彼の昨日の話を思い出して
両親の前では気丈に振舞っていたのかと
思うとその健気さに泣けてくる。
「なぁ、桐江?お前そんなにバカだったっけ?
エスパーとか胡散臭い、良く信じたな」
「え?何言ってんの?石川」
全然、胡散臭くないだろ!
四堂君が俺に話してくれた時の
顔見てないくせに。
というか、この話は知らなかったの?
「何言ってんの、は俺の台詞。
お前……担がれてんだよ、あの子供に」
石川は呆れ顔と哀れみを足して更に
二乗した様な表情で俺を見ている。
「つか、お前らいつも
一体どんな話してんだよ?」
担がれ……た?
信用して話してくれたとかじゃなくて?
「そんな情報俺にはねーよ、アホ」
アホで悪かったね、ムッとしたけど
それは決して四堂君に対してでは無く……。
「石川いい加減、情報を小出しに
出すのやめてくれない?
俺の想像とか入って余計ややこしく
なってるんだって。
先ず、情報元どこ?」
「あ、やっぱり来たか」
来ると思ったよ、と
珍しく待っていた風の表情を見せてくれたけど
俺が望んでるような意味では無論無かった。
「アレ、嘘だよね?」
「ぶッ!やっぱり信じてたんだ?
アンタ、人良すぎだ」
確かに笑ってくれるのは嬉しいが、
理由が良く無い。
「俺からかって楽しかった?」
四堂君はその言葉でピタリと
笑うのを止め、まじまじと俺をみる。
「ずっと嫌だったんだろ?
ごめんね、散々つきまとったりして
もう来ないから、それで良い?
今まで結構楽しかったよ、俺は」
こんな風に嘘を付かせたのは
俺に原因がある。
もっと早くこうしとけば――
「それじゃ、四堂君……」
「待ってよ、今回のは俺が悪かった、
流石に怒るよな、アンタでも」
背を向けた背後から声がしたかと思うと、
いきなり窓越しで制服の裾を掴まれた。
その力は強く、反動で俺は彼の方を
振り向く格好となってしまった。
「謝る。怒らせるつもりはなかったんだ」
怒る?俺が?君を?
そんな権利、あるわけないのに。
目が合った四堂君の顔は
小学生とは思えないほど大人びて見えた。
「四堂君?」
「…………OK。話すよ、俺の事。
何が知りたい?」
やっとスキャナーが見つかりドライバーをインスト
したので、実際当時描いていたアナログ原稿をUPできそうです。
相当昔の原稿で手直し一切してませんのでツッコミ無しで
お願いします^^;※期間限定です。
※尚、原稿は27日の8時以降の公開となります。
自サイトのみで原稿と連動してる各ページの最終部に
リンクを貼っていますので、興味ある方はどうぞ。
(全部のページにある訳ではありません)




