買い物と過去の傷跡、そして新たな決意
(……ったく、本当に、めんどくさい男だわ。けど、まあ、嫌いじゃない)
レイアは、ルイスを引き連れ、武具店を後にした。ピンクのパーカーを羽織りなおし、赤いポニーテールが、街の風に、優雅に、揺れていた。
(……それにしても、この街は、本当に、騒がしいわね。けど、まあ楽しいし、この先進むためには、この街並みをしっかりと覚えておくのも重要よね)
「……レイアさん、すみませんでした。少し、興奮しすぎて、周りが見えなくなってしまっていたようです。ですが、レイアさんの、その力にふさわしい武具を、見つけることができたと思います」
ルイスは、少し、しょんぼりとした様子で、レイアに謝った。その横顔は、少しだけ、子供っぽく見えた。
(……本当に、素直な奴ね。それに、いつも、私のことを、気にかけてくれる。そんなところは、まあ、悪くないかもしれない)
「まあ、別に気にしなくてもいい。そんなことより早く次の店に行こう。じゃないと日が暮れてしまう。それに、お腹も空いてきたし。それに、もしかしたら、次の店には、もっと、面白いものが、置いてあるかもしれない。」
レイアは、そっけなく言ったが、心の中では、少しだけ、ルイスのことを、気遣っていた。そして、彼女は、彼を、心から、信用し始めていた。
……そして、二人は街の通りを歩き始めた。
……レイアは、ふとある店先に目を奪われた。
……それは小さな魔道具店だった。店先には、様々な魔道具が並べられており、その一つ一つが、不思議な光を放っていた。それは、まるで、星が、瞬いているようにも見えた。そして、その光は、レイアの、心の奥底に、眠る、記憶を呼び覚まそうとしているかのようにも、感じた。
「……レイアさん、どうしました?その店が気になりますか?」
ルイスが、不思議そうな顔で尋ねた。
「……ええ。なんか、少し気になるものがある気がするわ。それに、この魔道具は、古代の力が宿っているような気がする。もしかしたら、この先に進むための、ヒントが隠されているかもしれない。」
レイアは、ルイスと共に店の中へと入った。
……店の中は、外から見たよりもずっと広く、まるで迷路のようだった。天井は高く、そして、その奥には、光が届かない、暗闇が、広がっている。
……そして、そこには、様々な魔道具が所狭しと並べられており、その一つ一つが不思議な力を秘めているようだった。店の中には、香炉から立ち上る、甘い香りが立ち込め、そして、何処からともなく、水の流れるような、不思議な音が、響いていた。そして、その音は、レイアの心の奥底に、眠る、何かを、呼び覚ますようだった。
……レイアは店の中を歩き回り、そしてある魔道具の前で足を止めた。
……それは小さな銀色のナイフだった。そのナイフは他の魔道具とは違い、何の装飾もなく、ただシンプルで、そして美しかった。まるで、磨き上げられた、月光のように、静かな、輝きを放っていた。
……レイアは、そのナイフを手に取ると、不思議な感覚を感じた。
……それは、まるで、古代の戦士の力が宿っているかのように感じた。そして、その力は、彼女の過去と、未来を、繋げるように感じられた。そして、それは、彼女に、未来への道標を、与えてくれると、信じさせてくれる、何かだった。
「レイアさん、そのナイフは、古代の戦士たちが、魔力を制御するために使っていた魔道具のようですね。おそらくそれは、この巻物にも記されているものです。よく見つけましたね」
ルイスがレイアの後ろで、そう言った。
「へー。あんたそんなことまで知ってるの?」
レイアは少しだけ驚いた。そして、同時に、ルイスの知識の深さに、感心していた。
「……ええ。この巻物には、古代の戦士たちがどのようにして魔力を制御していたのか、その方法が詳しく書かれています。そして、その方法には、このナイフが深く関わっているようです。それに、もしかしたら、そのナイフは、レイアさんの心の声に応え、あなたを、ここに、導いたのかもしれない。」
(……もしかしたら、そうなのかもしれない。そして、これは、私自身の力なのかもしれない。い)
「レイアさん、このナイフを、あなたに使ってほしい。そしてその力で古代文明の謎を解き明かしてほしい。そして、その力を、この世界のために、そして、あなた自身の、未来のために、使ってほしい」
ルイスは真剣なまなざしでそう言った。
レイアはルイスの言葉に、少しだけ、心を動かされた。
……このナイフには確かに不思議な力が宿っている。
……そしてそれは、彼女の進むべき道を照らしてくれるのかもしれない。
レイアは、そのナイフを購入した。
店を出ると、レイアはふと、自分の腕の傷跡に目をやった。
……その傷跡は昔、戦場で負ったものだった。
……そしてそれは、彼女の過去を象徴しているようにも見えた。
(……だけど、もう過去に囚われるのは終わりにする。これからは、自分の力で未来を切り開いていく。そしてその未来は、古代文明の謎とも関連があるのかもしれない。そして、このナイフは、その道を、照らしてくれるだろう。)
レイアは心の中でそう誓った。
……そしてその時、彼女は自分の心が少しだけ軽くなったような気がした。そして、レイアは、心の奥底で、過去の自分に、別れを告げた。