仲間に入れてくれ!
「えっと、、失礼だけど名前は何て言うの・・かな?」
どこからどう見たって子供みたいに見える少年。
急に現れては仲間になりたいという言葉をかけられ少々困惑している。
「お前、僕の事を子供として見ているだろう。」
「い、いえ。・・見えなくないとは思います。」
「思っているじゃないか!・・まあ、よく言われるから気にはしない。」
「でしょうね。」
「何ぃぅを!」
めちゃくちゃ気にしているじゃないか。
なんだか少し反応が面白いお子様だ。
「あ、あの、それでお名前は・・。」
状況を見かねてアリアが口を開く。
「よくぞ聞いてくれた!」
「俺がさっき聞いたんですけど。」
喋り始めて早々にウザイキャラだというのは分かった。
「僕の名前は、ティーム!よろしく!麗しきお姉さん!」
アリアの両手を握りしめてブンブンと降る。
「え、ええ。ティーム君ですね、私はアリアです。よろしくお願いします。」
「俺の名前は、ルパートだ。」
「お前の名前は、聞いてないよ。」
「なんだとお・・!好きに言わせておけば!!」
しっしっ、と手で振り払われるルパート。
「ルパートさん、落ち着いて。彼は、まだ、こど・・じゃなかったですね。」
「いえいえ!アリア姉さんから子供として見られても全く問題ないですよ!」
「ね、姉さん・・!?わ、私が??」
「俺とアリアさんに対する態度全く違うじゃねえか!何だ、こいつ!」
アリアに変に懐く生意気な子供に腹を立てるルパート。
まるで飼い主に甘えまくる犬か猫みたいな感じである。
「・・ティームくん、あなたは前日の入会試験で協会に入会したばかりですか?」
「その通りだよ!アリア姉さん、僕の事を覚えている?」
「え、試験の時にいたのか!?」
「そうだよ、僕はアリア姉さんと話しているから割り込んでこないで。」
「こ、こいつ・・!」
どうしよう、この生意気な子供に腹がたってきた。
「え、ええと・・私もルパートさんと同じでティーム君が参加していたのは覚えていないのだけど・・。」
「ああ、違う名前を使っていたからね。分からないのもしょうがないよ。」
「そういう事なのね。何て名前で参加していたの?」
アリアが尋ねた瞬間であった。
「さっきから随分と賑やかだね、ルパート君。」
「あ、ミズキ。」
ルパートの肩をポンと叩いて様子を見にミズキが来た。
「・・!」
「え?どうしたの、ティーム君。」
ミズキを見たティームが警戒している。
その様子にミズキも気がつく。
「あれ?子供?」
「ああ見えて大人らしいよ。」
「へえ、何てお名前なんだい?」
「ティームって言うんだ。ただ、入会試験に参加していたみたいで。」
「入会試験に?そんな名前の参加者いたっけ?」
「それを聞こうとしたところで、お前が登場したんだよ。」
「それは失礼したね。」
片手でゴメンと謝罪するミズキ。
相変わらずラフで爽やかだ。
「じゃあ、改めて何て名前で参加していたんだい?」
「・・俺はお前に負けたんだ。」
「え。」
ミズキと対戦していた事に一同驚く。
「も、申し訳ない。君と対戦した記憶がないんだが・・。」
「初戦だよ。僕は何も出来ずに決着がついてしまった・・ブラックだ。」
「あ!」
ルパートは、真っ黒な衣装を着た参加者を思い出す。
ミズキの魔法を初めて見た試合。
「た、確かミズキの水魔法で手も足も出なかった・・あのブラックか!」
「うるさい!あんなに悔しさを覚えたのは初めてだった!!」
「あの時は対戦だったし、しょうがないだろう。」
興奮状態のティームを諭すルパート。
一方のミズキは少々気まずそうにしている、そりゃそうだ。
「だから!僕はミズキとミズキと仲良くするお前とは仲良くしないと決めたのだ!!」
「俺、何もしてないだろ!?」
ルパートは、勝手に巻き添えをくらい面食らう。
「逆ギレにも程があるだろう・・。」
「でも、協会に入会出来たという事は実力がある証拠ではあるね。」
ミズキが口を開く。
「た、確かに・・実力を示せなかったのに受かっているのか。」
「そうなると、おそらく会長が優遇したのかと。」
「そういう事か。何かズルいな。」
グレンのいる方向を見る。
忙しそうに会員の質問攻めに対応している。
普段と真面目な時のギャップがありすぎて、グレンの事がよく分からなくなる。
「グレン会長が見込んでいるなら仲間に入れるのが良いよ、ルパート君。」
「断るつもりは・・まあ少しあったけど、強い仲間がいるなら安心は出来るか。」
「お前の意見を聞かずとも勝手に入るつもりだった。」
「俺とは仲良くしないのにか?」
「アリア姉さんがいるからさ!」
「わ、私が理由ですか!?」
(そんな事だろうとは・・分かってた。)
改めて、アリアに付きまとう子供に呆れるルパート。
「おい、ミズキ!今度、僕の力を見せつけてやるからな!」
「じゃあ、ルパート君。僕は一旦ここで。」
「き、聞け!」
ギャーギャー騒ぐティームを無視するミズキ。
面倒くさくなってきたのだろう。
「ミズキ、パーティー作ったのか?」
「うん、あそこにいるのが僕のパーティーメンバーだよ。」
くいくい、と親指で示す。
ミズキの指さす方向には、三人組が固まっていた。
ルパートは、その中の一人に目が留まる。
「え・・タロス!」
そこには、試験で声をかけてきたタロスがいた。
得体の知れない男がいる事に驚きを見せるルパート。
「ミズキ、あんなに警戒していたのにタロスとパーティー組むのか・・?」
「そうだよ、じゃあこれで。」
「お、おう。」
あっさりと会話が途切れさせられた。
(あれ?ミズキ、あんな喋り方してたか?)
何か違和感を感じたルパートであったが、特に何も口に出さずミズキを見送る。
近い様で離れ始めている様な、そんな感覚に駆られた。




