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ANZA-アンザ- 次元放浪者  作者: 有裏 杉
< 第一章 超大陸グラード編 > 

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12/24

課題

暗殺教団死神(リーパー)による誘拐事件から、丸一日が経った。

俺とアリアさんは、協会で事件の報告をしていた。


「やれやれ、暗殺教団”死神(リーパー)”、ときたか。」


グレン会長は、頭をかきながら、俺達の話を聞く。


「アリアさんを殺す事が目的だと思っていましたが、そうではなかった様です。」

「ルパートさんの、魔力覚醒を祝う・・・ね。そう、リスキーは言ったのですね?」


俺とアリアさんは、頷く。

グレン会長も、目的が分からずじまいで困っている。


「いったい、何を考えているのやら。金で雇われるだけの奴らが、突然こんな事を起こすとは。・・・狂人達の目的を考えるのは、いささか、無理がありますね。」

「会長。奴らの目的が何なのか、明確ではないですが、一つだけハッキリしている事があります。」

「間違いなく、ルパートさん、ですね。」


二人の視線が俺にくる。

俺も、それは理解している。

次元放浪者としての運命なのかもしれない。

とびっきり、嫌な運命。


「なんで、俺が狙われるのかな。はあー。」

「ルパートさん、元気を出して下さい。」


ため息をつく。

アリアさんが、慰めてくれる。


「だが、今回の一件で、ルパート君が魔力を得た事が不幸にも幸いだったね。」

「・・・確かに、そうですね。」


ほんと、不幸な事件だったが、そのおかげで?魔力の覚醒もしたのだから。


「ルパートさんの魔法、光魔法ですね。かなり珍しい。」

「そうなんですか?」


確かに、基本となる五つの魔法ではない。


「普通、この世界の人間は五つの魔法、どれか一つを持って生まれるのです。しかし、(まれ)にそれら以外の魔法、()()()()を持って生まれる人間もいます。」


なるほど。

火、水、木、土、風、五種類からなる“基本魔法”。

基本魔法以外の“特殊魔法”。

日常生活等で応用が利き、誰でも覚える事が出来る“基礎魔法”。

魔法を使えるのは、魔力を持った人間だけ。

魔力が込められた、魔道具がある。

この世界の仕組み、とても面白い。


「光魔法の使い手は、現在、誰も確認されていないですね。・・・やはり見込みがあった。」

「はは、ありがとうございます。」


少し、照れる。

特殊魔法って響き、いいよね。


「でも、光魔法を使えたとはいえ、まだコントロールが不安定です。それに、」

「重傷を与えてしまった・・・かい?」


グレン会長は、勘が鋭い。


「重傷、というより、殺し、ました。アリアさんが傷つけられて、怒りに囚われてしまって。」

「暗殺者マークの事なら、もう問題はないよ。治療院に連れていき、拘束もしているし。ギリギリ生きている。」

「・・!・・そうですか、良かった。・・・でも、こんな事、初めてだったんです。喧嘩はした事があるけど、人をあそこまで、傷つけた事はなくて。」

「戸惑っているね。」

「・・・はい。」


今まで、考古学者になる為に、ひたすら勉強を続けてきた。

勉強をしすぎたせいか、クラスメイトの人間からいじめを受けた事があった。

が、それに対処する為に格闘技を習って反撃として喧嘩をした事はあったが、重傷にさせるほどの暴力なんて一切した事はなかった。


「恐いんです。俺のせいで、誰かを傷つけそうで。」


初めて、こんな感覚に陥ってしまった。

自分で傷つけるのも、自分のせいで傷つく人がいるのも嫌だ。


「ルパートさん、そんな事ありません!」

「アリアさん?」


アリアさんは、俺の手を握ってきた。


「あなたは、とても優しい人です。稽古や生活を共にして、感じていました。」

「は、はい。」

「あなたが思い込む必要なんて一切ないです!あなたは、私を救うために戦ってくれた!正しい事をした!自分を恐れないで!」


あっけにとられた。

ここまで、元気づけてくれるとは思ってもなかった。


「あ、あ、ごめんなさい。少し、熱意がこもって・・・。」


お互い急いで、手を離す。

恥ずかしくなった。


「・・・アリアさん、ありがとうございます。」

「い、いえ。ルパートさんの元気が、戻ったなら何よりです・・・。」


・・・。


「うおっほん。」


グレン会長が咳き込む。


「す、すみません!」「ご、ごめんなさい!」


二人で話過ぎた。

グレン会長は、蚊帳の外であったろう。


「ルパート君の元気が、戻って何より。・・・うん。二人を一緒にさせて、良かった、良かった。」


俺とアリアさんは、顔を赤くする。


「とりあえず、ルパート君は課題が出来たね。」

「そ、そうですね。魔法を上手く扱える様にしないと。」

「そんな、君を見込んでだ。ある人が稽古をつけてくれるみたいだよ。」

「ある人?」


「失礼するぞ~。」


会長室に入ってきたのは、ビト爺だった。


「今度はビトに稽古をつけてもらいなさい。ルパート君。」

「よろしくのう、ルパート君。」


気軽に、手を振っているビト爺。

これは、アリアさんのトレーニングより、厳しくないかもしれない。


「よろしく、いえ、よろしくお願いします。」

「そんな、かしこまらなくてもいいぞ。ほほほ~。」

「そ、そうか。よろしく、ビト爺。」

「師匠と呼べ!!師匠と!!」


びっくりした!

そういうタイプですか!!


「よ、よろしく!師匠!!」

「うむ、それでよし。では、早速始めるとしよう。行くぞ~。」

「お、おっす!」

「いい返事じゃ。あ、言い忘れてたが、試験まで後二日もないから厳しくいくぞ~。」


(え・・・。)


「私も、お手伝いします!ビト様!」

「お~!アリアもいると助かるわい。」


(え、ええ・・・。)


アリアさんより、大変そうなんですけど。

ビト爺に続いて、トボトボと会長室を後にするのだった。

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