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束の間の休息、そして新たな始まり

新たなエピソードに向かって、準備していく回ですね。

(ああ、もう、マジで、へとへと……)


 レイアは、宿のベッドに、大の字になって、転がっていた。沈黙の谷の冒険から、帰ってきて、数日が経っていたが、まだ、疲れが、抜けきっていないようだった。


 (……けど、不思議と、悪い気分じゃない。もしかしたら、この疲労感は、きっと、私が生きて、そして、戦い抜いてきた証なのだろう)

 

 ……レイアは、そう思いながらも、大きく伸びをすると、ベッドから、ゆっくりと、起き上がった。そして、ピンクのパーカーを、羽織ると、鏡の中の自分を、見つめた。そこには、相変わらず、赤いポニーテールが、跳ね、精悍な顔立ちには、わずかながら、優しさが、宿っていた。

 

 ……そして、レイアは、宿の窓から、外を眺めた。

 

 ……そこには、賑やかな王都イグレシアの風景が、広がっていた。石畳の道には、朝早くから人々が行き交い、露店からは、香ばしいパンの焼ける匂いが漂ってくる。そして、その上空には、鳩が、群れをなして、飛び交っていた。


(……ああ、少しだけ、街に繰り出して、何か美味しいものでも食べに行こうかしら。それに、新しい装備も揃えないといけないし。それに、もしかしたら、この先に進むためには、この街で、何かを得なければならないのかもしれない)

 

 

 レイアは、ピンクのパーカーを羽織り、赤いポニーテールを軽く束ねると、部屋を出た。そして、彼女は、少しだけ、心が、軽くなっていることを感じた。

 

 (……そういえば、あの魔法使いボンボンは、どうしているかしら?まあ、どうでもいいか。きっと、また、難しい本を読んでいるか、難しい顔で、魔術の研究でもしているんでしょ。それに、あいつは、いつも、自分のことしか考えてないんだから)

 

 ……レイアは、そう思いながら、冒険者ギルドへと、歩き出した。

 

 ……ギルドへと続く道は、いつもと変わらず、活気に満ち溢れていた。道には、様々な武器を携えた冒険者たちが歩き、その中には、顔なじみの冒険者たちの姿もあった。そして、彼らは、レイアの姿を認めると、笑顔で、挨拶をしたり、軽く手を振ったりしてきた。その様子は、まるで、彼女が、このギルドの、一員であることを、歓迎しているようだった。

 

 

 ……そして、レイアは、冒険者ギルドへと、たどり着いた。

 

 

 ……ギルドの扉を開けると、いつものように騒がしい声が飛び込んできた。酒と汗と獣臭が混ざり合った、むせ返るような匂い。だけど、その匂いは、どこか、懐かしく、そして、彼女の心を、少しだけ、和ませた。ギルドの壁には、様々な依頼書が貼り付けられており、その一つ一つが、冒険者たちの、欲望と、夢を、物語っていた。

(……ああ、やっぱり、この場所は、どこまでも、騒がしいわね)

 

 

 ……レイアは、その喧騒の中で、ルイスの姿を、見つけた。彼は、ギルドの隅にあるテーブルで、何やら、難しい本を広げ、ブツブツと、呟いていた。そして、その傍らには、食べかけのパンと、冷めたお茶が、置かれていた。


(……ああ、もう。本当に、この男は、どこまでも、変わらないわね)

 

「……レイアさん、おはようございます!」

 

 ルイスは、レイアに気づくと、満面の笑みを浮かべた。以前に見られた傲慢さは微塵もなく、それは、まるで、子供のように、無邪気で、そして、どこまでも、優しかった。

 

 「……ああ、おはよう。で?あんたは、何をしてるのかい?また、何か、難しい本でも読んでるのかな?それに、その顔、少し疲れてるみたいだが、ちゃんと休んだのか?」

 

 ルイスは、少し、照れ臭そうに、笑った。

 

 「……ええ、少しだけ休憩をしていたところです。それに、今日は、レイアさんと、街に繰り出して、新しい装備を探しに行こうと思っていたんです。もちろん、その前に、この巻物の内容を、少しだけ確認しておきたかったのですが。もしかしたら、この巻物には、なにかヒントが、隠されているのかもしれないので」


(……ああ、もう。本当に、あんたは、魔術のことになると、周りのことが見えなくなるんだから。けど、まあ、それも、魅力なのかもしれないけど)

 

 「レイアさん、あなたの新しい装備は、古代の戦士の力を最大限に引き出すものでなければなりません。そして、それはきっと、この王都のどこかで、見つけることができるんではないかと思っています。それに、もしかしたら、この王都に、この巻物に記された、古代魔術のヒントが隠されているかもしれない。それに、レイアさんの、その、強大な力を、もっと、引き出すような、魔法のアイテムが、あるかもしれない」

 

(……ああ、もう、本当に、めんどくさいことばかり言うわね。そんな簡単に手に入るんなら苦労しないわよ。でも、こう言われると、確かに、求めているものがあるような気もしてくるわね。)

 

 「わかった。買い物に付き合ってあげる。でも、今回は私が店を選ぶよ。それに、お昼ご飯も、私が決める。いいね?」

 

 「……はい。もちろんです。レイアさんの、お好きなようにしてください。その場所が、美味しいお店であることを祈ります。」


 ルイスはそう言うと、嬉しそうに微笑んだ。

 

 ……レイアは、ルイスと共にギルドを出た。


 

 

 ……そしてレイアは、その時、心の奥底で、小さな希望が芽生えているのを感じていた。

 

 ……それは、この先の冒険で、彼女が、どんな困難に立ち向かおうとも、決して消えることのない、小さな光だった。

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