全員で地上へ!5
「最後、クオン。」
「うん。」
私が呼ばれた。
私はじぃじのそばの椅子に座る。
「クオン。ワシをじぃじと呼んで慕ってくれてありがとう。赤子のお前を妻の見様見真似で世話をしていい思い出になった。」
「私も!じぃじが大好きだから!ユカリねぇねもエミねぇねもハルコねぇねもバサラにぃにもマユねぇねヤスケにぃにもみんな大好きだから!だから後ろをついて回った!」
大好きな家族だから家族の真似をしたかっただけ!
「それでも、嬉しかった。孫が出来た感じだったから。地上には孫が居てここにも孫がいる。これだけ幸せな事はない。」
じぃじに本当の孫に合わせたかった。
じぃじの目が少し白くなった。
「それにクオンは小嵐流を面白いくらい覚えたし魔力がある事が分かると色々アレンジをした技を教えて楽しかったぞ。ワシは魔力が無かったから教えることしか出来なかった。」
じぃじの小嵐流は覚えると面白かった!
秘技旋風は正拳突きに風属性を加えた技!
他にも顎砕きという下から拳を振り上げて相手の顎を砕く技に水属性を加え水柱を出しながら殴る滝登という技や火属性を纏わせた拳で地面を殴り地割れと一緒に火柱を走らせる火砕流という技が出来た!
「楽しかったよ!するすると覚えていったから!」
じぃじの命の鼓動が小さくなっていく。
「よかった。クオン。ワシはクオンを小嵐流を免許皆伝させた。もうワシからは教える事は無い。次はクオンが小嵐流を教えてやってほしい。」
「頑張る!」
教えるの下手だけど!
「それと妻の梅と孫娘の緋色に会ったらこれを渡してくれないか?」
じぃじがずっと首にかけてた物を私に渡した。
「これ、じぃじの大事な物。」
「それはロケットと言って上のへこみを押すと中が開くんだよ。」
私はへこみを押すと蓋が開いた。
何はじぃじとじぃじのお嫁さんがいた。
写真って奴だ。
「梅がくれた物だ。それを返したかった。梅。見ているな。そばにいてやれなくてすまない。愛しているよ。」
:私もです。哲男さん『孫娘』
「私もですって小嵐さん。」
リオンがこめんとを読んでじぃじに伝えたみたい。
じぃじは涙を流した。
そしてじぃじが私の頭を撫でてくれる。
「小さかったクオン・・・大きく・・・なって・・・」
冷たい手、だけど温かい。
命の鼓動が消える・・・
私はじぃじに笑顔を向けた。
最後まで笑ってじぃじを見送る!
「ありが・・・と・・・」
じぃじの手が落ちた。
じぃじは目を閉じてる。
じぃじ、笑ってる。
泣いてるけど笑ってる。
死ぬ時は笑顔で死にたいって言ってたからちゃんと笑顔だ。
「じぃじ、私も、私もありがとう。さよなら。大好き。」
いつの間にか私の後ろにユカリねぇね達が居た。
「おじいちゃん、さよなら。大好きでした。」
「哲男さん。ゆっくりと眠ってね。大好きだよ。」
「おじさん。次会う時はあの世だね。大好きだったよ。」
「じっ様。ありがとな。じっ様見たいな奴好きだったぜ。」
「おじ様、ありがとう。大好き。」
「爺さま、ありがとう。好きだった。」
私は涙を流した。
最後まで笑顔でいられたかな?
バサラにぃにとヤスケにぃにがじぃじを外に連れて行って火葬した。
:まさか配信で葬式を見るとは思わなかった。
:いつもは茶化すけど今の状況じゃあコメ欄でも茶化す度胸無いわ。
:茶化したらアカウント探って身バレさせてやる。
:こえーから!
私達はじぃじが燃えている間ずっと手を合わせる。
「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時。照見五蘊 皆空。度一切苦厄。」
ユカリねぇねはお経を唱えてる。
じぃじが死んだ人に唱えてた呪文。
死んだ人が極楽って場所に無事に行けるようにするためだって言ってた。
長い長い時間が経って火が消えてじぃじは灰になった。
ユカリねぇねは壺に灰を全部詰めて蓋をした。
「リオンさん。予定通り明日ここを離れます。ですが私達全員でです。ご案内お願いします。」
「ユカリさん!多分ですがギルド職員がユカリさん達をはじめに案内すると思います。ですがそこまでは案内出来ます!」
「そうですか。分かりました。みんな!明日に備えて今日はゆっくりと休むわよ!明日の早朝にこの家を私のアイテムボックスに収納するから!土地を購入するまでしばらく借り屋暮らしになるわ!」
「ユカリさん!土地についてギルド職員からコメントが!」
:ユカリ様。土地について希望がありましたら今ここで伝えてください。我々が出来る限り融通します。その際に金額をお教えします。『ギルド職員』
「ありがとうございます。夫が家を建てたいって言ってたからこの家を拠点にかなりの大きさの土地が欲しいわ。そこは夫と今相談するわ。お金は・・・90層から100層までのモンスターの素材でどうかしら?使い所が無いからアイテムボックスの肥やしになってるの。」
:是非お願いします。貴重なサンプルになるでしょう。では早速調べますので希望の土地の広さをお願いします。
「・・・リオンさん。このドローンを少しお借りしても?夫と一緒にこの人とお話ししたいので。」
「大丈夫です!充電もまだまだ持ちますので!」
その後はユカリねぇねとヤスケにぃに以外はお部屋で寝た。
私はリオンと一緒に寝たけど寂しくてリオンを抱きしめてリオンが苦しそうだった。
早朝、私達は家から出た。
「ユカリ、家をしまったら私はこの場所をまた普通のボス部屋に戻すよ〜。一応転移魔法陣はあると思うけど〜もしかしたらボスが再配置すると思うしその時は全員でさっさと倒そ〜。」
「分かったわエミ。それじゃあ家を仕舞うわ。」
ユカリねぇねが家に手を当てると家が消えた!
:すげぇ。一瞬だ。
:これがアイテムボックス。覚えたい!
:早朝から配信数十万人見ててw
:探索者はダンジョン産の収納袋を手に入れるまで全く持って行けないし持って帰れないからこの魔法は欲しいわ。
「これでよし。エミ。戻して頂戴。」
「いくよ〜。えい!これでいいよ〜。」
:めっちゃ適当w
「これでいいんですか?あまり変化は無いみたいですけど。」
「ダンジョンコアの妖精が言うから間違いな〜し!証拠に向こうにボスが再配置されてる〜。」
「本当ね。あれってなんのモンスター?」
「どう見てもドラゴンですよね!?」
おぉ〜緑のドラゴン!
四つん這いで大きな翼だ!
強そ〜!
:この家族ドラゴンの前でも通常運転だな!
:昨日の葬儀が嘘のように通常運転だ!
「えっと〜。ダンジョンの危険度が上がってるから〜。エンシェントトレントから白緑竜にランクアップしてるよ〜。」
:やべぇ白緑竜も気になるけどその前のエンシェントトレントもめっちゃ気になる。
:もしかして家の素材の一部がトレントなのか?
私は手を挙げる!
「ユカリねぇね!私倒してくる!」
「行けるかしら?クオン?」
「必要なら俺も手伝うぞ?」
私は首を横に振る!
「あれ倒せないとじぃじが心配して成仏出来ない!」
「いや無茶ですよ!クオンに何かあったらそれこそ心配で小嵐さんが成仏出来ないよ!」
「行ける!リオン!撮れ高欲しいってリオン言ってたからそのどろおん貸して!」
「えっ!?そんな危険な撮れ高いらないよ!」
「リオン、クオンがここまで言ったら頑固じゃ。素直に渡してやれ。無理矢理取られて壊れるよりいいだろう。」
「それにクオンは俺と同じくらい強いからな!あんなトカゲ野郎なんざさっさと倒すって!」
リオンは渋々私にどろおんを渡してくれた!
私は頭にどろおんを乗せた!
「ユカリねぇね!これ落ちないように魔法かけて!」
「はいはい、えい!」
ユカリねぇねがどろおんをツンと触れた!
どろおんが頭に貼り付いた!
振っても落ちない!
:クオンちゃん!よう!よう!
:気持ち悪い!
:俺三半規管強いから大丈夫だ。
「さっさと行ってくる!」
「気をつけてね。」
私は走った!
:はやっ!
:車以上の速さ!
:もうドラゴンが目の前だ!
ドラゴンが口を開けて叫んだ!
:ひぃ!怖い怖い!口の中見えた!
:めっちゃ叫び声がうるさい!ヘッドホン外してしまった!
:鼓膜死んだ・・・
地面を蹴ってドラゴンの頭上に飛ぶ!
:速い!怖い!速い!怖い!飛んだ!
:もうコメ欄地獄でw
「小嵐流秘技!稲妻落!」
私は雷属性を足に纏わせて一気に急降下する!
ドラゴンの頭に私の蹴りがめり込んだ!
大きく開いた口が閉じて顔が地面にめり込んだ!
:おぉぉぉぉぉ!!!すげぇ音した!人類が聞いたことのない音が聞こえたぞ!
:地面にめり込んでる!すげぇ!
:これが小嵐流!小嵐さんすげぇ!
ドラゴンまだ生きてる!
次で止め!
「小嵐流秘技!」
私は再び真上に飛んだ!
「落石!」
右手に土属性を纏わせると同時に巨大な岩の腕を作る!
ヤスケにぃに曰く硬さはオリハルコン並らしい!
巨大な岩の腕をドラゴンの頭目掛けて落ちながら振り下ろす!
ドラゴンの頭が潰れて倒した!
:スプラッターーーー!!!
:すげーのに怖えーーー!
:悲報!幼女強すぎてスプラッター!
ドラゴンが消えた!
私は岩の腕を消した!
魔法陣が出てきた!
後宝箱見たいな箱!
「お疲れ様クオン。」
ユカリねぇねがどろおんの魔法を解いた。
どろおんが落ちかけた所私が受け止めた。
「それじゃああの宝箱開けて地上に行こうぜ!」
「クオン。貴方が倒したし貴方が開けて。」
「うん!」
私は箱を開けた!
中には・・・鍵?
「エミねぇね!鍵だよ!」
「鍵?ですか〜?ちょっと見せてくださ〜い。」
エミねぇねに鍵を見せた。
エミねぇねは鍵を手に取った。
「これ・・・久しぶりに見たよ〜。これは最難関ダンジョン。多分この世界・・・多分日本のどこかにある鍵のかかったダンジョンを開けるための鍵だよ〜。でも鍵は3本必要なんだ〜。手に入れる方法は難しいダンジョンを制覇するとたまに手に入るよ〜。」
:マジか!?そんなクリア後ダンジョンみたいなものがあるのか?
:すでに有識者達が鍵にかかったダンジョンがあったか調べてるぞ!
エミねぇねが鍵を渡してくれた。
もしかしたらいずれ行くかも。
「クオン!すごいですよ!ドラゴンをすぐ倒して本当にすごいよ!」
リオンが私の手を握った!
なんか興奮してる!
「それじゃあみんな、地上に行きましょう。」
ハルコねぇねが魔法陣の側に来てる!
みんなが移動してる!
私も行こうと思ったけどふと家のあった場所を振り返る。
じぃじが見ていてくれた気がした。
私、じぃじみたいに強くなる!
だから安心して成仏して!
「クオン。行くわよ。」
「はーい!」
急いで魔法陣に向かう。
みんなで魔法陣に乗った!
光がみんなを包んですぐに収まった!
「ここ、1層の入り口だ。」
「それじゃあこの階段を上がると地上か。」
ヤスケにぃにが階段を見た。
ワクワクする!
「やっと地上だ!」
リオンが嬉しそう!
みんなが階段を登る!
光が見える!
私は階段を走って登った!
光の先に見えたのは・・・
「わーーーーーーーーー!」
青い空だった!
空は青かった!
周りは池や小さな石橋がある!
そして人も居る!
驚いてる!
私は挨拶した!
「初めまして!人間!」