合否結果
ルパートとミズキがコロシアムに到着すると、既に二人以外の試験参加者が既に揃っていた。
「もう、皆いたんだな。」
「早く合否結果を聞きたいんだろうね。」
少し駆け足で、参加者の輪に入った。
「確か、フレア協会入会試験は、勝ち負けで合否が決まるわけではないんだったよな。」
「その通り。戦闘において、どのような対応を取るかなどが試験で見られている。」
「例え、戦闘試験で敗北をしようと、戦闘での動きや考えなど評価部分があれば合格もあり得るわけか。」
キョロキョロと周りを見回す。
戦闘試験において敗北したのであろう怪我をしている者も見える。
当然、俺の試験相手であったラパンもいた。
威勢が良かったさっきとは打って変わって沈んだ表情だ。
逆に、ルパートとミズキの様に戦闘試験で勝者となり堂々と佇む者もいる。
「それにしても、この人数の試合が一日で終わってしまうのが凄いな。」
「何人か僕らと同じ様に、力の格差を短時間で照明した試験者もいたからね。」
「え、そうだっけ?」
「ルパート君は、観てない?」
「試験が終わった後、このコロシアムの中を探索してた時に見忘れたのかもしれない。」
「面白かったのに。」
「探求心には勝てなかったぜ。」
「アハハ・・。」
グッ、拳を握りしめ親指を立ててポーズを決めるルパートに苦笑いするミズキ。
「では、私の活躍も見れてなかった様ですね?ルパートさん。」
後ろから声が聞こえた。
声の主であろう男性が、こちらに歩いてきた。
髪の毛は、赤毛でオールバック。
俺より背が高く、見ただけで分かる凛々しい筋肉をつけた男性だ。
「あなたは、確か・・」
隣のミズキが目を丸くしている。
「これはこれは、ミズキさんですね。お二人とも初めまして。」
風貌が厳つい割には、妙に礼儀正しい目の前の男性に驚く。
「私は、タロスと言います。先程の試験で、お二人の大変素晴らしい活躍に感心しました。特に、ルパートさん。あなたの魔法は、実に興味深かったです。光魔法とは・・珍しいモノを見せてもらいました。」
「あ、ああ。丁寧にありがとうございます。ここまで褒めて頂いてタロスさんの試合を見てなくて申し訳ないです。」
「いえいえ、とんでもない。おそらく、そういう運命だったのでしょう。私とあなたは対を成す者という事かもしれませんね。」
「え?」
(対を成す者?どういう事だ?)
「いずれ、私の力をお見せする時があるでしょう。では、失礼します。」
タロスの言葉に疑問を感じたルパートであったが呼び止める事は出来なかった。
「なんか、圧倒された。」
「そうですね、あの人からは只ならぬオーラを感じます。」
「タロスさんの試合観てないの?」
「いえ、観ました。観ましたが、分からなかったが正しいです。」
「分からなかった?どういう事?」
「それがですね・・」
ミズキが喋ろうとした、その時だった。
「試験者諸君!及び、観客席の皆様!お待たせしました!合否結果の発表、続けて、会員証授与式を行います!」
司会者であるエイルの声と共に、パーカッションとラッパの音が響き渡る。
唐突な音に、ルパートは驚き身体が強張った。
「では、我がフレア協会のトップ!グレン会長により発表をさせていただきます。会長、よろしくお願いいたします!」
「エイル、司会進行ありがとう。・・では、長らくお待たせしました。試験の合否発表を行います。」
上を見上げると、特等席と迎賓席が見えた。
特等席には、見覚えのある顔ぶれであるアリアさんと師匠がいた。
更に、その上の迎賓席には立ち上がっているグレンが見えた。
グレンが右手を上に上げる。
すると、空中にホログラムの様な画面が現れた。
そこには、選手それぞれの顔が写し出されていた。
「まず、第一試合。ラパン君とルパート君の合否結果だ。」
グレンは、右手の人差し指を下にスライドする様に降ろすと、画面はラパンとルパートの顔を写し出した。
「試合結果は、ルパート君の勝利であった。眩しい光で我々の目を遮り、試合に決着をつけたのは驚くものであった。しかし、ラパン君の土魔法も地形を利用した面白い戦闘であり、実戦でも有効であろうと感じさせた。従って、両者面白い戦闘を見せてくれた。」
グぬぬ、と唸る声が聞こえた。
おそらく、声の主はラパン。
負けた事が悔しいのだろう。
「以上の事から、協会五強、及び、会長の判断で、協会に必要な戦力であると判断し両者を合格とする。おめでとう。」
「えええ!やったぞー!!」
会場に拍手が起きる。
これは、ビックリだった。
ラパンも合格に至るとは。
俺も自分が合格した事は嬉しいが、ラパンの合格もあり何とも言えない気持ちで拍手をした。
しかし、上を見上げると喜んでいるアリアさんの姿が見えた。
ルパートは、その姿に微笑む。
「では、第二試合。ブラック君とミズキ君だ。この試合に関しては、ミズキ君の圧倒的な水魔法により一人勝ちだったため彼だけ合格だ。ブラック君の戦闘は見れずじまいであるため、残念ながら今回は不合格とする。」
これに関しては、圧倒的な実力差が垣間見えた試合だった。
この戦闘試験において、自分の魔法を見せる事が出来ないというのは評価が出来ないという事。
あのブラックという奴に同情する。
「では、第三試合。タロス君とラーナ君。タロス君の魔法は・・正直何だったか分からなかった。」
(分からなかった?)
やっと、さっきのタロスについて知れると思ったらグレン会長まで分からないときた。
どういう事だ。
「そう、分からなかったんだ。」
ミズキが口を開いた。
「ミズキ?」
「試合が始まった瞬間に、対戦相手であるラーナが倒れたんだ。一瞬だけ感じたけど、あの瞬間にタロスの魔力が強くなったのだけ覚えている。」
ミズキの警戒心が伝わったのか、ゴクリと唾を飲み込むルパートであった。
「今もラーナ君は治療室で回復中だ。彼女の魔法も見たかったが残念ながら、タロス君だけが合格だ。」
タロスは、当然と言わんばかりに笑顔を浮かべた。
その笑顔は、ルパートには不敵に感じた。
その様子を目にしながらも、グレンは淡々と各試合の評価と合否結果を発表していった。
フレア協会入会試験の治療室には、王国治療院の精鋭が配属されており試験参加者の安全が保証されています。




