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ギスヴァジャ東西割拠〜北方の明暗

 471.5.19

 リジイン家の当主が老衰により亡くなり、嫡孫のラオス・ユタ・リジインが当主になる。

 叔母である王太后から宰相に就任する様に促されるが、ラオスは「実力、実績共に不足にて私では務まらない」と断った。

 王太后はラオスに「兄上は常日頃からそなたを秀才と自慢していました、我が一族は代々※六位より上の高官か大臣の位に就き、重責を担う立場であるにもかかわらず、大権と巨万の富に胡座を描き、贅沢ばかり追求して実務を顧みない者ばかり、将軍は凡愚にも務まりますが宰相は凡愚に務まりません。そなたが辞退すれば代わりに一族の凡愚を宰相に就任させるが、そうすれば国は忽ち傾き、我らは逆賊として滅ぶでしょう、そうなるのを知っていて…そなたは黙っていられるのですか?」とも「ですが、そなたは政戦両略に通じ内治外謀の才は傑出している。我が子トマシュの足りないところを全て補えるのはそなただけです、実力も実績も足りぬと考えているのならば証明してやりなさい、そなたならば見事に務められる事でしょう」と有無を言わせぬ迫力で言われ、ラオスは「国と一族の重大人事なので暫し考える時間をいただきます」と答えた。

 

 471.5.30〜12.6

 ラオスは出来る限りの熟慮の末に王太后に就任希望を伝えて正式に宰相に就任したが、弱冠二十一歳の若い宰相の登場に多くの者が反対した。

 高官達はラオスをお飾りの宰相殿と嘆息しつつ、リジイン家の権勢と王太后の強権を恐れた。

 一族の半数ほどは年配である事を理由に王太后に抗議しつつ「己が宰相になるべきではないか?」と強弁したが、その度に王太后に諭されて渋々ながらも引き下がった。

 ラオスはトマシュに謁見し、不遜な態度のトマシュを嗜めつつも今後の策を問い、トマシュはテヘズの駆逐とサウゼンスとデルトムの制圧と答えた。

 ラオスはその前に内部を固めるべしと言い、トマシュは敵も備えるであろうから早急に叩き潰すと答えたが、ラオスは敵に強固な地盤がある以上、こちらの地盤固めが終わらない内は何をやっても失敗すると諫言した。

 ラオスの諫言にトマシュは鼻で笑い、トマシュの態度にラオスは長時間の小言を聞かせ続け、トマシュを根負けさせた。

 トマシュはこれを地味に根に持ったのか、ラオスの子レガンが過失した際に手厳しく叱った。


 しかし、皆の懸念は杞憂に終わり、ラオスは宰相に就任するなり半年分の仕事を片付け、国庫精査を行って余剰金を国庫に納めた。

 強欲かつ浪費家な一族への対策として一族を有名無実の職につけて監視し、不正に手を加えて不正にならないように徹底した。

 信賞必罰を架空の利益と一定の成果をわかりやすく示すことで一族を満足させつつ、さりげなく仕事を与えてこき使う事で一族を統制し、いつのまにかラオスは一族を掌握していた。

 王太后はラオスの働きや一族郎党がラオスに一目置き、意識改革も進行しているのを感じて満足し、恩賞を与えたが、ラオスは俸給と恩賞を部下達に全て分け与えた。ラオスの妻子は上級貴族の出でありながらも節約生活を続けていたが、それでも生活が苦しかったという。

 ラオスの家庭が貧しいと伝え聞いた一族は、このままではラオスの妻子が飢え死にしてしまうと危惧し、王太后と相談した上で懐の銭を出し合ってラオスの家庭の生活を密かに援助した。

 同時にラオスの部下達もそれを伝え聞いてラオスの妻子の生活を影ながら助けた。

 ラオスの妻子は貧しくともそこそこ暮らしていける様になり、ラオスは一族と部下達に感謝した。

 ラオスの働きで無能ばかりと囁かれていた一族が意識改革によって次第に才を伸ばして頭角を表してくると、ラオスはトマシュと王太后に人材を推挙して適当な職を与え実績を積ませた。

 推挙された一族は改めてラオスに感謝し、王太后の眼力に畏敬の念を示した。

 ラオスは一族を様々に動かして下々の者や中堅層の者達とも積極的に交流しつつ、高官達とのパイプ役を進んで引き受けて内部結束や人材の強化にも取り組み、バラバラだったトマシュ陣営を手早くまとめ上げた。

 

 471.6.18〜472.3.8

 テヘズ陣営にてトマシュ陣営にラオスが参画し宰相に就任したと聞いて顔色を変えた人物がいた。

 ラオスとは知己の仲であるギロウと彼に目をつけていたテヘズである。

 ギロウはテヘズに「ラオス・ユタ・リジインがリジイン家の当主になり、トマシュ様に与したと」と報告し、テヘズは「彼程の賢人が異母兄に付くとは…」と憤怒の情を抑えながら言った。

 ギロウはテヘズにヤージカル帝王に謁見しフィルノスロー、サウゼンス、デルトムと同盟を更新し、カキャボ、バハカルン、ノスローとも協定を結んでドアンを圧迫する策を進言し、テヘズの許可を取って実行した。

 テヘズはトマシュ陣営が守りを固める前に国境周辺の守りを固めつつ、周辺敵対領主への工作を進めた。ジグラスとラルヘドは領民の様子を見つつ精兵を集い、力なき兵は退職金を支払い、適した仕事を斡旋して転職させた。


 471.11.19

 デルトム王国の王子であるリハインハルの使者がテヘズと会見し、ケヘテリ王ゼルギジェとトマシュが不穏な動きをしているので、トマシュの背後を突いてほしいと依頼してきた。

 ドミから似た報告を受けていたテヘズはギロウとソルマと相談した上で承諾した。


 471.12.4

 ラルヘドはダラルを連れて兵三千を率いてリフズラヤ郡を強襲したが、ラオスの詭計により失敗する。

 ドミはデルトム地方に攻め入ったトマシュ勢に虚報を流し後方に煙を立ち登らせて動揺させた。ラオスの教唆により動揺は最小限にとどめられていたが、デルトム王ヤトルの遊撃隊がトマシュ勢を撃退したので撤退せざるを得なくなった。


 471.12.6〜12.21

 トマシュはテヘズ勢を追撃するが、レーラムのゲリラ戦に阻まれて見失い、リフズラヤの堤の守りも固かったので撤退する。

 リジイン一族の者が兵器商人から購入した投石車を用いて堤の破壊を試みるが、テヘズ派の破壊工作により投石車が壊れてしまったという。

 リジイン王太后はレーラムに誘降工作を続けるが、レーラムは頑として話を聞かなかった。



 472.3.17〜3.20

 ルミエの手の者がドミに捕らえられ、ドミに拷問にかけられる。

ドミは死線沿いの拷問で情報を聞き出すのが困難と見るや、誘導尋問にて大凡のあたりをつけた。

 ルミエの手の者は利き手不随と半身火傷の重傷を負い、ドミはテヘズの戦略に影響が出ることを危ぶんでか、ルミエの手の者を手当てした上で襲いかからない様に四肢を封じ、視界を奪い、毒霧や毒針、吹き矢を吐かない様に沓を噛ませてからテヘズに面会させた。

 テヘズは「主に余計な真似はするなと伝えろ」と厳しい口調で言い、ルミエの手の者を解放する様に仕向け、ドミはルミエの手の者を気絶させてからサウゼンス南部の国境に置き去りにした。

 ドミは部下に指示を下し、ルミエの手の者はドミの手の者によりトドメを刺されて入念に消された。

 ルミエはこれをテヘズの警告と受け取り、ヤージカルの兄に注意を促すが、ドミ諜報機関によって情報は歪められ、ルミエの影は一人も残らず静かに葬り去られた。

 テヘズは表面上は友好的に接していたが、イルマンに世話になったからと何かと口出ししてくるノルテニアを「無策で介入する迷惑者」と疎ましく思い、影から侵食してくるルミエも「策士気取りのわがまま娘は信用に値しない」として嫌悪していたという。



 472.3.28〜4.12

 西カキャボのマチェット・シュゼーリンと東カキャボのバウロ・カリオスがセカ郡を巡って小競り合いを起こし、マチェットはテヘズと不戦協定を結んで後顧の憂いを断ち、バウロもテヘズと不戦協定を結んだので、両軍とも睨み合ったままで決着が付かなかった。

 テヘズはマチェットとバウロを仲介して講和を結ばせ、ラダミーアの介入を阻止した。

 カキャボ統一を志すバウロはテヘズに嵌められた事を悔やんだが、分国統一を志すマチェットはテヘズに感謝した。

 ラダミーア王レヴェンは兵三千でバハカルンとノスローを同時に攻めるが、レヴェンの叔父で実戦経験豊富なハギンは将軍として兵1000を率いるも「バハカルンの戦女神」の異名を持つカフデリンデ・スーノと「バハカルンの美魔女」の異名を持つビリンガム・スーノの姉妹が率いる600の兵に撃退され、レヴェンの従兄弟であるロロッジは兵300を率い、レヴェンは1200の兵を率いてノスローを攻めたが、ヌウロタ将軍ひきいる400の手勢に苦戦し、ラガナットが100の兵を率いて側面から強行突破を仕掛けてきた事で分断され、崩れて撃退された。

 バハカルンとノスローの手強さを痛感したレヴェンは東征作戦の練り直しを余儀なくされた。

 

 ラダミーアの侵攻を共同して撃退したのを機にノスローとバハカルンは婚姻同盟を結ぶ流れとなり、ヌウロタの息子・ラガナット・クシャゼリアとクロウダ・スーノの娘・アマリア・スーノが結婚した。

 軍神と戦女神…その血を受け継いだ第三子にして後に「ノスローの銀騎士」とよばれる事になるジンク・クシャゼリア、その子供にして後に「北方の聖君」と呼ばれる事になるカナフ・クシャゼリアが出現する事になる…。


 ラダミーアの要請を受けていたタスダンが総勢四千でノスローを支援するヴァネグリアを攻めるが、タスダンの総大将とベルサ達古兵達が口論となり、「無能な上に臆病者ときたか!ならば参戦せずに待っておれ!」とタスダンの総大将はベルサ達を脇に追いやり、攻撃するも焦熱将軍イレイズの火攻に敗れ、双方とも多大な被害が出た。


 タスダンの総大将は退却が遅れるという理由で脇の軍勢に何も知らせずに退却したが、味方の危機に無視できなくなった伝令達が脇に追いやられたベルサ隊にも駆けつけ、イレイズの火攻めに敗れた本隊が周囲の味方に何も知らせずに退却したという報を知らせるが、ベルサは却ってその場に留まった。

 ベルサは軍旗を力一杯地面に突き立て「我が隊は殿軍と相成った、この儂「無能のベルサ」は味方が退却し終えるまでこの旗の後ろに引かない覚悟だ、ヴァネグリア勢は勝ち戦に気を良くして追ってくるに相違ない、各々奮い立て!タダで勝たせるほどタスダンは甘くないとヴァネグリアに証明してやるがよい!」と味方を鼓舞し、ベルサ隊は完全に死兵と化した。


 「ははは!俺がヴァネグリアの猛将ノレガンダよ!タスダンの弱兵ども!俺の手柄となれい!」


 ベルサ隊が決死の鬨の声をあげた少し後にヴァネグリア勢の中でも情け容赦がないと恐れられる猛将ノレガンダが手柄を独占するべく手勢や護衛を置き去りにして突撃してきた。


「近くに丁度良い獲物がいるぞ!者どもかかれ!」


 ベルサ隊はヴァネグリアの追撃部隊を捉えるや槍を構えて猛然と襲い掛かり、手柄を独占しようと突出していたヴァネグリアの猛将ノレガンダの馬の脇腹に槍衾が突き刺さり、ノレガンダは落馬して瞬時の内に首を切り落とされた。

 「はっはっはっ!この無能のベルサに討たれるとはヴァネグリアの猛将も大したことはないな!各々奮闘せよ!ヴァネグリアにタスダンの恐ろしさを教えてやろうぞ!」


 ノレガンダの首級を晒し、ベルサは叱咤しながら奮戦する。

 

 ベルサ隊は不退転の覚悟のまま奮闘し、タスダン軍本隊が退却するまでヴァネグリア勢を食い止めたが、多勢に無勢。

 ベルサ隊は徐々に数を減らし、やがてベルサ自身も全身に矢を受け、部下や同僚達に肩を貸してもらいながら戦い、ヴァネグリア勢八十四名を道連れにした後に修羅の形相で果てた。

 全身に矢が刺さり、四方から受けた槍衾を握りしめながらの最期だった。享年42歳。

 ベルサが討ち取られると、ベルサの同僚や部下達も咆哮しながらヴァネグリア勢に捨て身の突撃を敢行し、それぞれ二、三人を道連れにして力尽きた。ベルサをはじめとする死兵達の奮闘により、ヴァネグリア勢は猛将ノレガンダを失い、多くの勇士達も道連れにされた。

 イレイズのタスダン必殺の計画は大幅に狂わされ、預かった兵の三割を失った上に本隊を無傷のまま取り逃がしてしまう失態を犯してしまったが、イレイズの懐中にはまだもう一つの下策が残っていた。


 ベルサの奮闘でタスダン軍本隊はほぼ無傷であったが、タスダンの総大将はベルサ達はやはり無能と嘲笑し、ヴァネグリア勢も無能の集まりと侮り、国境付近で野営地を設けて後続部隊を待った。


 物見からの報告を受けたイレイズは更に念を押した噂を流してタスダン軍を油断させ、再戦するように仕向けた。ヴァネグリア勢は思ったより弱く、劣勢のタスダン兵相手に圧倒されたとの噂を間に受けたタスダンの総大将は逆転の機を見出し、再戦する意向を示した。


 タスダン軍は後詰と合流した後にイレイズ率いるヴァネグリア勢と戦うも、狭い山道に誘い込まれて伏兵に叩かれ、落石罠にて軍勢を寸断され、各個撃破されて這々の体で退却するハメになった。タスダンの総大将は潰走する途中で何度も伏兵に襲われ、その度に部下を失い、負傷し、恐怖しながら逃走した。

 あまりの恐怖にタスダンの総大将は馬上で失禁してしまったという。

 この戦いでタスダン軍は負傷者二千四百人、ベルサを含む戦死者五百人を記録する惨敗を喫した。

 この戦いを指揮していた総大将は失態と失禁を恥じ、タスダンの王の怒りを恐れて北方辺境に逃亡し、取り巻き達と兵士達もそれぞれの地方に夜逃げした。

 戦いはヴァネグリアの勝利に終わったが、犠牲の多さからイレイズは国王から怠慢か謀叛かと疑われ、貴族達はイレイズに釈明をするように要求し、イレイズはベルサの経歴と最期が自らの末路に重なる感じがし、ヴァネグリアでの地位を捨ててヴェルノに居る知己のコールスを頼って出奔した。コールスはヴェルノの大統領にイレイズを推挙すると、イレイズはすぐに将軍の一人として起用されたという。

 イレイズの抜けたヴァネグリアは猜疑心の塊である国王の恐怖政治の下、旧態依然の体制に戻り、これ以上の発展はしなかったという。


 敗報を聞いたタスダンの王は激怒したが、ベルサの奮闘と壮絶な死に様を伝え聞いて後悔し、恩赦を出してベルサ達の罪を赦した。

 以後、タスダンの王はベルサの子や戦死した同僚達の家族の面倒を見てやり、反対に逃亡した総大将とその取り巻き達の罪状を書き連ねて逮捕状を出し、各地に追っ手を差し向けている。


 472.3.29〜4.10

トマシュの腹心であるメテルスがドアンに食料を与えて襲撃を依頼し、ドアンが兵二千を率いてテヘズ派の領主を攻撃したが、領主は堅守して耐え抜く。ドミの間者が流した情報撹乱でドアン勢が混乱した所を援軍に駆けつけたラルヘドとジグラスがドアン勢を撃破し、勇将バンヨンはラルヘドとの一騎打ちに敗れて捕縛された為、残りの八百名近くの者達は投降した。

 バンヨンはその武勇でバウベズ王家の者を討ち取り、コレフに手傷を負わせ、イルマンを苦しめたバウベズ王家にとって仇敵の一人であり、ラルヘドとジグラスはテヘズに処遇を委ね、テヘズはバンヨンを処刑した。

 バンヨンは死に間際に「仕える主を間違えたのが悔いよな」と言い、残念がっていた。

 テヘズは「勇士よ、最期の望みはあるか?」と言い、バンヨンは「投降した我が戦奴隷と生まれてくる我が子達を養ってくれれば良い」と言い、テヘズは「良いだろう」と言うと、直後にバンヨンの頭は断たれた。

 バンヨンの遺体は彼の故郷であるカルファ郡に丁重に葬られ、墓に勇士バンヨンの墓と刻まれた。

 ドアン勢五百人の捕虜は全員が「飯の面倒さえ見てくれるなら王様の為に働きたい」と言ったので、適性を見て兵か領民かを選別した。バンヨンの連れていた300人の戦奴隷達は全て奴隷紋を消去した上で保護し、内11人の女はバンヨンの子を宿していたが、特に害される事なく手厚く保護された。後に屈強な者達を兵とし、力の劣る者達は住居と職を与えて領民とした。

 バンヨンの子達は父親の武勇と勇壮を伝え聞いて武官に登り、その子達はテヘズの子・ラヴォジ直属の親衛隊ラシリアルの一員となり、バンヨンの曾孫のラトエンは黒き精鋭「狂猛の黒騎士(バルナ・ナイト)」と共に北蛮、遥西、中央、南夷大陸、北方辺境に勇名を馳せる事になる…。


 ドアンの敗退の報を聞いたメテルスは忍ばせていた間者に指示を出して次の策の仕込みに移ったが、ドミ諜報機関によって間者は買収済みであり、これらの策動もメテルスの腹の中を知るテヘズの掌の上にあった。

 ラオスはメテルスの失敗を想定して手を打っていたので、テヘズの企みはほぼ失敗したものの、労力と兵力の確保を果たしたテヘズにとっては上々の成果だったという。

 メテルスはテヘズに歯軋りし、ラオスには嫉妬した。


 472.6.3〜6.8

 サウゼンスの南部領主がギスヴァジャに略奪を仕掛け、トマシュに蹴散らされる。

 トマシュは「敵の計略ですから出てはならない」というラオスの忠告を無視して返す刀でサウゼンス南部切り取りを行うが、サウゼンス国境付近にて長城が築かれていたのを見て歯軋りし、後方に南部領主達の本隊があり、輜重隊が壊滅した報告を受けたトマシュは攻城を断念したが、南部領主の本隊に密偵を放ってカラクリを調べた。

 ラオスの手の者から報告があり、長城はユアンの偽城計であり、南部領主の略奪部隊が本隊であり、本隊と呼ばれていた部隊は松明と人形で偽装された部隊でラオスの手の者が撃退した後に物資の半分を奪還したという。

 トマシュは激昂を抑えて冷静になり、部隊をまとめてからサズキャボに帰還した。トマシュはラオスの言った通りだったことから、僅かにだが周囲の言に耳を傾ける努力をするようにはなったという。


 

 473.9.6〜9.13

 フィルノスロー王が60歳を超えて限界を悟り、引退して王太子のヤテリが31歳で第十四代目フィルノスロー王になる。在位39年の治世だった。

 首都圏内の長官を務めて治績を残したオードムが宰相に任命される。ヤテリの側近達も功績があった者はそれぞれが昇進した。

 ヤテリの母であるデルトーア妃の護衛を務め、婚姻が決まってデルトムからフィルノスローに移住し、ヤテリが生まれてからずっと傅役を務めてきたワックは隠居を願い出て許可され、故郷のデルトムに戻った。ワックはこの時68歳であり、フィルノスローは若い世代が中心になって回っているのを見て去らねばならないと感じたという。


 リジイン王太后がフィルノスロー王・ヤテリとの同盟を成立させ、ソムトリケ王家との通商条約の締結も取り付ける。

ヤテリの宰相になったオードムはリジイン家とも繋がりがあった為、同盟交渉はすんなりと進んだ。

 ヤテリにリジイン家の娘を嫁がせる話とトマシュにヤテリの妹を嫁がせる話が出たが、どちらもヤテリが反対して実現しなかった。

 ヤテリはリジイン家とは距離をとって置きたかったとも、ノルテニアと戦ったトマシュのやりように疑念を抱いており、安心できなかったともされる。


 473.9.16〜10.3

 前回の敗戦の傷が癒えつつある頃、レヴェンはじっくりと東征作戦を練り込む事にし、評定を開いて意見を募ったが、軍費負担が過剰、練兵不足と兵糧欠乏が理由でほとんどの臣下が東征作戦に反対した為、実現しなかった。

 ハギンはラダミーアの武威を再認識させる意味での東征作戦には賛成の意を示したが、初陣と負け戦で何度も死にかけたロロッジは逸り気を起こしたレヴェンが討ち取られる事を危惧して反対した。

 

 西ギスヴァジャ王の腹心メテルスから手紙が届き、「ハギンとロロッジに謀反の気あり」との文章を見たレヴェンは二人を疑い、これ以降、レヴェンは二人をことあるごとに疑い、謀反の企みの証拠がある事を仄めかすようになった。

 

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