フレア協会
「なぜだ?どうやって?マジで?・・・あーーー、考えが追いつかない。異世界とか日本の漫画やアニメで、あるあるじゃねーか。俺、どうすればいいんだ?」
「ジャパン?漫画?アニメ?ルパートさんの世界の事ですか?」
「あー、そうです。まぁ、何言っているか分かりませんよね。」
「いえ、時穴を通ってくる方はいます。ただ、その人が話していた世界とは違いそうですが。」
「え!?いるの!?俺の他に??」
「はい、いますよ。多分、その人は、今向かっているフレア協会にいます。」
「なんだよ、良かったー。俺だけしか、異世界にいないっていう感じありありだからな。」
こんな話をしながらも、内面は焦っていた。
どうして、この世界にきてしまったのか。
帰れる方法があるのか。
この世界の動物、食事、文化は、どうなっているだろうか?
”超大陸”って何だろう?
・・・ふむ、実に面白い。
不安7割、好奇心3割、といったところだ。
「アリアさん。」
「はい?」
「この世界、超大陸グラードって言うんですよね?なんで、超大陸なんですか?」
「それは、この大陸グラードが、どこまでも果てしなく続いているからですよ。」
「果てしなく、か・・・。」
どのぐらいの規模か想像のつかない大陸、とにかく広大という事か。
「調査とかは、あったんですか?」
「大昔から、今も続いていますよ。ざっと、千年くらいは。」
「千年!?その位、続いているのか・・・。」
圧倒的なスケールを感じる。
「ルパートさんは、知りたがり屋さんなんですね。」
「あ、すみません。学者だった者で。ハハハ。」
「学者さんだったんですね!納得しました。お聞きしたい事があれば、お答えしますよ。」
「ありがたいです。・・そういえば、さっき言ってた時穴って何ですか?」
「・・・。」
「アリアさん?」
「その事は、協会に着いてから話します。あまり、外で話す事は良くないので。」
(なんだろう?良くないって?)
「見えてきましたよ!」
目の前に、大きな城が見えてきた。
周りには、城下町だろうか?
民家など、西洋風の家が立ち並んでいる。
しかも、とんでもない敷地の広さだ。
「でかい王国だなぁ。流石、異世界。興味的な建造物がいっぱいある。」
「この超大陸を統括する王国ですから。ここは一部分に過ぎませんよ。」
「はー。凄いな。」
「いったん、ドラゴンから降りますよ。急降下するのでしっかり掴んでいてください。」
「え?うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
一気にドラゴンが地面に降りる。
その速さはヤバいですまない位に。
‟グワーッ!!!”
着陸成功!!!って言っているのであろう。
俺は、もう吐きそうだ。
このドラゴンめ。
「お疲れ様でした。あれ?ルパートさん大丈夫ですか?顔色が悪いですよ。」
「すぐに急降下して耐えられないですよ。おェ・・。」
「あ!そうでした!慣れてませんよね!ごめんなさい。」
丁寧に謝ってきたが、俺は思った。
(アリアさん、天然入っているな・・・。)
天然という性格ほど、恐ろしいものはない。
・・・数分後・・・
「落ち着いてきた・・・。」
「本当にごめんなさい。」
「いや、もう大丈夫ですよ。次から、ドラゴンに乗る時に注意してくれれば。」
「分かりました、覚えておきます。・・・では、そろそろ行きましょう、協会へ。」
アリアさんの案内で、協会へ案内された。
道中で、お店や人々を横目に見ながら目的地に向かっていた。
現実世界にない食べ物が売られていたり、剣や盾を販売している武器屋などいろいろ。
更に驚いたのは、人間だけではない生物がいる事。
獣人だ。
犬、猫、像、馬・・・。
人間と同じ様に、二本足で歩いて生活している。
言葉も通じているようだ。
すごい興味深い。
「着きました。ここがフレア協会本部です。」
気づけば目の前には、三階建ての大きな屋敷があった。
「ここが、フレア協会・・・。凄いな。」
「中へどうぞ。」
アリアさんが迎え入れてくれる。
中には、たくさんの人達がいた。
鎧を着けた青年、ムキムキの大男。
杖を持ったいかにも魔女のような女性、そして、獣人。
「まさに異世界・・・。」
呆然と言葉が出てしまった。
現実世界ではありえない光景ばかりで。
「アリア、その人は?」
若い女の人が来た。
見た感じ、受付嬢ってところかな?
「ソフィアさん。夜覚の森で会った方なのですが、どうやらこの人は異世界から来た方のようです。会長に伝えてくれませんか?」
「まぁ、次元放浪者さんなのね。分かった。すぐに連絡するわ。」
(次元放浪者?俺のことか?)
周りがざわめきだした。
「異世界の人間か。」
「どうりで見たことない服装だわ。しかも、アリアと一緒よ。」
「所詮、魔力を持っていないんだろうよ。」
などなど。
この世界において俺は、よそ者扱いらしいな。
そんな事もあるかもしれないと予想はしていたが。
「おい!異世界人!!」
いきなり怒鳴られた。
めんどくさい事になりそうだ。
後ろを振り向く。
大男が立っていた。
「ここは異世界人がくる所じゃねえ。さっさと出てけ!」
出たよ。
このパターン。
ちょっかいを掛けてくるキャラクター。
「いや、いや、出てけと言われても。行くところないですし・・・。」
「そこら辺の道にでも、くるまっとけばいいんだよ!!お前みたいな異世界人は!!!」
なんか、妙に異世界人に厳しくねえか?
どういう事?
「俺から見たら、あんたも異世界人だけどな。」
「なんだと、てめえ!!」
言い返しの連続だ。
「やめなさい!」
アリアさんが駆け寄ってきた。
「次元放浪者を差別する事は禁じられているはずです!これは、法違反ですよ!!」
「確かに差別化は禁じられている。だが、ここは、神聖な王国直属のフレア協会だ!異世界人が、ここに入ることは許されない!!出てけ!!」
どうやら、異世界人という言葉は、この世界で差別に値する言葉らしい。
そうなると、次元放浪者は何だろうか?
そのままの意味?
「何を無茶苦茶な!今の言葉は、法違反とみなします!ジョーさん!あなたを捕縛します!」
「やれるもんなら、してみろ!!」
二人が剣と弓矢を取り出し間合いを取る。
(これ、やばくないか!?止めないと!!)
「アリアさん!いいって!そいつの言った事、気にしなくても!」
だが、声は聞こえていないらしい。
かなり集中している。
周りも大慌てだ。
・・・よりによって、協会五強が対立するなんて。・・・
・・・どうすればいい???他の三人はいないのか!?・・・
どうやら周りが止められない事態に、発展しているらしい。
(どうすれば・・・。)
その時だった。
「魔力解除。」
低い声が響いた。
間合いを取ってた二人が足を崩す。
まるで、力を失った様に。
「協会で物事を起こすとは、何をしているのだ。」
声の方向に向きを変える。
階段の上に眼鏡を着けた男性がいた。
「会長だ。」
「ここに来るのは珍しいだろ。」
周りが再びざわめく。
「客人の前で愚かな事をするでない。特にジョー。お前だ。」
「会長、申し訳ございません。しかし、ここは神聖な協会であります。どうして異世界人を・・・」
「黙れ。」
「・・・!」
ジョーという大男は、口を閉ざす。
あの会長という人物、怖い。
「アリア、君もだ。協会で争いはご法度だ。」
「申し訳ございません。」
「さて・・・。ご客人すみません。二人の無礼を許してください。」
階段を降りた会長とやらは、俺に謝る。
「いや、気にしてないです。それで、あなたは、・・・」
「申し遅れました。私は、このフレア協会を統括する責任者。名を‟グレン”と申します。以後、お見知りおきを。」