空き時間にて
その後も、順調に試験は続いた。
残る九十人の試合も無事に終わり、審査担当者である協会五強の総合判断が行われるため待機時間が取られる事になった。
つまり、今は空き時間。
試験を終えたルパートは、待機所にある階段を上がりコロシアムを一望できるフリースペースにいた。
ここで、残る試合を見ていたのであった。
「あ~、いたいた!ルパート君!」
「ミズキ。」
「ここで、ずっと試合を観ていたのかい?」
「そうだよ。眺めもいいし心地がいいし。」
「確かに良い場所だね。僕も、早くここに来るべきだったか。女の子に、囲まれちゃって困った困った。」
やれやれ、とジェスチャーをするミズキ。
このイケメンめ。
しかも、あんなに強いときたらモテるのも当然だ。
羨ましい。
「それにしても、強いんだな。」
「それは、君もだろ?」
「俺は、まだまだ未熟なところがある。付け焼きの刃でなんとかなった感じだ。」
「と言う事は、コントロールが辛うじて出来ているってところか。」
「そういう事だ。相手が油断してくれてラッキーだった事も要因ではあるが。」
「ラパンのダメなところが存分に発揮されてたからね~。同期が、ああだとガッカリだよ。」
「だろうな。それで、もう少し聞きたいんだけど。」
「うん、何でもどうぞ。」
「なんで、付け焼きの刃って言葉を知っている?」
単純に聞くと気になる言葉ではないだろう。
だが、ルパートにとっては疑問ができた。
「付け焼きの刃、これは俺の生まれた国の諺だ。ここに来てから一切耳にした事がない諺だが。意味も知っているときた。」
「・・・。」
ルパートの話を聞き入るミズキ。
「そして、ミズキと言うその名前。日本人の名前だな。そうなると、こんな推測が出来る。」
「それは?」
「俺と同じ様に日本人の混血、だろ?」
アメリカ人の母親と日本人の父親を持つルパートは、自分と似たモノを感じていた。
それが、血なのか。
それとも、心なのか。
どちらにせよ、彼の勘が働いた。
「驚いたな、あっという間に分かっちゃうんだね。」
「こういうのは得意なんだ。」
「さすがだね、正解だよ。正確には、日本人とグラード人の混血ってところかな。」
「やっぱりか。アリアさんが、グラードには俺と同じ様に異世界人が来ていると言っていたな。じゃあ、ミズキの両親どちらかが日本人なんだな。」
「父親がね。母親は、グラード人。君の師匠である爺ちゃんは、母方の祖父なんだ。」
「じゃあ、父親から日本の事を教えてもらっていたから諺も分かった、って事か。」
「その通り。よく日本について喋ってくれたよ。日本人には、サムライ魂があるんだ!って。サムライってのは、見たこともないから分かんなかったけど。」
「ミズキのお父さんは、ずいぶん暑苦しい日本人なんだな。」
典型的な日本人だと分かる言葉が出てきて微笑んでしまったルパート。
「でも、ルパート君も混血だったんだね。あっちの世界には国が沢山あるって聞いていたけど、実際に会えるとはね。」
「そこも知っているんだな。そう、父親が日本という国の出身で、母親はアメリカという国出身だ。」
「アメリカ!聞いた事ある!確か、ルパート君の表次元では最強の国らしいね!」
自分の世界を喋れる事が嬉しいのか、ルパートは知らず知らずのうちにミズキと淡々と話していた。
ルパート自身も日本に住んでいた時期があった事。
彼の父親が行方不明になってしまってから、母親の母国であるアメリカに移住した事。
気づけば、二人の仲は深まっていた。
そんな時であった。
チャイム音と思わしき音が鳴り響いた。
「フレア協会入会試験、合格発表をいたします。試験参加者の皆様は、コロシアムに集合して下さい。」
どうやら、待っていた試験結果の発表が行われるらしい。
「行こうか、ルパート君。」
「そうだな、だいぶ話をしていた気がする。」
二人は、コロシアムへと向かい階段を降りていくのであった。
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