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ネクサス・オービット  作者: 白狐
第一章
7/10

7 中心都市《エデン・コア》

《オービット・コア》から少し離れた位置にある《ネクサス・オービット》最大の都市エデン・コア。カイは賑わいを見せる大通りに足を踏み入れた。道の両側にはさまざまな店が立ち並び、食料品や衣服、さらには最先端の家電製品まで販売されている。ここで購入した商品は1週間以内に自宅へ配送されるシステムになっており、ネットショッピングのような利便性も備わっていた。さらに、ここでは職人向けの工具や特殊なアイテムなども豊富に取り揃えられている。


人々はまるで現実世界と変わらない生活を営んでおり、活気に満ちている。カイは改めてこの世界のリアルさに驚嘆しつつ、周囲を見渡した。遠くに見える巨大なタワー《シグマ・タワー》が、この都市の象徴としてそびえ立っている。


「本当に仮想空間ヴァーチャルの中なのか……?」


カイは思わず呟いた。五感すべてが現実と同じように機能しており、風の流れや街の喧騒、香ばしい屋台の匂いまでが鮮明に感じられる。この世界がただの仮想空間とは思えないほど、完璧に構築されていた。


少し歩くと、広場が見えてきた。そこには様々なプレイヤーたちが集まり、情報交換をしたり、取引を行ったりしていた。装備を身に着けた戦士や魔法使い風のプレイヤーが談笑する姿は、まるでファンタジーの世界そのものだ。


「ようこそ、《エデン・コア》へ! 新規プレイヤーですか?」


突然、後ろから声をかけられた。振り返ると、金色のショートヘアに可愛げのある刺繍が施されたローブをまとった少女が立っていた。


「私の名前はエレーナ。以後お見知りおきを」


エレーナと名乗った少女はにっこりと柔和な笑みを浮かべる。


「ええ、まあ……そうですね」


「なら、まずは案内してあげますよ。この街は広いし、迷うと厄介ですから」


エレーナは親しげに笑い、カイを広場の中央へと誘った。ここには巨大なホログラム掲示板があり、《ネクサス・オービット》全体の地図や重要な情報が表示されていた。


「これは都市の最新ニュースやイベント情報が確認できる掲示板ボードです。これをチェックしておけば、どんなイベントが開催されているかも分かるようになっています。」


カイは興味深そうにホログラムを眺める。《ネクサス・オービット》には数多くのギルドや施設が存在し、ここ《エデン・コア》プレイヤーが活動する拠点となっているようだった。


「まずはどこへ行きたいですか? マーケット、闘技場バトルアリーナ、冒険者ギルド、それとも交流広場?」


エレーナは無邪気な笑顔を浮かべてこちらの様子を伺う。


「そうだな…じゃあ、闘技場バトルアリーナとか—」


「おすすめは交流広場です」


エレーナはカイの言葉を遮るように、交流広場を勧めてくる。


何故なのかわからず戸惑うカイに、エレーナは安堵のため息をついた後に説明する。


闘技場バトルアリーナは血の気が多い輩がわんさかいます。そんな輩の中には新規プレイヤーを奴隷のように働かせるようなのもいるのです。」


カイはそうなのかと内心で呟く。


「じゃあ、エレーナが俺を闘技場バトルアリーナに行かせたくないのは、俺がそういう被害に遭わないようにしてほしいからってことか」


エレーナは満足したように頷く。


「そういうことです。分かったのならよろしいです」


カイは心配し過ぎではと思ったものの、声に出さず苦笑いで抑える。


「それじゃあ、行きましょう!」


セレーナは張り切って案内を始めたのであった。

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