魔竜vs協会五強
「ガアアア!!」
魔竜は、標的を逃さんと言わんばかりに唸り声をあげながら急降下してくる。
「つ、突っ込んでくる・・!」
ルパートは周りを見渡す。
入会試験に合格した者、不合格した者。
関係問わず、突然の状況に混乱する者ばかりであった。
「く、くらえ!」
誰かが魔法で攻撃した。
「お、俺も!」
「くるなあ!」
それに続く様に、周りの人間が魔法で魔竜を攻撃し始める。
数の暴力で対抗する。
繰り出される魔法は次々と魔竜に直撃する。
しかし、虚しい事か。
諸に攻撃を受けても魔竜はひるまなかった。
「まずい!!」
「くっ!!」
ルパートとミズキは防御魔法を使う。
飛来した巨体は、コロシアムに粉塵を巻き起こす。
「ぐわあああ!」
防御したにも関わらず、凄まじい衝撃にルパートの身体が吹き飛ばされる。
周りの人間も同様だ。
努力虚しく大きなダメージを受けてしまった。
「グググ・・!」
むくり、と巨体が起き上がる。
普通ならば身体に傷がつくはずだが、魔竜は無傷であった。
「な、なんてやつだ・・。」
無数にひび割れるコロシアム。
圧倒的な暴力に打ちひしがれる。
「ルパートさん!」
アリアがルパートに駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか!ああ、酷い傷・・!周りの方も・・!今、治癒魔法をかけます!」
「助かります・・。」
「癒しの炎」
俺も含めた、傷ついた人間を炎が包み込んでいく。
痛みが和らいでいく。
治癒魔法は使えないため非常に助かる。
「ここは危険です、離れないと・・。」
「大丈夫です。だって、今ここには協会五強が揃っているんですよ。」
アリアは自信に満ちた声でルパートに伝える。
それもそのはずだった。
先程まで、フレア協会入会試験が行われていたのだ。
彼らが黙っている訳がない。
「教団の頭目は、グレンに任せたが魔竜とは想定外じゃったのう。いや、そもそも予想外ばかりか。」
「あんなに暴れちゃって、なんてバイオレンスなのかしら。ゾクゾクするわ。」
「おうおう!確かに興奮してくるな!血が沸き立つ、筋肉が震えだす!」
3人組が上座から降りてきた。
「グッ・・!」
ただならぬ気配を感じたのか、魔竜は直ぐに警戒する態勢を見せる。
「あの魔竜にやられるとは、まだまだ儂の方が上じゃな。のう?ルパートや。」
「師匠・・、経験は語ると言うやつですね、いたた。」
「ルパートさん、まだ動かないで。」
思っていたより重傷をうけていたみたいだ。
「どいてろ、次元放浪者。」
「あ、あんたは、協会に初めて来た時にいた・・。」
「ジョーさんです、彼も私と同じ五強メンバーです。」
以前の事で、マイナスのイメージがあるから、ものすごく気まずい。
でも、今なら分かる。
この人も魔力が凄まじい。
「ふーん。」
「うわっ!な、いてて・・。」
「ヴァ、ヴァルナさん!怪我人に近づかないでください!」
いきなり、顔を近づけてきて後ずさんでしまった。
西洋風の甲冑を頭に着けた女性。
「あなたが、アリアが夢中になっているルパートさんね。」
「夢中?」
「な、な、な!」
フフフ、と微笑むヴァルナ。
なぜか隣のアリアさんは顔を赤らめている。
「なかなか良い男そうね。私は、ヴァルナよ。よろしくね。」
「ど、どうも。」
何と言えばいいのか、妖艶とはこの人の事を言うのだろうか。
「話はそこまでじゃ、来るぞい。」
ビトが声掛けをする。
魔竜が口を開けて魔力を溜め込み始めている。
「そこで見ておれ。儂らが強さというものを見せてやる。」
ビトは、ちらりとミズキがいる方を向く。
ミズキは、ビトを真剣な眼差しで見つめている。
「グオオオ!!」
魔竜から大量の火炎の球が吐き出される。
「土人形!」
「うおっしゃあ!!反撃の拳!!」
「永続する湾曲株」
ビトは、巨大なゴーレムを召喚し火炎球を弾き飛ばす。
ジョーは、拳に武装した魔道具に魔力を流し込み火炎球を魔竜に打ち返しまくる。
ヴァルナは、生えては伸び続ける湾曲した株で火炎球を防いでいる。
それぞれの個性が出ているとは言え、魔法の質が桁違いに違っている。
「オオオ・・!!」
ジョーに打ち返された火炎球を諸に受けて魔竜がひるんでいる。
「す、すごい・・。」
魔法が違えど、それぞれの戦い方が確立されている。
「土人形!追撃するのじゃ!」
ひるむ魔竜を逃がすまいと土人形が攻撃し始める。
殴る、蹴る、その連続ラッシュ。
魔竜が必死に抵抗するも力負けをしている。
このままでは不味いと思ったのであろう。
一時退避のために、魔竜は翼を大きく広げて空を飛ぶ。
「あら、悪い子は逃がさないわよ!」
ヴァルナが繰り出した株が空中の魔竜を捕まえる。
翼、胴体をガッシリと掴み空中から地面に叩き落とした。
「オオオ・・!!」
唸り声をあげる魔竜。
魔竜が落ちた近くには、ジョーが身構えていた。
「くらえや!増力拳!!」
黒い身体にズドン!と重い一撃が響き渡る。
それが致命傷となったのであろう、魔竜は血を吐き出し倒れる。
「これが、協会五強の強さ・・。」
協会トップ3人により魔竜プテラノドンは討伐された。
ルパートは、ただ、ただ、実力の差に圧倒されたのであった。
ビトは、土魔法などの使い手。
ジョーは、火魔法が使える普通魔法の使い手。
ヴァルナは、木魔法の使い手。
アリアは、火魔法の使い手。
協会五強は、土・火・木・水・普通魔法を極めた者と実績などを評価した会員が選ばれます。




