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恋愛・ヒューマンドラマ

伝説級の男役令嬢は子犬系王子に溺愛される

作者: 二角ゆう

【花婿にしたいランキング1位 カイラ・シャルマン伯爵令嬢】


 全国学園新聞の発表。

 学園連盟発行の新聞と侮るなかれ。

 後援は名高い公爵夫人と王妃様。


 今年は特に投票率が高い。この国にある学園にいるすべての令嬢のうち94%の投票率。


 後援のおかげで貴族や王族の関係を取り去った極めて公正な投票である。


 この3年間は他の人と大差で1位を飾っている。


 その名はカイラ・シャルマン伯爵令嬢。


 端正な顔立ちに目立つのが高い鼻と大きな瞳だが切れ長の目。そこに深みのあるブロンドの髪の毛は腰まである。令嬢が一目でも目が合えば、虜になってしまう。そんな噂もあるほどの彼女は170センチと背も高い。


 学園で行われている淑女歌劇団、俗称“薔薇の剣”は令嬢だけで構成された演劇の団体で、私は男役を務めている。


 私はなぜか学園に入って以来ずっとこのランキングの1位を取り続けているのだ。


 花婿にしたいと言う名前の通り令嬢から見た顔の良さ、身体つきと言った見た目、性格、話し方、立ち居振る舞いなど総合的に見て投票が行われるもので、“男性の中で”が暗黙の了解のはずだった。


 私が入った年の秋に行われた薔薇の剣公演の“一筋の愛”で、身分差に苦しみながらも最愛の令嬢を最後の瞬間まで愛し続ける王子の役をやって以来、ランキングはガラリと変わったのだ。


 その公演を見た令嬢たちは学園連盟の広報部に詰めかけ、今年のランキングの投票をやり直してほしいと殺到した。


 今年と言っても秋頃だったのであと数ヶ月しかなかったが、それを聞きつけた王妃の一声ですぐさま再投票が行われた。


 再投票の結果、不動の1位を取ってきた王子は2位になり私が1位を取ってしまった。


 これはまずい。王子の息のかかった者から私は殺されてしまうかもしれない。


 私はそれを見て慌てて辞退しようと学園連盟の広報部に行ったはずなのに、そのまま王城に連れて行かれた。


 応接室で待っていると呼ばれたので、ついていくと王妃が座っていた。その隣には名高い公爵夫人も座っている。急いできたのか公爵夫人は肩で息をしていた。


 王妃と公爵夫人は私を穴が開くほど見ていると、10代の乙女のように目をきらきらさせている。


「実に良いですわ」と王妃。

「誠に素晴らしいですね」と公爵夫人。


 ちゃっかり“一筋の愛”の記念公演を私に頼んでくる王妃。


 その横でカイラの返事よりも早く大声でその返事をしながら頭を仰々しく下げているのは、学園連盟の広報部長。さみしくなった頭をいそいそとハンカチで拭いている。


 王妃と公爵夫人ににこりと笑顔を向けると私は口を開いたが、先を越されてしまった。


「カイラ嬢、もしこのランキングに満足できない方が出てきましたら私がすべて排除するので安心して下さいね」

「私も王妃様には全面的に協力いたしますわ」


 王妃様が“排除する”と言うと怖さに厚みが出る。私はこれ以上ない後ろ盾に感謝の言葉を述べるしかなかった。


 学園では一部熱狂的すぎる令嬢たちもいたが、私に危害を加える人はいなかった。大半の令嬢は熱のこもった視線を向けてくるだけで、温かく見守ってくれているようだ。


 薔薇の剣の公演は好評だった1年目の悲恋の演目を受け、2年目も“あぁ、非情なる運命”と言う悲恋の演目だった。

 そして私はまた王子役を指名された。


 隣国の王女と恋に落ちたが、間もなく戦争が始まる。そこへ王子役の私は隣国へ単騎で王女を救いに行くが、周りは四面楚歌。王女を目の前にして他国の王様に王女は捕らえられてしまい、私も捕虜となってしまうと言う話だった。


 これも大反響があったが、あまりにも非情な王子と王女の運命にベッドに伏せる令嬢が続出したため、来年はその続編“愛の彼方”を公演することになった。


 捕虜となって他国の王城に捕まった王子役の私を王立軍が危険を冒して他国の城に助けに来た。王立軍と合流し攻防戦の末、私は王の間まで辿り着いた。すると他国の王様と捕らえられた王女の姿があった。

 私の姿を見て観念した他国の王様は死を覚悟し頭を下げた。そこへ私は腰から引き抜いた剣で決闘を申し込み死闘の末、他国の王様を討ち王女を助け出すと言うお話だ。


 その公演は失神者が続出する危険な公演となったのは別の話だ。


 私は学年最後の年も順調に花婿にしたいランキング1位を取ってしまった。


 あぁ私には求婚してくれる相手は来ない。このままでは婚期を逃してしまう⋯⋯。


 私が独り身のままになったら、王妃様か公爵夫人に何かの務めで雇ってくれないだろうか。


 そんなことをぼんやり考える。


 こんなに男より男前と言われる私には誰にも言えない秘密がある。

 私は大の可愛いもの好きなのだ。

 本当は令嬢たちと可愛いものについて身を悶えさせながら朝まで語り明かしたいとずっと思っていた。


 それも叶わなかった。


 鞄に可愛いうさぎのぬいぐるみを付けた時は令嬢たちが乱闘騒ぎを起こしたのだ。


 誰が私にあれをあげたのかと、探偵のごとく調べていたそうだ。そして度が過ぎる尋問の末、乱闘騒ぎになってしまった。


 ”私が作りました”

 私は声を大にして言いたかった。


 それ以来、可愛いものも付けられなくなった。


 匂いくらいは良いかと思い、好きな甘ったるい香水をつけていった日は、大事件が起こる寸前のような緊迫した空気が1日中流れたあげくに公爵夫人に呼ばれてしまった。


 そして夫人から詰問を受ける。

「お相手は誰ですの?」


 私は仕方がないので、妹の香水と間違えましたと乾いた笑いを部屋中に響かせた。


 公爵夫人は扇子で口を隠して、おほほと上品に笑っていたが、扇子の脇から覗く口元は大きく緩んでいた。


 その日の夜、ベッドにうつぶせになった私はちょっと泣いた。


 私だって白馬の王子様が迎えに来るのを夢見るし、赤い薔薇だってロマンチックに誰かから差し出されたい。


 私は自分の理想の王子を頭に想像しながら振る舞ってきたのだ。


 次の日学園に行くと何やら騒がしいので、人だかりの方へ近づく。


 王族の紋章が入った馬車が見えた。

 馬車から降りてきたのはリカルド王子。身長は163センチと小柄で茶色の髪の毛はふわふわとウェーブがかかっている。


 純粋無垢に見える大きな目はいつも潤んでいるように見える。その目は誰かを探しているのだ。


 私は気になって人だかりから王子の方へ顔を出した。


 あぁ、今日もリカルド王子は子犬のように可愛らしいわ。


 王子は学園で見かけた時から私の推しだった。


 きょろきょろと左右に顔を向けて探していた王子と目が合うと私の方へ歩いてきた。


 ちょこんと私の目の前に立つと、背中の後ろから大きな薔薇の花束を差し出してきて、頬を赤らめながらも満面の笑みを私に向けた。


「結婚して下さい」

「はい」


 私は間髪入れずに答えた。頭が考えようとする前に口からそう答えていたのだった。


 王子は嬉しそうに顔を赤らめて、上目遣いに薔薇の花束をもう一度私に差し出した。


 私は王子しか見えなかったし、周りの音も一切聞こえていなかった。


 私はそっと王子から薔薇の花束を受け取った。


 私の周りは大声疾呼の嵐だった。


 甲高い悲鳴も濁音の混ざる悲鳴も失神者も数え切れないほど出ていた。


 令嬢たちは今までで見たこともないほどの速さで走ってくると私とリカルドのことを我先に目に収めようとしている。


「最高の組み合わせですわ」

「推しカプ過ぎる」

「尊すぎて見えない」

「続巻に目が離せないわ」


 令嬢たちはなんだが色々と言っているようだったが、私には聞こえなかった。


 私はそのまま薔薇の花束を抱えてリカルドと一緒に馬車に乗った。

 向かいに座った王子は緊張しているのか仕切りに頭を撫でている。


 その王子の手を優しく掴んで距離を縮める。


 私はいつものクセで背景に薔薇を背負ってしまった。


「あっ」

 真っ赤な顔をした王子は私に手を掴まれたまま目を潤ませる。


「王子はなぜ私と結婚しようと思ったのですか?」

「⋯⋯一目惚れです。あなたのその瞳に心を奪われてしまったのです」


 ぐっ⋯⋯推しから一目惚れと言われて嬉しくない人はいない⋯⋯


「もしかしてこの前王子のハンカチを拾った時ですか?」

「⋯⋯はい、そうです」


 私は心の中で王子から落ちてくれたハンカチにガッツポーズをしながらお礼を言った。


 私は嬉しくなってもう少し王子に近づいた。息づかいさえも聞こえてきそうな距離だ。


 私の背景の薔薇は咲き乱れる。


「私も王子に一目惚れだったんです。学園で王子を見かけた時に恋に落ちました」


 私は王子の瞳に吸い込まれそうだった。すると王子は目をぎゅっとつぶり私の頬にキスをした。そして目を伏せて王子の口から紡ぎ出される。


「⋯⋯あなたが好きです」


 推し⋯⋯最高すぎるわ⋯⋯鼻血が出そう⋯⋯キスされた頰はもう洗いたくないな⋯⋯


 王子と私を連れた馬車は王城へ着いた。

 王子は王城にある自分の部屋へと案内し部屋の中を見せてくれた。可愛らしいうさぎのぬいぐるみがたくさん並んでいる。


「王子⋯⋯このうさぎたちは何ですか?」


 私は興奮のあまりはしたなく部屋中を見渡している。


「あなたのことを考えているうちにたくさん作ってしまいました⋯⋯手作りなんです。⋯⋯でもあなたは可愛いものをあまり好きではないですよね?」


 私は嬉しさのあまりに床に膝をついた。


 ここは天国なのか⋯⋯目の前に天使がいるのだが⋯⋯


「王子、素敵過ぎます。実は私は可愛ものが大好きなんです」

「あぁ、良かった⋯⋯嬉しいです」


 乙女さながらに頬を赤らめる王子を私は思わず抱きしめた。


 誰が何と言おうとリカルド王子と結婚するわ。


 私は興奮したまま、王子の手を取り王妃様の元へと急ぐ。


 以前、「何かあったら最優先に聞くからいつでも私の元へ来て欲しい」と王妃様から言われていた。

 なので、お言葉に甘えたのだ。


 王妃の侍女は私たちを見ると、頼もしく頷いて王妃様の部屋の扉を開けた。


 王妃様はソファで何かを読んでいたようだ。


「まあ!」


 王妃様は慌てて本を片付け始める。

 私は王妃に近づくと頭を下げた。


「突然の訪問、大変申し訳ありません」

「本人が来ちゃった⋯⋯いえ、大丈夫ですのよ。それにしてもリカルドもどうしたのですか?」


 私は一歩前に出ると、高らかに宣言しようとした。

 すると頬を赤らめて王子は宣言した。

「私はカイラ嬢と結婚します!」


「まあ!!!」

 王妃様から聞いたこともない大きな声がした。

 そこへ私も宣言した。


「私もリカルド王子を愛してしまいました。王子は運命の人です。この先、王子より素敵な人は現れません」


「まあ、まあ!」

 王妃様は口元を手で押さえると、それ以外の言葉が出て来なかった。


 王妃様のそばに来た侍女は小声で何か伝えようとしていたが、興奮のあまり、小声にならない。


「王妃様、私は執筆に戻ってもよろしいでしょうか? こんな神展開、書かないなんて我慢が出来ません」

「えぇ、しっかりと、頼みましたよ」


 王妃様は頬を上気させていたが、目も潤んできた。


「こんなにおめでたいことはありません。カイラ嬢、リカルド、結婚式は盛大に行います」


 その言葉を皮切りに戦闘開始の号令の如く侍女が集まってきて、予定を立て始めた。


 そしてその知らせは瞬く間に国中に知れ渡ることになった。


 私たちも両家の顔合わせや寸法など着々と進んでいく。ちなみにドレスのデザインは王妃様がやると言うので、お任せした。


 私は王子の隣で幸せいっぱいだった。



 ■



 一方で、こんな話も持ち上がった。


「あのカイラ嬢がついに結婚なんだと」

「花婿にしたいランキング1位の令嬢を誰が射止めたんだ? 国中の令嬢から殺されるんじゃないか?」

「リカルド王子だって。あの頼りなさそうな王子だよ」


 カイラは十分すぎるほど男前と言う噂が流れていたのに対して、リカルドは背も小さいしはっきりした物言いをしないので王子らしくないと言われることもあった。


 この時代でも、王子は堂々と胸を張り、妻となるものを引っ張っていくと言う風潮がまだまだ強い。


 2人は真逆の存在のように思われていたのだ。その心配の声も上がった。


 私が王城を飲み込んで掌握するのではないか、と。


 他国に対して体裁は大丈夫なのか、と。


 王妃様や公爵夫人、令嬢たちはその噂を否定しにかかったが、噂は消えることがない。


 王族の晴れ晴れしい結婚式だと言うのに、2人の支持派とそうでない派と分かれてしまったのだ。


 私や王子に直接は言ってくるものはいなかったが、私もそれについては耳にしていた。


 王子は結婚前夜にベッドの上に正座すると私の手を取ってきた。


「カイラは本当に僕との結婚で良いのかい? 外では色んな噂があるでしょ?」 

「何を仰るんですか? 私は王子以外と結婚するなんてごめんです。そんな噂は放っておいて下さい」


 私は王子の手をぎゅっと握り返した。


「僕が頼りないばかりにごめんね」

「そんなことはないですわ。明日、王子の素晴らしい姿を皆は目の当たりにするでしょう。あんな噂、2度と聞かなくなりますわ」


 私は優美に笑って見せた。それを見た王子も柔らかく笑い返した。


「ははっ、カイラがそう言うと本当になりそうだ」

「本当になりますよ」


 私は王子の胸にそっと頭を付けた。



 ■



 結婚式は王城から1番近い寺院で行われる。その祭壇の前で誓いが行われるのだ。


 寺院の中には2人を一目見ようと人で溢れかえっていた。


 寺院の扉が開くと私とリカルドは中央までゆっくりと歩いていく。


 私は最高級の絹で出来たウェディングドレスを着ていた。その膨らんだ裾にはダイヤモンドが散りばめられている。


 綺麗なブロンドの髪は芸術品のように綺麗に編み込まれて纏められている。その上にも星が瞬いたように小さなダイヤモンドが散りばめられている。


 首元には大きなダイヤモンドがついた国宝のネックレスをつけている。


 上品にあしらわれた化粧はいつもの男前を引っ込めて、彫刻のように綺麗だ。


 人びとは普段の印象からは想像が出来ない程美しいカイラを見て息をするのも忘れているようだ。


 それに対して、リカルドは少し温かみのある白いモーニングコートを着ている。コートの上着はふくらはぎまで伸びる長さがある。


 実は⋯⋯と結婚式直前に私に見せてきたシークレットブーツはヒールが10センチくらいあった。


 見た目の身長差はかなり縮まっていた。


 丁寧にまとめ上げられたオールバックの髪型。

 それに加えて長いモーニングコートの上着は風格がある。


 きっちりまとめた髪型が普段の可愛らしい雰囲気からぐっと男らしい雰囲気へと近づけた。


 私は心の中でリカルドの物凄いキャップ萌えに鼻血を堪えるのが大変だった。


 結婚式は誓いの言葉の後、指輪をお互いはめて、誓いのキスをするのだ。


 2人は微笑み合いながらお互いの指に指輪をはめると、私は一歩下がった。


 裾を広げながらゆっくりと深いお辞儀をする。


 1、2、3、4⋯⋯5秒⋯⋯









 静寂の時――。










 畏敬の念を感じるほどのカイラの美しさに、人びとは言葉を失った。



 この5秒間は【女神の祈り】と言われ、後世にも語りづかれるほどだった。


 私はゆっくりと頭を上げると、目の前にリカルドの姿が見える。


 リカルドはゆっくり私に近づくと、情熱なキスをした。


 理性崩壊。


 この直後、耐えきれなくなった令嬢たちから大きな事件でも起こったかのように、悲鳴の嵐が吹き荒れた。失神者も続出して、警備員が足りない状態。


 王妃様さえも過呼吸を起こしてしまうほどだった。


 後世ではもしかするとこの出来事は事件として、歴史の教科書に載るかもしれない⋯⋯。


 それ以来、2人を支持しない派は忽然と消えてしまった。



 ■



 私は晴れてリカルドと結婚したのだ。

 忙しい日々を覚悟していたが、意外にも穏やかな日々が過ぎていく。


 リカルドも仕事が終わると真っすぐ帰ってきた。私はリカルドの頭をちらりと見る。


「リカルド、今日もオールバックですね。格好良いですが、もう寝る時間ですから髪を洗ってはいかがですか」

「⋯⋯そうだな」


 結婚してからリカルドはオールバックにすることが増えた。私はある疑問が頭に浮かんだ。


「もしかして結婚式でオールバックにした時、私が格好良いと言ったから毎日しているんですか?」

「⋯⋯うん」


 私は胸を押さえて倒れ込みたい衝動をなんとか押さえてリカルドの手を握った。


 ⋯⋯おっと、また背景に薔薇を背負うところだった。


「リカルド、格好良いです」

「⋯⋯うん」

「すごく格好良いです」

「えへへ、そうかな」


 リカルドは頬を赤くしているが嬉しそうな様子だった。

 その笑顔をすっと変えて真剣な顔をするので、私の胸は変な音を立てて痛くなる。


 リカルドの綺麗な瞳に吸い込まれそうになるのだ。たぶん、私も頬を赤くしている。


「カイラ、君はいつも綺麗だね」

「リカルド⋯⋯ずるいですわ」


 今度はリカルドが背景に百合の花を背負った。リカルドが輝いて見える。


 リカルドは天然でこんなことをやってくるから心臓に悪いわ⋯⋯最高すぎるのよ⋯⋯



 それから数日が経ち、リカルドから観劇に誘われた。


 そういえば私は結婚してから舞台に上がっていないどころか、観劇は一度も見ていない。


 私は誘われるままリカルドについて劇場に入った。1番良いボックス席のようだ。


 今日はお忍びで来たので簡単なドレスだったせいか、あまり気に掛ける人はいないようだった。


 辺りは暗くなってお芝居が始まる。


 私はその舞台にあれっと思い始めた。


 私はリカルドの方を見た。


「リカルド、これってもしかして⋯⋯一筋の愛ですか?」

「そうだよ」


 リカルドは私に笑い返した。

 舞台の外から初めて見た。あの学園の1年生の頃を思い出す。


 見ていてムズムズしてくる。舞台を食い入るように見つめていると、まるで舞台の上にいるような感覚になる。


 私の口から台詞が溢れる。


 遠い過去に置いてきた懐かしい場所。その様子を見た王子は私の腰にそっと手を回して優しく抱きしめた。


「もう1度、舞台に立ってみる?」

「⋯⋯いいの?」

「お母様に言ったら明日にでもカイラの公演が始まりそうだよ」

「ふふっリカルドありがとう」


 リカルドの言う通りだった。


 王妃様にお会いしたいと告げると、すぐに呼ばれたので、舞台に戻りたいと話した。もちろんリカルドも賛成していることも伝えた。


 すると新しく劇場を建てると言ってくれた。明日からでも公演をやりましょうと前のめりに言われたが、さすがに侍女に止められていた。


 晴れて私は舞台に戻ってきたのだ。


 舞台に戻った初公演は立ち見までいて劇場は満員だった。それでも劇場の周りにはたくさんの令嬢が詰めかけていた。よく見ると警備員は普段の10倍以上いた。


 お芝居の最中は誰も騒ぐことなく静かに見てくれた。


 私の舞台が終わる頃には人は100人くらいは減っていたんだと思う。警備員がばたばたと慌てて動いていたので、倒れた人でもいたのだと思う。


 舞台挨拶でもう一度舞台へ上がると、観覧席の奥から歩いてくる人物がいる。慌てて照明係がライトをその人物に照らすと、長い黒のタキシードを着てオールバックにしたリカルドが腕に抱えきれないほどの薔薇を持ちながら歩いてくる。


 リカルドの背景には大輪の百合の花たちが咲き乱れて宙を舞っていた。


 舞台が終わったということもあり、それを見た令嬢たちが悲鳴を上げ始める。中には何かを叫んでいる令嬢もいる。


「ここで2人が揃っちゃうの?」

「眼福すぎる!」

「有難すぎて追加料金を支払いたいくらいだわ」


 舞台からはよく聞こえなかったが、とにかくリカルドが格好良くて目が離せない。薔薇を持って観覧席から颯爽と現れるとか理想の王子すぎるわ。このすべてを目で記憶するのよ。


 リカルドが舞台に上がって来た。そしてリカルドは私の目の前に膝を着くと薔薇を持ち上げた。まるでプロポーズだった。


「カイラ、素敵だったよ」

「リカルドありがとう。こんなことしてくれるあなたも素敵すぎるわ」


 男役なので男装した私とリカルドは見た目は男同士のようにみえたが、気にしない。


 私は薔薇を受け取るとリカルドに抱きついた。


 令嬢の興奮で狂気じみた声と警備員の怒声のような大きく張り上げる声が入り混じっていた気がした。



 ■



 それから何日か経った頃、王妃様が過労で倒れたと聞いたのでリカルドと2人で王妃様のお見舞いに言った。


 王妃様はベッドの上でたくさんの本を広げていた。


 学園ものだろうか? 金髪の髪の長い女の子の絵が描かれているページが広がった本もある。


 本の表紙には“ロゼリア”と書いてある。本の題名かしら。


「ぎゃっ本人たちが来ちゃった――」

 王妃様は目を丸くしながら周りの本をかき集めている。


「⋯⋯一体、2人ともどうしたのです?」

「王妃様が過労で倒れたと聞いたので、お加減は如何ですか?」

「そうです。お母様無理は禁物ですよ」


 私とリカルドがそう言うと、近くの侍女が説明してくれた。


 実は私とリカルドが結婚してから私たち宛の招待が山のようにきており、私たちはその中にあった招待状のいくつかに参加していた。


 私はリカルドと舞踏会に行った時のことだ。

 ダンスホールの真ん中が空いていたので私たちはダンスをしたのだ。

 その後、悲鳴と胸の痛みを訴えて倒れてしまう令嬢が続出してしまい会場は騒然。彼女たちの看護でダンスホールから人がいなくなってしまい舞踏会は続けられなくなった。

 そしてそのまま途中で中止となったのだ。


 それ以来、王妃様が裏で招待状を捌いていたらしい。


 王妃様が満足する行事にしか参加させたくない様だったが、私は王妃様の体調のほうが心配だった。


 私たちが自分で選ぶと申し出たが王妃様は首を縦に振らなかった。仕方なく侍女を20人増やすからこちらでやらせてほしいとお願いされてしまった。


 それにはこちらも首を縦にするしかなかった。


 その時、王妃様から1つの招待状をもらった。


 隣国の王妃様と王女様とのお茶会だった。


 隣国に着くと王妃様は隣国の王妃様と初対面とは思えないほど親しげな雰囲気を出していた。


「送っていただきました本は全部読みましたわ。娘も読みましてこの国でもぜひ売ってほしいと言っていますわ」

「まぁ、それは嬉しいですわ」


 隣国の王妃様はこちらを見ている。私とリカルドがそれぞれ挨拶すると、隣国の王妃様は熱のこもった握手をしてくれた。


 その後王妃様の方へ行くと「ご本人たちは想像以上ですね。今日のお茶会でお菓子が食べれるか心配ですわ。もう胸が一杯なのです」とこっそりと打ち明けている。


 隣国の王女とも挨拶すると真っ赤な顔をした王女は震える手をカイラに差し出してきた。私は両手で隣国の王女の手を包むように握手した。


「あ⋯⋯あ⋯⋯」


 隣国の王女は声にならないようだ。


「これからも私たちと仲良くしていただけると嬉しいですわ」

「はっ⋯⋯はい!!」


 ふらついている隣国の王女は侍女に抱きかかえられている。


 王妃様は本を出して見せながら、隣国の王妃様に楽しげに話しているようだ。気になった私は侍女に聞いてみた。


「王妃様は隣国の王妃様と随分仲が良いのですね。何の話をされているのでしょう?」

「王妃様がお持ちのあの本、おそらく隣国でも出版するみたいですよ。隣国でもすごく売れると思います!」

「本⋯⋯どんな本なのですか?」

「それは⋯⋯尊い天使のような方が出てくる有り難いお話です」


 ⋯⋯なるほど、王妃様は何か宗教のようなものを広めているみたいね⋯⋯


 私は度々漏れ聞こえる“ロゼリア”という言葉が気になっていたが、神の書であることが分かった。


 その数カ月後、私は子どもを授かった。あの時のリカルドの驚きようはあまりにも愛らしく今でも忘れられない。


 懐妊したことを知ったリカルドはお腹に耳を当てた。しばらくして顔を上げると「寝ているのかな?」と真剣に聞いてきた。まだ、そんなに大きくなっていないんだと私は思ったが、この愛らしいリカルドの姿を何度も見たかったので秘密にしておいた。


 それからリカルドは部屋から出ることを私に禁止してきた。それはあまりにもひどいと抗議すると、リカルドは王妃様に呼ばれていった。


 リカルドが戻ってくると、なぜか王妃様もやってきた。私はそれを見て慌てて立ち上がると「急に動いちゃだめよ!」と王妃様が走って近寄ってきた。


 リカルドも同じような顔をしているので、私の味方はいなかった。仕方がないので悲しい顔をすると2人は急にそわそわし始めた。


「私は平気ですよ。妊婦でも少しは動いても大丈夫ですから」


 王妃様とリカルドはこそこそと話し始めた。


「歩いても大丈夫かしら? 従者を5倍に増やしましょう」

「お母様、それは良いですね。それから付きっきりの医師ももっと増やしましょう。料理人も栄養素に詳しい者を雇いましょう」

「リカルド、賛成よ。それから寝具も変えましょう」


「あっあの! そんなにお気遣い頂かなくても私は大丈夫です」


 今回ばかりは王妃様とリカルドは結託したようで、私の話は食べ物以外聞いてもらえなかった。


 そんな2人の様子ですぐに王城の中で私の懐妊がバレた。


 街ではカイラの懐妊に騒ぎ出した貴族や平民がお祭り騒ぎとなりそのままお祭りが始まった。

 本人は不在のまま、令嬢たちの興奮はなかなか冷めやらなかった。そしてお祝いに皆は花屋に殺到して花屋から花が消えた。


 王城には街中の花を買い占められたかのように花であふれた。庭は花畑が延々と続いているみたいだ。


 それから私の仕事は一切なくなった。舞台の仕事はおろかお茶会も来賓の対応も何にもない。


 リカルドはせっせと子どものために色々と買っているらしい。その必死な姿は愛らしかった。


 私のお腹はすごい勢いで大きくなってくる。診察している医師も首を傾げていた。リカルドがお腹に耳を当てていると中から蹴られたようだ。


「今、赤ちゃんがお腹を蹴ったよ」


 私はリカルドがいない方から蹴った感覚がした。


 双子だった。


 それが分かると、いきなりリカルドは叫んだ。


「お母様を至急呼んでくれ!」


 リカルドから聞いたこともない大声を聞いて、私は目を丸くさせた。


 王妃様は走ってやってきた。


 あぁ、王妃様をそんなに走らせるなんて本当に申し訳ない。


「まあまあ! 双子なの!」

「ええ、そうみたいです。王妃様、あまり興奮されますと、また過呼吸になってしまいますので落ち着いて下さい」


 それを聞いた街の令嬢たちの興奮は最高潮となり、“ロゼリア”コールが止まらなかった。また町中はお祭り騒ぎだった。私はまた参加できない。


 今回ばかりは散歩も王様が歩いているのかと勘違いするほど、私の周りには人がいた。


 少し庭に出てみると、侍女たちが興奮して私の子どものことを話しているようだった。


「街では令嬢たちが大興奮みたいですよ」

「ロゼリアが隣国でもベストセラーになったみたいで、感想と双子誕生のお祝いの手紙が倉庫に入らないんですって」


 ロゼリアは神の書だと隣国のお茶会で知った。でも神の書にはエンターテインメント要素も担っているのかと疑問を通り越して感心した。

 最近の布教活動は随分変わったらしい。


 部屋でいつものようにリカルドを待っていると、毎日ハーブティーやらぬいぐるみを持って帰ってくる。


 私が喜ぶと、あの手この手で私が見たことない物を探してくるようだった。


 私は唯一1つだけ仕事を受けた。それは学園新聞のインタビューだった。


 部屋の中でリカルドと一緒と言う条件でようやくリカルドは納得してくれた。


 部屋の壁際では執事と侍女と医師が控えている。


 記者の女の子は私たちに会うと目をきらきらさせて挨拶をした。


 私の体調を気遣ってかすぐにインタビューに入った。記者の女の子は私のお腹をちらりと見ると「リカルド王子はどう思いますか?」と聞いた。


 おそらく双子が出来て、どう感じていますかと言う意味だと思う。


 しかしリカルドは私の方を見て“私のことをどう思いますか”だと勘違いして答え始めた。


「カイラは素晴らしい人です。僕はカイラに一目惚れだったんです。どうしても自分の気持ちを伝えないといけないと薔薇の花束を買いに行きました。舞台の上ではすごく格好良いですが、隣に座る彼女はすごく可愛らしくて――」


 隣で聞いている私の方が顔を赤くしてしまう。それでもリカルドの惚気は終わらない。


 記者の女の子はにっこりと満足そうに頷けながらペンを持つ手は職人技のように素早く動いている。


 私もリカルドの調子に合わせることにした。


「リカルドは天使のような愛らしい姿でいつも私を和ませてくれます。でも結婚式の時みたいに、突然格好良くなってしまうので心臓が持ちませんわ⋯⋯」

「ごめんね、カイラの心臓を痛めていたなんて」


 リカルドは慌ててカイラを抱きしめた。心配そうな目をこちらに向けてくる。


 あぁ今日も素敵なリカルド。


 背景はすみれとたんぽぽが咲いているわね。


 そんなリカルドの手の中に小さな男の子と女の子が収まるとクリスタルのような綺麗な涙が溢れた。


「カイラ⋯⋯本当に本当にありがとう」

「リカルド⋯⋯良かった」


 私は満身創痍で上手く答えられない。リカルドに双子を任せて、力なくベッドの上に横たわった。奥で静かに見ていた王妃様は順番が来たとばかりにやって来た。


「まあまあまあ!! なんて可愛らしい双子なの。男の子と女の子なのね」


 王妃様は両手を口元に当て肩をあげて胸いっぱいの様子。


 なんと王様も来ていた。


 私は挨拶も出来ないので上体を起こして、謝罪する。


「陛下⋯⋯ベッドの上からのご挨拶申し訳ありません」

「カイラ嬢、そんなことはどうでも良い!」


 ぴしゃりと大声で言われてしまった。王様はすごい目力のまま双子を見た。


 リカルドは顔を上げ王様を見ている。


「可愛らしいのう」


 その言葉に私は力が抜けた。


 双子の誕生という知らせは瞬く間に国中に知れ渡った。


「双子は男の子と女の子みたいよ」

「カイラ様とリカルド様の御子様なんて天使だわ」

「早くお顔を拝みたい!」


 街は3日3晩お祭りが続いたようだ。国民の興奮はそれほど冷めやらなかった。

 もちろん本人は不在だ。


 それから侍女たちがばたばたと忙しく働き始めた。


 不思議に思ったので、聞いてみる。


「実はカイラ様たちへのプレゼントやら招待状が殺到していまして倉庫もいっぱいで使っていない部屋を臨時で使うのに掃除をしているのです」

「まぁ、ご面倒かけるわね」

「いえ、もうすぐロゼリアも出ますので、皆元気いっぱいですわ」


 なんと、王妃様の神の書は新刊が出るそうだ。何でも他国にも凄まじい売れ行きで、この国の出版技術が進化し、国の収入の半分を超えそうだとか。


「その、ロゼリアと言うのはそんなにすごいのかしら?」

「ええ、ロゼリアに出てくる学園を歩きたい人が多くて他国の人もたくさんやって来て聖地巡礼していますわ! 王都にはお店もここ数年でたくさん立ち並んでおります。商いを営んでいる方は一代貴族になる方も多いとか」


 わぁ、1大観光産業にもなっているのね。確か王妃様も私と同じ学園出身だったわね。

 王妃様は布教活動をなさっているのかと思ったら、聖地巡礼だなんて王妃様自体が神さまだったのね。今度お会いしたら拝んでおこう。


「⋯⋯私もロゼリアを読んだ方が良いかしら?」

「⋯⋯いえ、カイラ様の御心はすでに女神の域です。必要ありません」


 そこまで言われたら、要らないようね。私も少しでも国のお役に立てるように、また舞台に立ちましょう。


 私は双子を産んでから1年後に舞台を復帰した。王妃様が建てて下さった新しい劇場は超満員。その劇場の周りいっぱいに人だかりが出来ていた。


 舞台が終わっても誰一人として立たなかった。


 観覧席の後ろから薔薇を持った人物ではなく⋯⋯双子を抱えたリカルドがやって来る。


 今日一番の令嬢たちの歓喜の悲鳴に待ちきれず後ろの扉も開いた。


 令嬢たちはハンカチで顔を隠しながら倒れないように踏ん張っている。


「ああ、こんな姿を見られるなんて」

「歴史に残る瞬間だわ」

「天使が増えた。もう私倒れそう」


 リカルドが舞台に上がると、私は双子を抱いたままのリカルドを抱きしめた。



 ■



 そんな双子もあぶあぶと何か話し始めた。双子が産まれてから王妃様は何度も双子を抱きに来てくれた。


 今日も王妃様の姿を見つけた息子と娘は王妃様に笑顔で手を伸ばしている。王妃様は嬉しそうに近寄ってくる。


 そこへ王様がすっと現れた。双子に顔を近づける。強面の顔を大きく崩して笑う。


「おじいちゃんでちゅ」


「いぎゃあぁぁ!!!」と泣き叫ぶ息子。

「きゃきゃきゃっ!!」とケタケタ笑う娘。


 2人の性格は随分違うようだ。


 王妃様は固まりながら王様の方を呆れ顔で見た。


「あなた今のは一体何ですか?」


 王様は咳払いした。


「君ばかり2人に懐かれてずるい。私だって懐かれたい」


「ふふ⋯⋯⋯あははっ⋯⋯あっ申し訳ありません。あまりにも素敵なやりとりでしたので心が温かくなってしまいました」


 私の言葉に皆、微笑みだした。




 そんな双子ももう3歳。


「お母様はこんなに可愛いのに、皆は格好良いと言うんですよ!」と口達者に怒っている娘はふわふわの髪を2つ結びにして胸を張っている。リカルド似の大きな目で可愛らしい。

 背景にはカーネーションを背負っている。


「そうですよ。お母様はとても可愛らしいのです!」


 息子は私に似たようだ。金髪のさらさらの短い髪に目尻が長くキリッとした目をしている。顔の作りは私そっくり。

 息子の背景には薔薇が咲いている。すでに大規模なファンクラブがあるらしい。“産まれた時から推し”と言っている令嬢も多いようだ。

 その息子はリカルドと私を取り合っている。


 それにしても、リカルドや双子から見た私は可愛らしいようね。まだ舞台も見せていないせいかしら。


 今度、一筋の愛の再公演を是非やってほしいと王妃様から言われていたわね。今まで国交がなかった遠くの帝国から王女様がいらっしゃるようで、この演目をリクエストしているらしい。

 息子と娘に見せたらびっくりするかしら。


 そう思うと舞台に上がる私を見てびっくりする息子と娘を想像して笑ってしまった。


 リカルドがそれを見て首を傾げてくる。


「カイラ、何か面白いことでもあったの?」

「いえ⋯⋯幸せだなあと思って、ふふっ」


 それを見たリカルドも息子も娘も笑い始めた。


 その笑い声は春の陽気に混ざり合い溶けていった。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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