とある避難所
【まえがき】
この物語はフィクションです。実在の人物や団体とは一切関係ありません。決して本作のような行為を推奨しているわけではありません、絶対にやらないでください。
こんちは、おはよう。もしくは、こんばんは?
突然だが自己紹介といこう、私の名前は間地彩子。とある避難所の管理者をしている。
その避難所の管理だが、緊急時以外は基本私一人で管理している、一人だと大変では?と思うだろう。安心して良い、私はほとんど何もしていない。清掃? 食料の備蓄? 知らねぇよ。
嘘だろ?って?……ごめん嘘は半分だけだ。
最低限の清掃、物資の備蓄はしている。怒られたから。
クソッ、あのババア。
そうそう、こんな話をしている場合じゃないんだった。
今日の午前中、千年に一度と言われるほどの大災害が起きた。だからすぐに私の管理している避難所を使うことになる。
さあ、お客さん方を迎え入れようか。
◇
あれから数時間後、私の管理する避難所は大量の人でいっぱいになっていた。
今回の災害はとても大きいから、この避難所も絶対に安全というわけではない、けどそれほどの大きさだからこそ、行く先が避難所しか無い。ほかはもう安全じゃないからね。こんなに大量に人が居るのはそれが原因なのだ。
はぁ、私が丹精込めて管理した避難所、汚されるのかぁ……辛いね。
「皆さん倉庫から物資を運ぶのを手伝ってください!」
食料や医療品など、倉庫から運ぶ物はまだまだある。そのため私、そして緊急で市から派遣された人達は物資を運ぶのを手伝うように、避難しに来た人たちに呼びかける。
快く手伝ってくれる優しい人も居たが。
「ワシはお前らより年上だ! 敬え!」
なんて言う老害もいた。
キレそうになったが、なんとか抑えた。このジジイはまだ働けるくせに働かないため、次の食事の量を減らすことにした。
「あんた、男だろ?」
「しかも独身だね、働きなさい」
更にある独身男性にそんなことを言うジジイとババアを見かけた。
「あのぉ、あなた方もまだ働けますよね? 独身男性だから働けじゃないです、みんなが行動しないと。ああ、あと基本よく働いてくれた人優先で食料を配りますので、働ける人は働くことですね。重い怪我があるのなら別ですが」
騒動を見かけるのが二度目なため、流石に思わず口が出ちゃった。
「あんた!」
はい、こっちは年上だって? うるせぇです。
あの後いつまでも長ったらしくグチグチ言うのでその場を退散した。勿論問題を起こすのは老人だけではなく。
「助けて!」
「やっぱ絶対に起きるよね」
女性が性加害を受けたり。
「うわ! それおもろぉッ!」
「うるさいッ!」
幼い子供達の大きな声。
それに対して大きな声で叱る大人。
「はぁ、避難所ってやっぱり快適じゃないわね」
「ああ、帰るか。きっともう大丈夫だろう」
そんな感じで、避難所の窮屈さを感じ、自宅へと帰っていく人も現れ始めた。
「ふふっ、思わずここの人達を殺したくなりますね」
かくいう私も、ストレスで一気に人間たちをお掃除したくなってきていた。おかしいな、あんなに避難所の掃除を最低限しかしていなかった私が、こうも掃除したくなるとは。
「っと、いけないいけない。久しぶりだよこの感情」
最近はそういう欲球をうまく制御できるようになってきたと思ったんだけどなぁ。
「切り替え切り替え。まだまだやることはある」
頑張れ彩子、ここが正念場だ。
◇
「それじゃあ夕食を配りましょうか」
物資の移動や、怪我人の処置などが一段落した頃には、日が落ちていた。そのため私達は夕飯を配ることにした。
「まず今日働いてくれた方と子持ち家族の方、並んでください!」
食事の優先順位はこうだ。
まず働いてくれた人たちと、子供連れの家族が第一優先。子供連れは妊婦さんも含まれる。お腹に子供がいるからね。
そして次に、第一優先とほぼ同列に怪我人や障害のある方たち。
その次に、働けるのに何もしなかった人たちだ。
この優先順位は食事以外でも基本変わらない。
だというのに……
「ワシを待たせるつもりか!」
出ました、あの老害だ。
おっと……どうやら他にも割り込んでくる、働けるのに働かなかった奴がいるようだ。
「くふ、うぅ。だめだ抑えろ私」
そんな様子を見て思わず罰を下したくなる私。いじめたい。
けど、抑えないと――――――
「寄越せっ!」
「きゃあ!」
「ワシを優先しろ!」
いや、いいや。
私は欲望のままに!
くふっ。そうとなれば!
「はーい! 注目ー!」
私はとある準備を終え、大声でそう言う。そして全員の注意を自身に向けさせる。
「なんだ、あれ」
「チェン、ソー?」
「その通りっ! ここのルールを破る不届き者には、私がこのチェンソーちゃんでお仕置きしたいと思いまぁすっ!」
そう、私が今持っているのはチェンソー。過去に散々使った私の相棒だ。
「ケッ、どうせ偽物だ、それより飯を寄越せ」
「はあぁん、懲りないねぇ……警告するよぉ? ルールを守れ」
「たとえ本物だとしても、警察に通報するだけだ、わかったな?」
「ほう。でルールは守らないと?」
「ワシは長く生きている!」
つまり長く生きてるから偉いと言いたいんだね?
わかった、ふふっ。後悔しても遅いからね? ちなみにここは災害の影響で電波が繋がらないからね?
「それじゃあ今から粛清の時間と行きまぁす」
そうして私はチェンソーのエンジンをかける。
エンジン音が辺りに響き渡る。
「本物?」
「は?」
みんなびっくりしているようだ。そりゃそうよ、おもちゃなわけあるか。
「くっ、どうせ直前で止める。そうだこれはただの脅しだ」
あの老害は腰を抜かしておいてそんなことを言う。
私は彼にゆっくり近づいていく。ブオンブオン。
「こんなことして許されると思うなよ!」
まあごもっともなんだけどねぇ。
「ひっ! やめっ――」
私は逃げようとする老害を足で押さえつけ、腕目掛けてチェンソーを振る。
刹那、辺りに雄たけびが響き渡った。
びしゃー、と血が噴き出る。
「あ゛あ゛ああ!」
「うるせぇよ、ほら、お待ちかねの飯だぞ?」
私はそう言って、泣き叫ぶ老害の目の前に切り落とした彼の腕を置く。
「ほらぁ、食べなよ、ふふっ! おじさん、ご飯ですよー!」
周りは逃げ出そうとする人たちでいっぱいだ。だけど扉の鍵は全部閉めてるし、その鍵も簡単には見つからない場所に置いてある。
「皆さん大丈夫ですよぉ! ここのルールを守る人には危害は加えませんのでっ!」
ですから、くれぐれもっ
「ニゲナイデクダサイネェ!」




