頂点(トップ)同士の対面
自らをラファーと名乗った人間に、コロシアム中にいる全員の目が釘付けになっている。
「死神の団長だと・・!暗殺教団のトップ・・!?」
ルパートが警戒する。
つい前日、奴らに襲われた事が原因なのか緊張が走る。
「そう!その通り!私こそが!暗殺教団の頂点にいる者!!次元放浪者であるルパートさんに認知頂いて嬉しく存じますう。」
パチパチと両手を叩くラファー。
気味が悪い。
「ラファーと言ったね。犯罪集団を束ねる親玉がいったい何の用かな?」
グレンが睨み付けながら質問を投げかける。
周りの協会五強は、戦闘態勢を取っているがグレンから静止の合図を出されている。
「おお!あなたが、この王国で最強と謳われるフレア協会のグレンですね!!」
「急に現れた失礼な不届き者に呼び捨てされる筋合いはないんだ。早く質問に答えろ。」
グレンから異常なくらいの魔力が溢れ出す。
コロシアムにいる全ての者が恐れをなすくらいの圧。
「す、素晴らしい!!この魔力を一度は感じておきたかった!!いやいやいやいや、失礼。ここに来た目的を答えろとの質問でしたね。よろしい!お答えしましょう!!」
グレンから溢れる魔力を物怖じせず淡々と喋るラファー。
「簡単な話です。ただ、ちょっかいをかけに来ただけですよお。」
一瞬ではあったが俺に目線を向けて喋っていた様な気がした。
「そうか、じゃあ・・」
ルパートが、グレンの方を見る。
照準を定めるかの様に、右手をラファーに向けている。
グレンの眉間に、しわが寄っているのが分かる。
「俺は、いちゃもんをつけるとしよう。」
「・・!!魔力盾!!」
「魔力衝」
グレンが放つ魔力の衝撃が、上空にいるラファー目掛けて襲い掛かる。
ラファーは、襲い掛かる攻撃を魔力で生み出した盾で防ぐ。
普通魔法だろうが、とてつもない威力がある事が感じ取れた。
それを防いだラファーも只者ではない。
「今のは、ヒヤリとしましたよ。別に、私は争いに来た訳ではないのですがねえ。」
「では、大人しく捕まってくれないかい?」
「な!!」
グレンが一瞬でラファーの目の前に現る。
「魔力拘束」
「おお!」
ラファーが魔力で出来た縄の様なものに拘束される。
「普通魔法の中でも、魔力消費が激しいものを簡単に連発するとは驚きですねえ。」
「生憎、私は生まれつき普通魔法しか使えなくてね。」
「それは普通ではないのですがねえ・・実に面白い。くっくく。」
「おかしな奴だ。ラファーと言ったな、暗殺教団の事を詳しく聞かせてもらうぞ。」
「おお!教団について知りたいのですね!では、あなたも教団に入りましょう!」
「誰が入ると言った。死んでも断る。」
「それは残念。・・であれば、死んで頂きます。」
・・・ガアア!!・・・
唸り声が聞こえた。
獣が叫んだ様な大きな声。
「なんだ、あれ!!」
観客が時穴を指している。
時穴から得体の知れない生物がこちらを覗き這い出てきた。
翼を持ち、目が三つ。
巨大な嘴に鋭い爪。
だが、その姿にルパートは見覚えがあった。
「プ、プテラノドン・・?」
そう、太古の地球上にいたと言われる恐竜。
その代表的な一種であるプテラノドン。
生きている間に見る事が出来ないはずの絶滅した生物が目の前に現れた。
「ルパート君、知っているのかい?」
「知っているというか、本で見た事があるというか。でも、あんな三つ目なのは知らなかった・・!」
ミズキが、どういう事?と頭を傾げる。
ルパートが戸惑うのも無理はない。
想像していたプテラノドンとは違う点が多くあったのだから。
三つ目に、巨大な鋭い爪、巨体で真っ黒な肌。
考古学者としての血が騒いでしまい、目の前にいる恐竜を必死に観察している。
・・・バ、バケモノだあああ!!!・・・
・・・キャー!!!・・・
・・・逃げろおおお!!!・・・
観客がプテラノドンを見て逃げ始める。
初めて見るプテラノドンに恐怖を感じたのであろう。
だが無理もない。
正直なところ、今にも人を襲いそうな恐ろしい姿をしている。
「と言うより、これは・・。」
最悪な状況が、ルパートの頭によぎる。
その瞬間。
巨大なプテラノドンは、ラファーを拘束するグレン目掛けて巨大な爪を瞬時に振り下ろす。
(・・早い!!)
間一髪でプテラノドンの攻撃を避けたグレンであったが、ラファーから距離を取ってしまった。
「・・くっ!」
「我が忠実なる魔竜よ!この場にいる者達を蹂躙するのだああ!!」
ラファーの叫び声に呼応する様に、プテラノドンは雄叫びをあげながら急降下してきた。
グレンが、コロシアムにいる戦士達に向けて叫ぶ。
「総員、戦闘準備!!」
襲い掛かる脅威に、コロシアム中の戦士達は戦闘態勢を取るのであった。




