表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/7

第1話 お義母様、落ち着いてくださいませ

「覚悟なさい白雪姫!」

「お義母(かあ)様、落ち着いてくださいませ」


 私は【白雪姫】と呼ばれる娘。北の国の王女に転生した元アラサー女子である。

 人生何が起こるか分かりませんな。

 赤信号に突っ込んでった飼い犬助けようとしてトラ転したら、シンデレラや赤ずきんくらいに有名な白雪姫に転生だなんてHAHAHAHAHA⭐︎

 ちなみにさ、その飼い犬(ヨークシャテリア)ってばトラックがにぶつかる寸前に跳んで、私の頭を足蹴に歩道に戻ってったんだぜ? 信じられる?


 まぁ、そんなこんなで黒檀の髪に白い美肌の顔面国宝なご尊顔を手に入れた私は今、半年前にやって来た後妻様に真正面から金槌を振り上げられている。


 いや……、白雪姫の女王様ってそうじゃ無いだろ。

 一般大衆が彼女に期待しているのは、狩人に暗殺依頼(※失敗)して、紐で絞殺(※未遂)し、櫛を頭にブッ刺し(※即抜かれる)、毒林檎を食わせる事だ。


 白昼堂々ティータイムに襲撃かましてどーすんだよ?

 こんな雑な展開に紅茶溢さなかった私を誰か褒めてくれ。


「お義母様、昨日まで私達『本当に血縁関係無いの?』を周囲に首を傾げまくられる程仲の良い母と娘でしたわ。何が━━いえ、誰がお義母様を惑わせましたの?」


 そう、私達はそりゃもう仲の良い親子関係を築けていた。

 というのも、幼少期に白雪姫転生した事に気付いた私が早々に手を打った結果である。

 実母は私が8歳の時儚くなっていた為、父が後にトンデモ根性曲がりで心の狭すぎる自惚れ地雷厚化粧後妻に引っ掛かる前に、器量も性格も頭も良く自己資産もかなり有る彼女に惚れ込むよう仕組んだのだ。


 有難う、お義母様を「能無し」と蔑み理不尽に離婚した南国のクズ伯爵。

 貴方のアホ行動のおかげでお義母様がこの国に来てくれたし、しかも頼んで無いのに演出装置と化してくれたおかげでお父様との契約結婚からガチ結婚に路線変更して下さったわ。

 ……な・の・に! 何故こうなった!?


「だって鏡が! 鏡がぁ……!」


 お義母様が、金槌を持ったままの腕をプルプルさせて泣き始める。……てか『鏡』だァ!? それはアレか!


『鏡よ鏡、魔法の鏡。世界で一番美しいのはダァレだ♡』

『それは女王様、貴方です。けれども白雪姫はその千倍美しい!』

『キィィイイイイ!! 白雪ブッ(コロ)!』


 そういう台詞を明言してないけど、明らか女王に私を殺させようとする立証出来ない殺人教唆犯!!


 ア゛ー!! どっから密輸(はい)って来た!? 城に入る鏡類には、全部目を光らせていたのに!!


「鏡が、白雪ちゃんをいつまでもお城でニートさせてたら、国が落とされて白雪ちゃんが性奴隷になっちゃうって言うから!」

「その鏡と至急お話させて下さい」


 気になるワードに、私はティーカップを置いてコンマ0.1秒で立ち上がった。

 隣室に常備してる獲物を手にして、お義母様の部屋へGO!


「さて鏡よ鏡、魔法の鏡。誰がニートだコラ、完膚なきまでに割るぞ」


 そうして構えますは、現代的なアサルトライフル。

 フリントロック式のマスケット銃まで元々あったんだよこの国。

 俄かだけどミリオタだったからね、基礎があれば作れちゃったよ。


「やだ何この姫、メチャ怖い」


『メチャ怖い』などと言いつつも、眉ひとつ動かさない氷のように整った無表情。

 意外だった。前世の白雪姫オマージュとかパロディ創作物だと、魔法の鏡の中の人って腹黒そうな青年か少年ばかりだった。

 それが、今目に見えてるのは金髪の美少女メイドだぞ。

 えー? 撃ちづらぁ。


「ていうか、私が王妃様に言った事を聞いて此処来られたんですよね? 気になるところ『ニート』で良いんですか? 『性奴隷』はオーケーなんです? 変態さん?」


 ぶっ放しまーす。






 ━━━━5分後。


「私には根性が歪んで腐り果ててる兄がおりまして……」

「鏡の兄妹観念て何ぞや?」

「喋り方……」

「あら失敬」


 お義母様の化粧部屋(鏡のあった部屋)の壁ごと鏡を蜂の巣にした訳だが、この鏡の中のメイドは、近くに鏡があればそっちに移動する事が出来るらしい。

 今はテーブルに置いた手鏡の中から会話していた。


 尚、お義母様はオロオロしながら私達のやり取りを見ていた。

 あの状況で使用人達にお茶用意させて、落ち着いて話せる場を用意できる辺り根は強かなんだけどね。


「厳密には私は、鏡の世界と現実を行き来出来る妖精で御座います。鏡そのものでは御座いません」


 ああ、そういう事か。検閲逃れの謎が解けたわ。


「そして、その兄はこれまた性格の腐り果てた若い男喰いババ……いえ、ビッチに嵌まりまして」

「言い換えた意味がありませんわね。そんな兄など去勢して捨てておしまいなさい」

「勿論、父を除く一家総出で引き千切りましたとも。それでも懲りませんでしたがね」


 修羅の一族かな??

 先ほど食べ損ねたマカロンを一口。

 ラズベリー味、美味しい。


「そんな兄の推しビッチが、実は最近中央にある国の王様を騙くらかして王妃になったのです」


 中央って……この大陸で一番大きい国なんだが? 何やってんだ王様。


「兄は、二度とイチモツが生えてこない呪いをかけて以降、私の連絡を全て拒否しておりますが……」


 でしょうね。ていうか、妖精って体の一部が欠損しても、何もしなかったら生えるの? 凄いな。


「双子だからでしょうか? 時折魔力回路を通じて兄の近況が見えるのです」

「それ貴女も覗かれてません?」

「幸いこの事実に気付いたのは私が先でした。すぐプロテクトの魔法を開発しまして、兄は私の姿が見えそうになる度に脳をこんがり焼かれております」


 殺意が高い。それ、プロテクト通り越してカウンターだろ。


「まぁ、お風呂や着替えを覗かれるのは嫌ですものね。それで…………彼の国の王様がビッチの傀儡になって、この国を狙っていると?」


 流石にこれは笑えない話だ。お義母様の言っていた『国が落とされて』という台詞から容易に導き出せた話に、思わず殺気立つ。


「王は先日死去した為、傀儡はおりません。しかし、あのビッチは元々、この国の王の後妻の座を狙っていたのです。戦争を企ててはおります」


 あの国の王様が死んだなんて初耳だぞ。

 いや……それよりも、物語を改変した影響がこんな最悪な形で出るなんて。

 ちょっとちょっと神様? 白雪姫の人生を意地でもハードモードに持って行きたいって事?


「━━余程、暇を持て余してらっしゃるようで」

「え?」

「独り言ですわ。……それよりも、貴女が私に白から出るように言った理由はよく分かりました。今からあの国に赴き、内側から崩壊させよという事ですわね」

「いや、そんな難易度ルナティック級のミッション言ってません」


 あら? では何をさせたいのかしら?

 戦争は私嫌いでしてよ?


「お嫁に行きましょう。あそこの王子はとても美形で━━ストップです。鏡を置いてください。そーっと、そーっとですよ」

「貴女を強制的に引き摺り出して顔面が分からなくなる程グチャグチャにするにはどうしたら良いのかしら?」

「申し訳ございません。内部崩壊ルートで行きましょう」


 かくして、私と鏡の妖精の二人(?)旅が始まるのだった。


面白いと思っていただけましたら、何かしらのリアクションを頂けますと嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ