第一話
「生まれました!元気な男の子ですよ!」
分娩室に元気な赤ん坊の産声が響き渡る。
「サクラ、よく頑張ってくれた…!本当にお疲れ様だったな…!」
そうスイセンが妻のサクラに労いの言葉をかける。
「ありがとう…。ところでお名前は何にするか考えてたりするの?」
「そうだなぁ…。トンヌラなんかどうだ?」
「え?ドラ〇エ5みたいなこと言わないでよww」
「すまんすまんwwサクラが考えた名前にしよう。きっといい名前を既に考えているんだろう?」
「ええ、キキョウなんて名前はどうかしら。花言葉は永遠の愛なのよ。きっと一途で正義感の強い…子に…」
サクラは言い切る前に意識を失ってしまった。
…
しばらくするとスイセンの元に医者がやってきた。
「出血により意識を失ってしまったみたいですね…。命にかかわるほどの出血量ではありませんのでご安心ください!」
「そうでしたか…!本当に何から何までありがとうございます…!」
医者の言葉を聞いたスイセンはほっと胸をなでおろした。
夜が明けてスイセンがサクラの元を訪れると、医者と看護師何人かがサクラを囲っていた。彼らは気まずそうな顔をスイセンに向けてこう言った。
「申し訳ございません…。原因はわかりませんが、サクラさんはお亡くなりになりました…。」
スイセンは自分の顔から血の気が引くのを感じた。そしてそのまま意識を失ってしまった。
後からスイセンは医者たちからサクラには外傷がないこと、何の疾患も患っていなかったことを知らされた。そしてサクラだけではなく他に入院していた患者さんたちまで同じように命を落としていることも知らされた。原因は一体何なのか…?いや、一体誰の仕業であるのか…?スイセンは考えを巡らせても答えに辿り着くことはなかった。
14年後…
「いってきます!」
スイセンの息子であるキキョウが元気よく家の扉を開ける。
「魔物には気を付けるんだぞ!」
スイセンはそう忠告する。この世界は2875年。人類とは敵対する魔物が蔓延っているのである。
「大丈夫だよ、見たことないしそんなの!」
キキョウは警戒心のかけらも見せずに忠告を軽く流す。ニュースではよく「魔物に襲われる事件が発生しました。」なんて報道がよく流されているが、キキョウは奇跡的であるのか、魔物を見たことがなかったのである。
ガチャッ
キキョウは学校へと向かっていった。
「アヤメ!まじでごめん!走らないと間に合いそうにないなこれ!」
キキョウは家が近いアヤメといつも登校しているが、大抵キキョウが家を出るのが遅いせいでアヤメも遅刻ギリギリの登校を強いられている。
「もっと早く支度できないの?!この生活に慣れてしまってる私が嫌なんだけど!」
とアヤメはまんざらでもない表情から不満をこぼす。
「キキョウがいつも遅いから私も起きる時間少し遅らせるようになったんだよ?!私に寝坊癖がついたら絶対キキョウのせいだからね!」
「悪いってwwそんな喋る余裕あるならペースあげようぜ!」
キキョウはアヤメの言葉なんか気にもせずに火に油を注ぐような返事をした。
「コイツ…。」
アヤメは苛立ちを見せつつもキキョウの後を追い学校へと向かった。