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ANZA-アンザ- 次元放浪者  作者: 有裏 杉
< 第一章 超大陸グラード編 > 
7/20

遅刻から深刻  

繫華街でナイフを貰ってから、4日が経った。

アリアに修行をつけてもらっているルパートだが、魔力は全く発揮できないでいた。

繫華街で短剣を貰ってから、4日が経った。

協会の訓練所で、修行は開始したものの、未だに自分の魔力を引き出せてない状態であった。


「疲れたーーーーー!」


地面に、べたーんと横たわる。

体は汗だくで、筋肉が悲鳴をあげている。


「お疲れ様です。今日も、魔力発揮ならずですね。」

「嫌なこと言わないでくださーい。」


魔力発揮のトレーニングを、アリアさんの指導でしているが、予想以上にハードであった。

これでも、格闘術は学んでいたが、歯が立たない。


「そもそも、魔力発揮に全身運動のトレーニングとか本当にいるんですか?」

「もちろん!グレン会長は、魔力発揮に必要な事は、1年分の運動量があって出る!!・・・‟かもしれない”です。」

「今、小声で‟かもしれない”って言ったね。」

「とにかく、その位しないと出ないという事です。」


まぁ、それはそうか。

本来なら魔力発揮が1年なのだから。

出ないで当然のことだ。


「今日の修行は、ここまでですか?」


日が暮れてきている。


「そうですね。今日はここまでにしましょう。」


4日目の修行が終わった。

今日も魔力発揮ならず。

鍛える事が出来たのは、この肉体のみ。


「宿に戻りましょう。しっかりと休憩をとるのも修行と魔力発揮の為に重要です。」

「そうしますか、いてて・・・」


下半身がプルプル震える。


「大丈夫ですか?」

「こんぐらい、なんともないですよ。なにせ、俺、世界中を回って探検してきた人間なんで。」

「ルパートさん、自分の世界で旅をしてたんですか?」


アリアさんが興味深そうに聞いてくる。


「そうですよ。これでも、考古学者なんで。遺跡探しや冒険をこの歳までに何回も経験しているんですから。」

「ほー。」

「何ですか?その疑いのある目つきは。」

「いえ、別に。さぁ、戻りましょう。日が暮れてしまう。」


少し急いで宿に戻る。

夜食が出来上がっているかもしれないから。


・・・数時間後、俺は、アリアさんと夕食を食べていた。


「ルパートさん。」

「はい?」

「明日は、ナイフを持ってきてください。」

「え?でも、あれは魔力がないと意味ないんじゃ・・・。」

「少しでもあのナイフに慣れた方がいいです。あれは普通のナイフとは全く別物ですし。」

「なるほど。」


修行でナイフを使うのは、初めてだ。

まぁ、ナイフ自体は、俺の得意分野であるし、少し楽しみもある。


「それに、」

「え、それに?」


アリアさんが俺をじっと見て言う。


「ルパートさんのナイフ術も見てみたいですしね。」


少し、緊張してしまった。

ナイフ術を見せるのもそうだが、こう思ってしまったのだ。


(今、可愛かった)


・・・夜になった。


王国の住民は、みんな寝静まっている。

俺も、自分の部屋のベットでゆっくり寝ていた。

明日の集合は朝9時。

まぁ、早いね。

疲れもあったので早く寝てしまった。

真っ暗な部屋で一人。


「・・・お前も、この世界に来たか。」


誰かが言った。


「・・・もう引き返せないぞ。」


誰だ?


「運命の時は動き始めている。お前の‟覚醒”もそう遠くはないだろう・・・。」


覚醒?


「闇は、刻一刻と迫っている。・・・目覚めよ、‟()()()()()()”。」


待ってくれ、あんたは誰だ?


「私は、・・・」


・・・・・・光?・・・・・・・・・眩しい。


「う・・・。うん?」


目が覚める。

窓から日光が入り込んでいる。

とてもいい天気なんだろう。


「今のは、夢・・・?」


誰かに話しかけられていた。

でも、誰か分からなかった。

顔も分からない。

声も分からない。

でも、言葉は覚えてる。


「よく分からない夢・・・だったな。」


何か忘れているような気がするのは、気のせいだろうか?

何か大事な・・・


「・・・あれ?今、何時だ?」


時計を見る。

短い針が11にきてて、長い針は6の所。

なるほど。

これは、


「やべーーーーー!!!遅刻だ!!!!!」


大慌てで着替えて宿を出る。


「やべーよ。遅刻じゃん!!これはスパルタ修行間違いない!!やっちまったーーーーー!」


ブツブツ独り言を言いながら走って修行場所へ向かう。


「着いたーーーーー!」


入口の前に着いた。

もう汗だくだ。

会ったら、多分、満面の笑みでヤられる。

天然のくせに、修行の時は超スパルタ。


(怖ええええ。)


と思いながら、彼女がイラついて待っているだろう木の下に向かう。

木の下に誰かがいる。

間違いない。

アリアさんだ。

俺はジャンプして、地面に鮮やかに膝をつけ、そして叫ぶ。


「この度は!寝坊して申し訳!!ありませんでした!!!」


これでは許されないだろう。

だが、日本(Japan)の誠心誠意のジャンプ土下座で少しは謝罪を理解してくれる・・・であろう。

というか、願いたい!!


30秒位、土下座状態でいる。

無言、やはりダメか。

顔を上げて、そして言う。


「煮るなり焼くなり、好きにしても構いませんので勘弁して下さい!」


「ほえ?」


そこには老人がいらっしゃった。

よぼよぼーとしている。

日光浴の最中に、休んでいたのであろう。

この木の下で。


「人違いでした。すみません。」


‟ささー”と移動する。

俺は見ず知らずのご老人に謝罪をしていたのか。

・・・この記憶消したい。


「なぜ、アリアさんいないんだ?ああ、そうか。帰ったんだ。俺が来ないから諦めて帰ったんだ。そりゃあそうだ。だって、約束から2時間だもんな・・・。」


早口で、自分に言い聞かせる。


(うん?でもそうだとしたら、何で俺を呼びに起こさなかったんだ?ていうか、俺の宿は協会の宿だからアリアさんも近いはずなのに・・・。)


何かが、引っかかる。

そうだ。あのお爺さんなら知ってるかもしれない。


「お爺さん。少しいいですか?」

「おー、あー、さっきの、必死に謝ってきた若い方じゃないか。」


(あー、覚えられちゃったよ。)


「ここの木の下に来る前に、女の人がいなかった?赤髮の。」

「赤髪?おー、おった、おった。」

「やっぱり!どこに行ったか、知っている?」

「どこにって言うと、あんたが来て一緒にどこかへ行ってしまったじゃないかえ?」


「は?」


「あんたが探しているアリアだろう?手をつないで西口から出てしまったじゃないか。」


「は?は?」


どういう事?俺がアリアさんと手をつないでどこか行った?

は?

俺は寝てたぞ、絶対に。


「あれ?でもお前さん、さっきは短刀つけてなかったのー。どうしたんじゃ?」


まずい、これは()()だ。

絶対に誘拐(あれ)だ。


「お爺さん!それいつ??」

「えっとー、30分前ぐらいの様な・・・。」

「ついさっきじゃん!!ありがとう!!」

「お・・・おう。」


ダッシュで追いかける。

確か、西口って言ってたよな。

まさか、こんな事が起きるなんて。

流石に信じられないけど、これが本当なら予想以上に深刻だ!


「 俺の、()()がいやがる!! 」

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