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プロローグ後

女性を抱えた少女は歌いながら歩く。

「〜〜〜♪〜〜♪」


:古い歌w


:なんで日本の演歌歌ってるんだこの獣人?


:しかもしっかりとこぶしを入れてる


:次はアニソンだけどこれも古いアニメの歌だな。数年前にリメイクで放送されてたぞ


少女がしばらく歩いていると大きな家が見えた。

「ただいまー!」


:目的地着いた!


:くそっ!画面が見えない!


「おかえりクオン。」

1人の女性が少女を出迎えた。

「ユカリねぇね!ただいま!」

クオンと呼ばれた少女はユカリと呼ばれた女性に抱きついた。


:まじでどこに着いたんだ?


:早く画面を映してくれ!


「クオン?その肩に担いでいる女性は?」

「デカアリに食べられかけてた!ドロドロ薬をかけて治して連れて来た!」

「そう、偉いわね。いつも持ってくる人は死んでるからお墓が増えていくから生きている人は初めてね。」


:そういえば生きている人が久しぶりと言ってたな。


:人って探索者の事か?この獣人幼女・・・えっとクオンちゃん?がよく拾って来てそしてこの女性が墓を作っているのか?


:死んだ探索者を弔ってくれていたのか?


「ユカリねぇね!この人私の布団に連れてく!起きたらいっぱいおしゃべりしたい!」

「いいわよ。その子を寝かせて来たらご飯を食べましょう。バサラもマユもヤスケもハルコもエミももうすぐ帰ってくるから。それと今日はおじいちゃんにご飯を持って行くんでしょ?」

「そうだった!じぃじのお世話しないと!」


:獣人の家族?


:なんか日本人みたいな名前だな。


:おい同接見てみろ!クオンちゃんが現れてから一気に増えて10000人超えたぞ!


:リオンが無事ならなんでもいい!『マネージャー』


:マネージャーさっきからキモイな。


「その子が起きたら知らせるからそこにおかゆとお味噌汁、ほぐしたお肉と細かく刻んだサラダ、後飲みやすいように少しトロトロにしたお茶を置いてあるからおじいちゃんをお願いね。」

「はーーーい!!」


:俺も老後こんないい孫に介護されたい


:俺も、でも娘が汚いモノを見る目で見ているし嫁も介護が必要になったら問答無用で老人施設に入れるって娘に言ってた(泣


:すまん、一瞬リア充爆発しろと思った


:同情してくれてありがとう(泣


:今更ですが少女の使っていた小嵐流を調べましたが1人の探索者がヒットしました。過去に兼六園ダンジョンを80層まで行った1人の男性が居ました。その者の名が小嵐哲男(こがらしてつお)です。


:マジかその情報!?まさかクオンちゃんがじぃじと言っている人って・・・


クオンが女性を部屋に持って行き自分のベットに寝かせた。

その後ユカリが言っていた食事を持ってある部屋に行った。

「じぃじ!ご飯!」

クオンが扉を開けるとベッドと小さな机と椅子が一つずつある部屋に来た。

「クオンか。ありがとう。」

ベッドには1人の老人が居た。

だが起きることが出来ず首だけクオンの方に向けている。

クオンは老人に近づいてベッドの近くの机に食事を置いた。

そして木のスプーンでお粥を掬い、

「じぃじ!あーん!」

老人の口元に持って行った。

老人は微笑みながらスプーンのおかゆを少し食べた。


:幼女のあーん・・・声だけでも幸せやわ・・・


:ギルドに小嵐哲男さんの生存を伝えました。そして奥様とそのお子さんに連絡をしてもらいリオンチャンネルの配信を見てもらう予定です。


:ナイス知らない人!


:失礼、自分はギルド職員です。今後コメントの最後に『ギルド職員』と付けます。


:ギルド職員か!?そら詳しいわな!


クオンが老人に食事を食べてもらっている最中に、

「じぃじ!そういえば今日生きた人を拾った!怪我してたし治した!」

「そうか。クオンは偉いな。」

「それでねじぃじ!このブンブンしていた物も取ってきた!」

クオンが大きなカバンからドローンを取り出した。


:やっと映った!


:この人が小嵐哲男?もうヨボヨボのお爺さんだ。


:小嵐哲男さんはダンジョンが出現してすぐ、50年前に兼六園ダンジョンに潜った人です。当時35歳。この人が小嵐哲男さんなら年齢は85歳です。『ギルド職員』


:ちょっ!最古参じゃねーか!つーか行方不明じゃ無かったのか!?


:おばあちゃんが哲男さんと言って泣いてます。その人が哲男さんで間違いないと思います『小嵐孫娘』


:ご家族も視聴してる!?


「これはドローンだよクオン。」

「どろおん?この変な音してたの?」

クオンがドローンのレンズを覗き込む。

「昔と違ってかなり高性能になっておるな。ワシも昔はそれを使ってこのダンジョンに潜ったからな。結果は80層のボスとの戦いで壊してしまったがのう。」

「じぃじ!どろおんって食べれる!」

「歯が痛くなるから食べたらダメじゃよ。それは撮影をしているのじゃ。その映像が貴重な資料になっておるのじゃ。」

「ふ〜ん。」


:幼女のドアップサイコー!


:あの耳を触りたい!


:むしろにぃにって呼ばれたい!


「じぃじ!にほんご!にほんごが映ってる!」

「ほぉ、今ではそんなことも出来るのか。ちょっと見せてくれないか?」

「うん!」

クオンがドローンの向きを変えた。

ドローンのレンズの上に画面がありそこにコメントが流れていた。

「ほぉ、スマートフォンだったかな?それをドローンにセットしているのか?だがなんのために?」


:それは配信しているからだよ哲男さん!


「むっ、これはリアルタイムで撮影されているのか?」


:はい。小嵐哲男さん。今は2075年。50年の年月がダンジョンの常識が変わりました。今では決死隊の探索者ではなく動画配信者がバズりたい、あるいはダンジョン攻略に必要な情報を動画で取って動画アプリで配信する探索者が複数います。彼女、クオンさんが助けた探索者もその1人です。『ギルド職員』


:当時って決死隊だったのか?


「そうか。だが遊び感覚で大丈夫なのか?」


:そこは自己責任です。ギルド職員も口頭で注意をしても聞かない探索者がいます。『ギルド職員』


:グサっ!


:ガハッ!


「どうやらこれを見ている人に心当たりがある人がいるようじゃな。命は1人しか無いから粗末にするなよ。」


:小嵐哲男さん、ギルド職員を代表いたします。50年前の決死隊に参加していただきありがとうございます。我々ギルド職員は貴方の配信した映像のお陰で80層までのモンスターの脅威を知り対策を立てることができました。本当にありがとうございます。『ギルド職員』


:そっか。俺近くのダンジョン科の生徒だけど卒業したら兼六園ダンジョンに潜る予定なんだ。だから情報を撮ってきてくれた小嵐さんには感謝します。ありがとうございます!


:めっちゃええ話や


「そうか。それはよかった。ワシのあの行動は無駄じゃ無かったのだな。」

老人、哲男の目から涙が出ていた。

「じぃじ!?痛いの!?」

「大丈夫じゃクオン。これは嬉しくて泣いているじゃ。」

「嬉しくて?バサラにぃにとハルコねぇねの間に赤ちゃんができた時と同じくらい?」

「そうじゃな。それと同じくらいじゃ。」

「そうなんだ!」


:哲男さん?『小嵐孫娘』


「ん?孫娘?」


:私!小嵐(うめ)の孫の緋色(ひいろ)と言います!おばあちゃん、コメント打つの苦手なので代筆しています!『小嵐孫娘』


「そうか。孫まで・・・直接会えないのは寂しいな。」


:会いにきてください!ずっと待っていました!哲男さん!『小嵐孫娘』


「無理じゃ。ワシの死期が近い。こうして話しているだけでも奇跡じゃ。」


:そんなこと言うなよ!小嵐さん!


:ポーションとか何かで延命出来るだろ!?


「ポーションの延命は治せない外傷があった場合に出来る事だ。ワシは寿命じゃ。ポーションは寿命まで伸ばせないからな。」


:そんな・・・やっと奥さんと再会出来たのに・・・


「梅、すまないな。幼い子供を残してダンジョンに潜ったワシを憎んだだろう。」


:いいえ、一度も貴方を憎んだ事はありません。ずっと待っていました。貴方が帰ってくる事を。『小嵐孫娘』


「そうか。ありがとう。クオン。すまないが食事を下げてくれないか?それとそのドローンも一緒に持って行ってくれないか?」

「うん・・・じぃじ。後でまた来るね。」

「あぁ。また来てくれ。」

クオンは食器とドローンを持って部屋から出て行った。

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