暗殺教団
森で、激しい戦闘音が鳴り響いている。
「クソ爺!とっとと、くたばりやがれ!!」
「ここで、くたばる様な年寄りでないわ!」
絶えず魔法による戦闘が続く。
「木魔法‟木の針”!」
無数の細長い木の針が、ビトに目がけて飛んでいく。
「土魔法‟|大地の壁”!」
その攻撃をいとも簡単に硬い土の壁が防ぐ。
「ああ!きりがない!!俺の魔法と爺の魔法の相性最悪だ!!」
「相性が悪くても、それに対応するのが大事だぞ、お若いの。」
激しい戦いであるようだが、‟智賢のビト”は手を抜いているようだ。
暗殺者リスキーは、隙があれば屋敷を何度も見ている。
(マークの野郎、来ている様だが・・・。いくら何でも遅すぎやしねぇか?流石に仕事終わらせてるはずだろ!?)
攻撃を仕掛けてくる暗殺者に対して、ビトは違和感を感じる。
(さっきから、キョロキョロと屋敷を見つめておる・・・。もしや、仲間が来ているのか?そうだとしたら、マズイのう・・・、ならば・・・。)
「戦闘終了じゃ!」
唐突の攻撃姿勢にリスキーは、攻撃に構える。
「やべぇ!くっ!!」
だが、攻撃は数秒ビトが早い。
「大樹!!」
大地に根付く大樹が、リスキーを目掛けて、目にも止まらない速さで突き出る。
並みの生物には、避ける事は不可能な攻撃。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
リスキーは、空中に突き飛ばされ、遠くへ飛んでいく。
「ちと、飛ばしすぎたのう。やれやれ。」
老体は、一瞬で屋敷に移動。
(!)
ビト爺は、屋敷から出てくる魔力に気づいた。
「・・・もしや、このオーラは。」
屋敷のドアから、誰かが出てくる。
目に映ったのは、女性を抱えた青年だった。
「おお!無事であったか!」
ビト爺が駆け寄る。
「ええ、なんとか。」
「2人共、多少の怪我はあるが、無事だな。良かった、良かった。」
ほっ、と安心する、ビト爺。
「中で、何があったんじゃ。しかも、ルパートさんや。その魔力は、」
「ああ、気づいたんですか。実は、」
屋敷の地下で起きた出来事を話そうとすると、突き飛ばされた暗殺者が戻ってきた。
「・・・次元放浪者。」
「え。」
突然、声をかけられ、驚く。
しかも、睨みつけられているから。
「屋敷の中に、もう一人、暗殺者がいたはずです。」
「!・・・いた。・・・だけど、俺が、・・・殺した。」
(!)(!)
ビト爺、リスキーは、驚く。
それも、そのはず。
ルパートから魔力は感じとれるが、異常に小さいのだ。
ほぼ、0に等しい程に。
「魔力が、ほぼ無い、あなたが、あいつを殺した?・・・ふふ。」
「成程・・・ルパートさんが。・・・そりゃ!!」
ビト爺は、地面から壁を作りだしリスキーを挟み込もうとする。
が、直ぐにリスキーは回避する。
「ふはははははははは!面白い!楽しくなってきた!愉快だ!次元放浪者ルパートよ!!」
「五月蠅い奴じゃのう・・・。」
再び、戦闘。
戦闘音でアリアが起きる。
「ルパート・・さん?」
「起きましたか、もう大丈夫です。」
「え、え?どうなっているんですか?んひゃああ!!」
「ど、どうしました?」
アリアさんの顔が、真っ赤になる。
「は、はわわ、お、おろしてください!」
「あ、はい。」
ゆっくりと、彼女を降ろす。
「ふ、ふう。・・・い、いったい何が起きているんですか?地下にいた、暗殺者は?」
「実は、」
“ドゴーーン!!”
話が巨大な戦闘音で遮られた。
「ここまで、すばしっこい奴は、久方ぶりじゃ!腕が鳴る!!」
「ふはははははははは!ふはははははははは!」
なぜか、お互い楽しんでいる。
「ビト様!?」
アリアさんが気づく。
「お~、アリアよ。気づいたか。もう少し待て。後、もう少しで奴を捕まえる!!」
「誰が捕まるか!爺に!!ウッド・ニードル!!」
リスキーの攻撃をビト爺が防ぎ、戦闘が止まる。
両者、向かい合う。
屋敷側には、ルパート、アリア、ビト爺。
森側には、リスキー。
「次元放浪者、ルパートよ。我々、暗殺教団“死神”は、あなたの魔力覚醒を祝福する。」
「暗殺教団?てか、次元放浪者って何だよ?」
前にも言われてたよな、協会で。
「次元放浪者は、異なる次元を放浪した者の名称です。ルパートさんは、表次元から、この別次元にある世界”グラード”に来たので。我々から見れば、「表次元から放浪して来た異世界人」なのです。」
アリアさんの説明は、ちょっと難しいが分かった。
「次元放浪者の、魔力覚醒は素晴らしい!わざわざ、アリア嬢を誘拐した甲斐があった!」
「何が目的じゃ、お前らは。暗殺が目的のはずじゃろ?」
ビト爺が尋ねる。
確かに、誘拐したいのか殺人をしたいのか目的が謎だ。
「我々の目的は!・・・おっと、危ない危ない。興奮して、口が滑りそうになりました。」
とりあえず、真っ当な目的ではないな。
「ではでは、暗殺教団第5位リスキーを覚えて下さいませ。また会いましょう、ルパート。」
「逃がすか!!」
ビト爺が魔法を使おうとすると、何かの道具を取り出しリスキーは消えていった。
「魔道具か・・・。最後に、なめおって。」
暗殺教団、死神。
どうやら、厄介な組織に目をつけられたらしい。




